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竜に育てられた最強  作者: 原案・監修:すかいふぁーむ 執筆:epina
フルドレクス魔法学会編

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89.反属性混合①

 その日の夕方、セレブラント留学組の研究室に爆音が轟いた。


反 動(バックファイア)もまったくない。まさか、こんな単純なことだったとは……」


 独力でブラストフレアを放ち終えたリードが自らの成果に唖然としている。

 用意した対魔標的は完全に消滅していた。


「いやー、さすがはリードだなぁ。こんな簡単に課題をクリアできちゃうだなんて」


 たった一日で成果を出して見せたリードに、俺は素直に感心してしまった。

 セレブラントきっての天才の名は伊達じゃなかったんだなぁ。


「あたしがヒントをあげたとはいえ、リードやるねえー!」


 ミィルからも黄色い声援が飛ぶ。


「ミィルさんの言うとおりでした! しっかり両手に精霊の加護が働いていましたよ!」


 ラウナの神眼からもお墨付きがもらえてリードは満足げに頷いた。


「まさか詠唱に感謝の文言を組み込むだけでいいとは。いや、普通ならそんなことに詠唱を割くわけがない……まさしく盲点でした、ミィルさん」

「精霊の存在を認識した後なら、言葉にするだけでも意識がそっちに向くからねー!」


 自然への感謝を具体的にどう捧げればいいのかわからない……というリードに、ミィルはこう伝えたらしい。

 『詠唱に精霊への感謝を組み入れてはどうか』と。

 

「しかし、そうか。普通なら、こんな詠唱はまず承認されませんね。真っ先に無駄を指摘されるのがオチです。だから誰も開発しようとしない……いや、そもそも精霊の概念がフルドレクスの魔法科学とは正反対か……」

「光属性魔法のときもそうだったけど、人類術式って効率に振りすぎなんだよねー。しかも容 量(キャパシティ)いっぱいに詰め込もうとするから余裕がなくなっちゃうの。一節か二節ぐらい、自然に感謝する文言を入れてもバチは当たらないでしょ?」

「ふーむ……」


 さらに思案するリードに笑いかけながら、ミィルがパンと手を打ち鳴らした。


「じゃあ次はこのブラストフレアの威力をグーンと抑えて誰でも使えるように改良しよっか!」

「えっ! これで完成ではないのですか?」

「まだまだ難易度が高いからね。人類術式なんだから、できるだけたくさんの魔法使いに使えるように簡単なものにしたほうが採用率が上がるんじゃないかなー?」

「クッ、簡単に言ってくれますね。実際の作業は私とラウナがやるんですよ……!」


 リードは文句を言いつつも少し楽しそうだ。

 そう、今回の研究は『本格的に手伝ってもらったら全部アイレンがやることになってしまうから』とリードとラウナが自分たちでやると言い出したのだ。

 俺とミィルはヒントを与えるだけ。といっても、竜王族術式で強化するならともかく人類術式で普通の人にも使えるよう改良するなら、俺よりふたりのほうが向いているだろうし。


「でも確かに……私などは自分一人が使えれば充分と考えてしまいますが、魔法学会では通用しないでしょうね」

「そうですね。わたくしの神眼のように再現不能な能力は憧れではなく恐怖を生むと、よく言われてました」

「んー、そういえばさー。なんで神眼は神眼って呼ばれてるの?」


 しんみりとしたラウナに、ミィルが素朴な疑問をぶつけた。


「さあ……わたくしも物心ついた頃にはみんなが神眼と呼んでいたので。神から授かった眼、という意味なのではないでしょうか?」


 ラウナも詳しく知らないようだ。


「ふーん……」


 モヤモヤが解決しなかったからか、少し残念そうな顔になるミィル。


「ミィル、何か気になるのか?」


 リードとラウナが研究に戻った頃合いを見て、俺はミィルに真意を問いただした。


「ううん、神眼に神っていう名前がついてるから天神と関わってるのかもってちょっと気になっただけ」

「あー、そう言われてみれば」

「なんとなーくなんだけどね、今回の神々の調査と符合する気がするんだよねー。ただの偶然かもしれないけど」

「でもミィルの勘は馬鹿にならないからなぁ」


 フルドレクス王家。

 先祖返りと呼ばれたラウナの神眼。


「秘密資料を閲覧できるようになったら、ちょっと調べてみたほうがいいかもしれないな」

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