怨恨
人生最絶好調!
不満なし!
容姿よし!!
家柄よし!!!
金に困ったことはない。
俺の人生薔薇色!!!!
蝶よ花よと愛でられた御曹司の一人息子。
……そんな人生が1秒で崩壊した。
今日は生まれて20歳の誕生日。別荘地で開かれた誕生日パーティーは、友人に囲まれ和やかに華やかに催された。
各々が、プレゼントを持って挨拶にやってくる。
「あぁ、嬉しいよ。ありがとう」
笑顔を振り撒き受け取って、記念に写真を撮ったり飲み食いしたり何だかんだと盛り上がる。
会場が白熱しかけたそんな中、思わぬ人物が目の前にやってきた。
3年前に振った女だ。
父の親友の娘で、特に目立った特徴もなく平々凡々。面白みがなく、これといった魅力もない。結婚したところでメリットが無いと判断し、あらぬ虚偽を偽装して婚約を破棄した。
女は軽やかな足取りでうっすらと笑みを貼り付けてこちらにやってくる
「勇太朗さん。お久しぶり。
お誕生日おめでとう。
これプレゼントなのだけど、受け取ってくれるかしら?」
と綺麗にラッピングされた赤い箱を差し出してきた。
「貴方のために心を込めて作ったの、今、開けて欲しいわ。」
満面の笑みを浮かべ押し付けてくる。たじろぐ俺に、周りは不審な目で見つめてくる。訝しがる空気に負けて、
「……ありがとう。」
一応礼を言い、プレゼントを受け取る。
女に促されるまま開封したその瞬間、
爆発した。
爆発したのだ。
強烈な爆圧が顔面に炸裂し、それに耐えきれず頭部は簡単に肉塊になり四散した。
周りの光景が断片的に散って写る。目の前の爆発の光、周囲の人間の驚く顔、……そしてプレゼントを渡してきた女の満面の笑み。
一瞬にして爆ぜた視界は急速に女の黒目に吸い込まれるように収束し、俺の意識は飛び去った。
目が覚めると、寺院の前に捨てられた赤児に生まれ変わっていた。