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竜に育てられた最強  作者: 原案・監修:すかいふぁーむ 執筆:epina
セレブラント王都学院編
5/116

5.竜王国の使者⑤


「このような人間の学院ごときに、貴女様がいったいどのようなご用向きで……!?」

「ああ、いえ。そうかしこまらずとも。わたしはかわいい『弟』の活躍を見に来ただけですので」

「『弟』殿……?」


 顔を上げた学院長が、俺のほうをまじまじと見た。


「いや、しかし……彼は?」

「ええ、お察しの通り人間ですよ。それでもわたしたちの森で育った家族なのです。ところで話を総合するに、どうやらあそこの()()を割ったのは『弟』のアイレンの模様。試験は合格に見えます。しかし、どうもあれら殿方の話がよくわかりませんね。『田舎者』がどうとか……?」

「いやあ、リリスル。それは俺のことだよ」

「……田舎者が?」


 俺の言葉を聞いたリリスルの瞳孔が、すぅっと細まった。


「ふぅん、そうなのですね……」


 あれ、なんかリリスルってば闘気出そうとしてない……?


「とどのつまり、あちらの方々は『弟』を……『わたしのアイレン』を田舎者呼ばわりした挙句……試験で不正を働いたから不合格にせよと、そういうのですか」


 これは、まずい。

 リリスルが『わたしのアイレン』って口走ったときはマジギレ直前だ。

 あとひとつ何かきっかけがあれば、王都は灰になるぞ!


「して、貴方の裁可は如何に? 学院長」


 ギロリ、と学院長を睨みつけるリリスル。

 ここで俺が不合格になるとリリスルが『人類』をどうするか決めることになる。

 そうすれば何が起きるか、火を見るよりあきらかだ。


 さて、人類の運命や如何に。


「ごうかくじゃああああああああああああああああああああ!!!」


 学院長はガバッと上体を起こして、王都中に響き渡るのではないかという大声で叫んだ。


 やったあ、合格だー!


「そんな! 何故ですか学院長!? あんな田舎者に!」


 納得がいかぬとばかりに食って掛かるビビム。


「馬鹿者ぉ!」

「ひぃっ!?」


 学院長の叱責にビビムが跳び上がった。

 ずずいっと、俺とリリスルを(たた)えるようなポーズをとる学院長。


「合格だ合格! 合格に決まっておるわ! 何故ならお前たちが見たのはイカサマでもトリックでもない! 真実だ! それに、こちらの方々はお前たちが侮っていいような御方ではない!!! こちらにおわす方は――」

「そこまでですよ」


 俺たちを紹介しようとする学園長をリリスルが制した。


「合格。当然の結果ではありますが、ひとまず学院長……あなたが公平さを示した点を評価するとしましょう。ここで不正であるという訴えを聞き入れて不合格にしていたら、裁定権はアイレンからわたしに移っていましたが。そうはなりませんでしたので……それでアイレン、あなたはどう思いますか?」

「…………え。あ、うん! 問題ない! ぜーんぜん問題ない! 俺は全然不当に扱われてない!!」

「そうですか。まあ良いでしょう」


 リリスルが締めくくると、学院長が糸の切れた人形みたく、へなへなと崩れ落ちた。


「お忘れなく。『田舎者』呼ばわりについては不問ではなく保留です。あくまで見定めるのはアイレンの役割ですからね」


 ここにいるほとんどの『人類』は学院長の態度からリリスルが只者ではないと察したらしい。

 誰一人として反論なんてしなかった。

 

「クソッ……耄碌じじいめ! あいつの不正、必ず僕が暴いてやる!」


 ただひとり、ビビムだけは小声で俺たちに聞こえないよう毒づいている。

 いや、俺にもリリスルにも丸聞こえなんだけどさ。

 お願いだからリリスル、そこでにこやかに笑わないで? こわいから。


「はは……どうなっちゃうのかなあ、俺の学園生活……」


 明るい未来予想図に暗雲が立ち込めた気がして、人知れずため息を吐く。

 ひとりで頑張る気満々だったのに、まさかリリスルが来てしまうなんて。


 どうやら俺の巣立ちは一筋縄ではいかないようだ。



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「お前はサボってばかりいる!」と勇者に追放されたけど、俺のバフ抜きで大丈夫なのかな? ~全部が全部もう遅い。勇者を見限ってついてきた仲間たちは俺の『全自動支援』スキルで世界最強の英雄になれます~
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