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幻想の谷間で

作者: 奥田 繭


黒く錆びたビー玉に逆さまな君の顔が透けて見えて、カラダの向こうのお山が揺らぐ

このままで終わりを迎えますかときいてみたら、君はペロリと舌を出して無言劇きめる

わたしたちのからだはいつまでたってもふたつの物体で、ためしに君の頬をつねってみたら、わたしの指がモロモロくずれて笑った


という幻想から戻ると目の前には誰とも繋がっていない文字の羅列で候


どこまでも赤い空に小さな光がつつましく姿をあらわし、神を信じないとうそぶく私にいいよいいよと手を振ってくれたあの日の野良猫

東の風は過去を思い出させ、西の風は時の感覚を不在にするから、少しだけ痛みのない世界で生き延びたいと願ってしまった


利き目の奥のうずきにまだ慣れていないのは救いなのかもしれない


わたしにはまだいきたい気持ちがあるのだから、人差し指のささくれみたいに噛み切らないでください

君の頭のなかにわたしの顔がなくなってしまったことは言わなくてもいいから

鳴かないのは素晴らしいことだと、思いこませたのは君の計算どおり


北の風は誰にも気づかれない愛をささやき、南の風はもうひとりの自分に禅問答を投げかけるから、もう少しだけ君のいない世界で生き延びさせてください

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