20.神眼王女ラウナリース①
セレブラント王都学院の生徒手帳の見開きには院則が書かれている。
やれ学院の生徒として恥ずかしくない行いをせよとか、生徒同士の喧嘩は両成敗だが決闘は除くだとか、そういう感じのがずらーっと並んでいるのだ。
人類裁定をする身として恥ずかしくないよう、俺も入学前にそのすべてを頭に叩き込んでいる。
ミィルは院則を知らなかったけど、ぴらぴらっとめくってすべて丸暗記していた。
その中に、こんなルールがある。
『生徒は全員が学院寮で寝食を共にすべし。しかし平民はその限りにあらず』
学院長に確認したところ、まず貴族たちは平民といっしょに生活することを嫌がるのだという。
平民にしても貴族たちと暮らすのは気が滅入る。だからといって貴族が実家の領地から通うのは現実的ではないため、平民が入学を希望する場合は宿屋暮らしになるか、実家の家族ごと王都に引っ越すということになる。
平民は奨学金制度が利用できるものの、そのほとんどが入学試験でふるい落とされることがあまりに有名になったため、今では試験を受けること自体ほぼなくなっているらしい。
いや、そんなことはどうでもいい。
何が言いたいかっていうと俺とミィルは寮生活ができないってことなんだよね。
なので当初は宿屋暮らしする気満々でいたんだけど……結果として学院長が手配してくれた王都郊外にある別荘を借りることになった。
最初は遠慮したんだけど、学院長がものすごい必死の形相で「リリスル様の弟君にそんなことはさせられません! 使ってください! 後生だから」というので、素直にお世話になることにした。
というわけで俺とミィルはその屋敷から学院に通っている。
当たり前のように朝食夕食メイド付きだ。
おかげで貴族がどういう暮らしをしているのか、いい勉強になっている。
「アイレンぼっちゃま、手紙が届いてますよ」
ある日の朝。
着替えて朝食を食べにダイニングルームへ行くと、メイドのシェリーおばさんが手紙を持ってきた。
シェリーおばさんは「ぼっちゃま呼びをやめて」って言っても絶対やめてくれない、いつもニコニコ笑っているおばさんだ。
見た目は普通のおばさんだけど、ところどころ身のこなしが只者じゃない。
人類裁定のことを話せないので、俺たちのことは学院長の親戚だけど事情があって平民っていう複雑な設定を伝えてある。
「手紙? 誰からだろ」
竜王族にも手紙を送る習慣はある。
だけど、この手紙にはセレブラント貴族の印が押された封蝋がされていた。
つまり、リリスルや森のみんなからの手紙じゃない。
「あらやだ~。そんなの恋文に決まってるじゃないですか!」
「恋文?」
「令嬢が初心な乙女心をしたためた手紙ですよ! いや~、ぼっちゃまも捨て置けないですねぇ。朝食はすぐ用意できますけど、ゆっくり読んでてくださいましね~」
何故か自分のことのように嬉しそうにスキップしながら去っていくシェリーおばさん。
うーん、他人の恋で盛り上がるのは人間も竜王族も変わらないな……。
となると、この手紙はミィルには見せないほうがよさそう。
絶対にからかわれるし、リリスルの耳にでも入ったらまた『わたしのアイレン』とか言い出しかねない。
ともあれ、ちゃんとマナーに従ってレターナイフで封を開け、中の手紙を読んでみる。
内容は至ってシンプル。
『今日の昼、学院の屋上で会いたい』とのこと。
「場所からして学院の生徒からか。差出人はないし、誰だろ? クラスメイトかな。でも屋上か~。たしか立ち入り禁止になってたよな? 許可は取ってるのかな」
シェリーおばさんの言うケースは有り得ない。
俺に話しかけようとする貴族の生徒はいないし。
となると、一番考えられそうなのは私闘かな?
決闘なら堂々と申し込めばいいんだし。
「ま、いっか。行けばわかるんだし」
人類裁定のモデルケースになるから行かないって選択肢はない。
戦いになるかもしれないって気構えさえあれば、大抵のことはなんとかなる。
そういうわけで俺はミィルにも内緒で、お昼に学院の屋上へと向かうのだった。
おかげさまでジャンル別も総合ランキングも
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ですがせっかくなら1位になりたい……!
ちょっと勢いが落ち始めたところなのでこれがラストチャンスと思い、
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