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19.バストガチャ




「ふぅ……今日も楽しかったけど、やっぱりニジホが心配だわ」

「今日音楽がなかったけどニジホに何かあったの?」


 路上ライブが終わった後、ジュリアと合流したイツキたちはギルドの酒場にいた。


「……昨日の化け物が怖かったのと、イツキくんたちを助けに行けなかったことを気に病んで引きこもってるの」

「……それで私たちにどうしろと?」

「二人っていうか、アンタに誠に遺憾ながら、ニジホに出るように説得して欲しいのよ」


 普段そういうことはイツキが頼まれるので、自分に振られたことでレンは面を食らう。


「……どうして私がしないとダメなんだ?」

「……お願いよ。いいじゃない同郷の誼として」

「俺たちの依頼のせいで巻き込んだんだし、してあげてもいいんじゃないレン?」


 二人に頼まれて溜息をつきながらも、渋々と承諾するレン。あまり気の乗らない足取りでニジホとジュリアの相部屋へと向かう。


「二人は相部屋なんだね?」

「そうなの。一人じゃ心細いから相部屋にしてもらったの。元々あたしたち知り合いじゃなかったんだけど、こんな世界に来てから友達になるってのも不思議な縁よね」

「えぇ、そうなんだ! てっきり二人共、元々の知り合いだと思ってた」


 異世界に来てからすぐに友達になるなんて、女子はコミュ力が高いなと思っていると、ニジホの部屋に到着する。


「……ニジホ。イツキくんとレンが来たわよ」

「ほら、何か言いなさい」


 レンはそう言われて扉の前に押される。


「……私たちは別に昨日お前が来なかったことを気にしてない。だから、外に出てこい」

「(……何よその言い方。俺様系ですか? もっと優しい王子様みたいにできないの?)」

「(そうだよレン。もっと、お前の顔が見たいとか甘ったるい言葉を言った方がいいよ)」

「(……お前たちは私に何を求めているんだ? 私はそもそも女だぞ?)」


 三人が小声で言い争っていると、扉の中からニジホのオドオドとした声がする。


「す、すみません……わざわざ来てもらって。わたしは大丈夫ですから、心配しないでください」

「このままじゃ埒が明かないな……ジュリア、お前は相部屋なんだろ。鍵を貸せ」


 ジュリアは言われるがまま鍵をレンに渡す。


「入るぞ」


 まさか部屋に入ってくるとは思ってなかったニジホは薄着のままだった。……なので豊満な胸が強調されてしまっている。ニジホはそれに気づいて、慌てて布団の中に避難する。


「どどど、どうして入ってくるんですか! 大丈夫って言いましたよね!」

「お前の判断なんて知るか! お前が引きこもろうとすることで実害を受ける人間もいるんだ!」


 そう言いながらレンはニジホの布団を引っペ剥がそうとする。

 レンは女なのでそこまで気にならないのだが、レンを男だと思っているニジホは必死に布団を引き寄せて抵抗している。


「……そんな訳ありません! わたしなんていなくたって誰も気にしません!」

「確かにお前は演奏していても気づかれないぐらい影が薄い。それに常にオドオドしていてイライラするし、胸は無駄にデカくてムカつく!」


 結構酷い暴言であったが、言われ慣れているのかニジホはほとんど表情を変えなかった。しかし最後の私情が挟まれた胸という言葉にニジホは顔を赤して、更に力を込めて布団に篭ろうとする。


「……けとな、そんなお前だって心配する人はいるんだ。現にこうやって私がお前を外に連れ出そうとしているだろ!」


 レンはジュリアに頼まれてという意味で言っていたが、ニジホからするとまるで自分のために、レンが外に連れ出そうとしているように聞こえた。


「早く出てこい乳女!」

「……なんでそんな呼び方するんですか!」


 あまりにも酷い暴言の数々にイツキは、やはりレンに人の説得は難しかったかと考え、止めるかとジュリアに提案する。


「見て、あのニジホの顔を……」


 しかしジュリアはニジホの顔を見ていた。言われてイツキもニジホの顔を見ると、ニジホは健気にレンを睨みつけていたが、口の端がピクピクと動いていた。


「……えーと、マゾ?」

「……見なかったことにしましょう。ねぇイツキくん、あたしたちは下で何か飲み物でも飲みましょ」


 ニジホはレンが自分のために来てくれたことで喜んでいたのだが、マゾだと勘違いされ不憫な少女である。


 ニジホをマゾと勘違いしたことで、一気に気が抜けたジュリアはイツキと共に酒場に向かった。




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