4/196

少女

やっぱりこれ最後です。

　あれから、なかなか距離が縮まらない理由をバケモノのせいにして、砂浜に体育座りで待っている。そんな僕に対して、バケモノも何をすることなく、いや、何をできそうにもなく。浅瀬に触れながら体育座りを仕返してこちらを寂しそうに見返してきていた。

「何見てんだよー！早く帰れよー！」

大声でそう訴えかける。

「ここが私の居場所なのー！」

透き通った可愛らしい大声が返ってくる。

そろそろ、今更にも。

冷静に今の状況を分析してみれば、浅瀬にいる人間ではない人型の少女に声をかけられて、ときめいた僕がいて、興味もなければさっさと帰ればいいと思った。しかし、それはそれであのバケモノに対しての空気が読めていない気もする。

だから僕はここにいる。

　「おーい、目的はなんだー？地球侵略かー？人類滅亡させに来たのかー？」

「ちーがーいーまーすぅー！」

案外馴れ馴れしいバケモノに思考を巡らせるが、目的がわからない以上は近づきたくはない。

「あっ！河童か！？」

「バケモノ前提で話を進めるなぁー！って、河童は川にしかいないでしょー！それに河童はバケモノじゃねーよ！妖怪だしっ！」

あはは。

立ち上がって僕の方に指差しながらお怒りの様子を見せる大声な少女。

丁寧かつ面白いそんな突っ込みに、目の前の少女をバケモノと思うことをやめようと思えた。

ありがとうございます