ルート⑤九月の体育大会と姉妹(後編)
二話目
結局追いつけずそれどころか離された状態で次にバトンを渡すことになった。
一位はここで逆転した三年三組。二位に陥落した一年一組。三位、三年二組。下の方へいき六位に我らが二年二組。
今のところなんとも言えない順位だ。
相変わらずみーちゃんのクラスが一年生ながら上位にいる。
だーちゃんの出番はまだきていないみたいだが三年三組がトップ。恐ろしいの一言に尽きる。
そんなこんなで三人目が次々とアンカーにバトンが渡されていく。
かなり激戦で白熱した。
まず、トップを守ったのが三年三組。さすがというか他学年には負けられないというプライドがあるんだろう。
続いた二位は僅差で一年一組。本当に僅差でどっちが勝ってもおかしくない状況がすでにあった。
ここからが驚きの結果なのだが、なんとうちのクラス、二年二組が三位に浮上していた。
周りに今までより遅い人が集まっていたのかそれとも紀野が速いのかそれとも両方か。
一気にごぼう抜きして三位にまで上り詰めた。
だが、一位二位には到底追いつかないほどの距離があるが大躍進といえよう。
おそらく今日のMVPは紀野だろう。
一方、空はというと。
「これは無理だろー!!」
と叫んでいた。
結果は見ての通り、うちは三位。空は役に立たなかった。
くじで当たったときあん自信満々だったのに。
今は校庭の隅で丸くなっている。
「もうころしてくれ」
「OKやってやろうじゃないか」
「お前手加減する気ないだろー」
「当たり前だろう」
「ならお前も受けるべきだ」
とかなんとか漫才じみたものをしばらくやって二人とも例の姉妹が来たことで止めた。
「りっくん!勝ったよ!褒めて!撫でて!」
そう言ってみーちゃんが文字通り飛んできた。
受け止める反動で後ろに倒れそうになったが倒れなかった。
いや、俺は怪力というか力があったから大丈夫だったわけではない。
俺一人では倒れていただろうが後ろには空がいた。
「あ、あたしも頑張って優勝したんだぜー」
とさらに後ろから来ていただーちゃんが入ってきた。
なんか顔が赤い気がするが、きっと運動して赤くなってるに違いない。
「お疲れ様。顔赤いし、ちゃんと休めよー」
そう放った俺に妙な視線が注がれた。
みーちゃんには約束通りご褒美のなでなでが与えられた。
かなりの時間撫でたのだろう男女混合リレーの次の競技が終わり昼休みが始まっていた。
昼休みは自分のクラスの教室で昼食を取るように言われていたため各自教室に戻った。
午後の競技が始まった。
プログラムはこう。
障害物競走 13:20
100m走 14:00
借り物競走 14:40
スウェーデンリレー 15:20
閉会式 15:30
俺以外のみんなはもう出番が終わってる。
俺が午後出るのは借り物競走。
最後のスウェーデンリレーっていうのは、各走者の距離が違うリレー。
第一走者が100m、第二走者が200m、・・・と増える。
由来は発祥国とかから来てるんじゃんないか?各自調べてくれ。
現在、借り物競争直前である。
ここまでの結果だけでここは終わっておこう。
今のところ総合点は三年三組がダントツでトップ。
追いかけているのは三年一組、三年二組。それと一年生ながらすごい結果を出している、一年一組。
二年生はどこももう優勝の可能性はないらしい。
優勝の可能性がなくなった俺らは楽しもうとみんなで言い合ってた。
『今から借り物競走を始めます』
パンッ!
もう何度目かもわからない乾いた銃声が鳴り、参加者が一斉にお題の書かれた紙を拾ってゆく。
俺のお題はと……え??
少し考えてから動き始めた。一年一組の方へ。
軽く走って向かった。
ざわざわしてる気がする。
近くまで来ると俺の目当てはすぐに見つかった。
「みーちゃん!来て」
周りのざわざわがキャーに変わっていった。
俺は一気に顔が赤くなったみーちゃんを連れてゴールに向かった。
残念ながら一位ではなかった。
一組分遅かった。
二位でも十分好成績だと思うけど。
俺のお題が発表される。
『実質妹だと感じてる人』
実行委員にOKと言われ退場したあと、みーちゃんに不満オーラが出ていた。
「ばか」
と小声でつぶやいてクラスのところに帰ってしまった。
しばらくして、借り物競走とスウェーデンリレーが終わり閉会式が始まった。
優勝は三年三組だった。なんとか守りきったみたいだ。
準優勝は三年一組。スウェーデンリレーで一位を取ったのがデカかったらしい。一年一組を追い抜いた。
三位はもちろん一年一組。
うちは九位でした。
次回ハロウィン