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ワールド・エスケープ  作者: 泉エト
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或る梅雨の一日

小さい頃から、天国のことを考えていた。厳密にいえば天国と地獄とかそういうことじゃない。誰もが一度は考えたことがあるだろう、「生まれ変わり」についてだ。天国のことを考えると、昔から僕は織田信長や豊臣秀吉、またはたジョンレノンやマイケル・ジャクソンなどがいて、あの世はカオスになっているのではないかと常々思ってきた。しかし、そんなことがあり得るだろうか。今でもあの世は戦国時代でそして、伝説のミュージシャンもいる。極めて変な世界だ。僕はそんなことを考えながらクスリと笑っている変な人だった。僕が人とは少し違っているというのはここまでにして、ここからは平凡などこにでも溢れている大学生の一日を紹介しよう。



「ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ」アラームの音で目が覚めた。時計を見ると8時3分を指している。僕は誰も居ない家でいつものように食パンとサラダとヨーグルトを食べる。食欲はないけれど、生きるために食べなければ人間は死ぬのだから仕方がない。出来れば食べずに生きて行きたいというのが本音だ。学校の支度をし、今日はいつもにしては少し遅いことに気付く。しかし、今の季節は雨が鬱陶しい。どちらかと言えば涼しいが、僕はむしむししているのが嫌いだ。特に今年はどこか陰気臭いというか、なんだか町全体がどんよりしている。それを助長するように連日テレビでは殺人事件や交通事故が報道されている。最近は特に何かと物騒だ。毎晩のようにオカルトを研究していそうないかにもインチキな顔をした専門家らしき人が、研究者の不審死について自論を述べている。あまり湿っぽいニュースも見たくないので、すぐにチャンネルを変えてしまうのだけれど。


「おはよう」声が聞こえて振り向いたけれど、僕にかけられた言葉じゃないことにすぐ気づく。なぜならばこの学校に僕の友達は2人しかいない。学校に入って数秒でその2人のどちらかに会う確率はとても低いだろう。授業中はどううしてこんな簡単なことをわざわざ90分もかけて教えているんだろう、という目で先生を見る。たまに、隣に座っている友達とちょっかいをかけあったりして、終わりのチャイムが鳴る。その後、食堂でスイッチの感度が悪くなった自動販売機で学食を選び、二人と食べる。午後になってからも授業に2コマでて、おそらく他の学生よりも思いリュックを背負って帰る。家に帰ってからは特にやることもないし、恋人もいないので寝るか、テレビを見るか、ネットサーフィンをする。ネットはいい、自分の知りたいと思ったことがすぐに知れる。試しに昨日のオカルトを説いたインチキ専門家の名前を調べてみよう。わずかな情報だけをたよりに調べてみる。検索には「死後のバックアップ化」について研究しているという流川幸次郎の顔写真が出てきた。

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