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竜に育てられた最強  作者: 原案・監修:すかいふぁーむ 執筆:epina
フルドレクス魔法学会編

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79/121

79.フルドレクス国立魔法学校②

 俺たちは、ひとまず講義を受けてみることにした。

 俺とリードが『基礎魔法研究Ⅰ』を、ラウナとミィルが『神学Ⅰ』を受講する。

 講義に参加するだけだと何にもならないけど試験結果に応じて単位がもらえるシステムらしい。

 もちろん交換留学組の俺たちに単位は関係ない。あくまで人脈を広げて情報を集めるのが目的だ。


「本当にセレブラントとは雰囲気がぜんぜん違うね」

「どうやら研究室ごとにグループの班が決まっているようだな。別の研究室はライバル扱いというわけか……」


 講師が俺たちのことを何も聞いてなかったらしく、なんの紹介もされないまま講義が始まってしまった。

 席ごとに人が集まってて講義の最中ということもあるし交流は難しそうだ。

 そんなこんなで特にトラブルもなく講義が終わる。


「今の講義はどう思う、アイレン? 私には物足りない内容だったが……」

「そうだね。王賓クラスの授業に比べるとだいぶ簡単だったと思う」

「フッ、そうだろう」


 リードが少し嬉しそうに笑う。


「だけど、術式についてはフルドレクスのほうがだいぶ先を行ってるんじゃないかな」

「なんだと? いくらお前でも聞き捨てならんぞ!」

「まあまあ。このまま次の『応用魔法研究Ⅰ』にも行ってみようよ」


 不機嫌そうなリードを連れて、さらに別の講義を受講する。

 講義が終わったら次、終わったら次という感じでどんどんはしごしていく。

 そのたびにリードがうんざりした顔になっていくのは少しだけ面白かった。 


「やはり、わからんな。あんな魔法、誰でも使えるではないか……」


 リードの言うとおりだ。


 可燃物に着火できる程度の種火をつくるイグニッション。

 喉を潤す程度の量の水を生み出すアクアクリエイト。

 土をこねて好きな形に変更するアースコントロール。 

 松明程度の明かりなら一瞬で吹き消す風を生み出すコールブリーズ。


 詠唱を覚えて正しく行使すれば魔力の少ない人でも使える魔法ばかりが講義の題材になっている。

 『応用魔法研究Ⅰ』なんかでもより上位の魔法の取得ではなく、これらの魔法をどういった場面で用いるか……といった部分に焦点が当てられていた。


「フルドレクスは『誰でも使える魔法』をより洗練しようとしてるんじゃないかな」

「個人の技術や能力に依存しない魔法……そんなもののどこに価値がある? だいたい応用魔法研究などといって、あれではアイデア勝負ではないか!」


 セレブラントでは、魔法とは貴族や一部の才能ある者の特権という考え方がある。

 魔法に対する強い憧れを持つ人は多いし、才能を持ってるリードだからこそ『誰でも使える魔法』に価値を見い出せない……ってことなんだろうなぁ。


「もともと人類の術式が誰が使っても同じ結果をもたらすものと定義されてる以上、最適化された魔法が良しとされるのはむしろ当然の流れなんじゃないかな」

「だからといって連中のほうが我らより先を行っているなどと!」


 うーん、そのあたりは価値観の違いだと思うからなぁ……。

 竜王族同士でもよくあることだし、別に無理に飲み込まなくてもいいところなんだけど。


「だったら、リードが納得できるように実技の披露がある講義に出てみようか」

「フッ、いいだろう。セレブラント随一と言われた私の魔法をフルドレクスの連中に見せてやる!」


 などと息巻いているリードを見守りつつ、視線の端にいる人物をこっそり観察する。


 うーん、やっぱりあの人、俺達についてきてるよな。

 ずっと同じ講義を受けてたし、いったい何者なんだろう?




 ◇ ◇ ◇




 俺はリードとともに『魔法実技Ⅰ』に参加した。

 実技講習と名のつくとおり、実際に魔法を披露できる機会のある講義だ。

 内容としては各研究室グループがそれぞれのテーマに添って魔法を披露し、レポートを提出する……というものだったんだけど。


「さあ、見るがいい。フルドレクスの諸君! これがセレブラントの芸術魔法というものだ!」


 リードが力強い宣言とともに詠唱を開始し、やがて空に大きな花火を打ち上げた。

 轟音とともに炸裂した色とりどりの火花は、美しさや芸術性を重視するセレブラントの精神を体現しているかのようだ。

 講義に参加していた受講生たちも感嘆の声をあげている。


「なるほど。これが綺羅びやかと名にし()うセレブラントの芸術魔法! 見事なものですね」


 そんな中、得意満面な笑みを浮かべるリードに向けてただひとり、拍手を送ってくる人物がいた。

 丸い片眼鏡(モノクル)をかけた中性的な人だ。

 他の受講生が研究グループといっしょに行動している中、彼はひとりだけだった。


「フッ、ようやく話のわかる者が現れたか。どいつもこいつも得意げに基礎魔法を使う者ばかりでな。辟易していたところだ」

「確かにフルドレクス王立魔法学校は血筋に関わらず学べる環境が整っている分、特別な血統でもない平民向けの講義が多いのは確かですからね。リード王太子には物足りない内容でしょう」

「いやはや、まったくだ」


 相槌を打つリード。

 しかし、直後に片眼鏡の男がニヤリと笑みを浮かべた。


「それで……いったいこの魔法はどういう時に役立つのですか?」

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