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流れる僕ら16
ねむいからかな。寝たいと思うのは。本当に眠いからかな?
長い夜の続く海辺。僕らは誰よりも眠そうに話し合っている。
「なつきくん、早く帰って寝なよ。私も限界だし」
「そんなこと言ったって、家出してきたから帰るにも帰れないんだよ、そのまえに本当の名前教えろよ」
「じゃあね、私は帰るからねー」
眠そうに、浅瀬にぷかぷかと気まぐれに浮かぶ君の名前は結局わからないままだ。
「なんだよ、帰るならはやく帰れよ」
どうしてか、浅瀬から姿を消そうとしない君。
「うるさいなー、ここが好きなんですぅー」
そう目を瞑って僕と話す君は、もはやどこにでもいる女子高生だ。ただ、少し脚が浅瀬と合体しているだけ。
「もしかして、お前の居場所って本当にここなのか?」
「はぁ!?勘違いしないで…
「こらぁー!なつき!はやく家戻ってきな!」
遠くから聞こえた母親の声が聞こえた。
その瞬間、目の前の月明かりが消える。
あたりを見回しても真っ暗で、背後から近づく砂浜を踏みしめる母親の足音。
「いでぇー!」
硬い拳を頭に食らった。
おやすみなさい




