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バカと天才は"神"一重  作者: 抹茶
入学編
60/88

第52話



 時刻はもう既に夜を回った。

 長かった1日はもう終わりに差し掛かり、そろそろ眠りにつく人も出てくるだろう。


 だが、俺はまだ眠ることはない。

 自室で机に向かってでのんびりと自身の時を過ごしている。


 机の上には数々の武器と道具。

 大剣、細剣、刀、銃、槍、弓、などありとあらゆる武器とブレスレット、ネックレス、指輪、ピアスなどが俺の目の前にはあった。


 実は俺、武器やMWの収集、改造、製造を趣味にしている。

 今流行りの武器ヲタってやつだ。


 その中の銃を丁寧に拭いていると部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


 そう言うと、失礼しますという声の後にフィルが部屋に入ってきた。

 ほんのり赤い顔と若干濡れている髪を見るからにお風呂上がりのようだ。


 ちなみに俺はフィルと2人で部屋を借りている。


「どうした?」


 銃を拭く手を止めてそう尋ねる。


「お風呂空きましたので兄さんもどうぞ」


 そう言って微笑む姿はお風呂上がりだからか、妙に色気を感じる。

 まぁ妹だから興奮とかしないけどね!!


「兄さん?」


 おっといけねぇ、つい鼻息が。


「んじゃ、俺も風呂いってくるかな」


 そう言って立ち上がり、箪笥たんすから着替えとタオルを取り出す。


「あ、兄さん」

「ん?」


 呼び止められ、顔を向けると妙にモジモジしてるフィルがいた。


「今日はおめでとうございます。私は兄さんの妹で良かったと改めて思いました」

「お、おう……」


 そんな改まって言われると恥ずかしいじゃないか。


「今日で兄さんを見直した人も多いと思います。もしかしたら、人気者になってるかもしれませんね?」


 フィルはそう言って手を口元に添えて笑う。


「そ、そうかな?」

「はい、そうですよ。何か思い当たる節でもおありですか?」

「いや、そんなことはないけど……」


 突っ込まれたものの、俺はそれを否定した。


「そうですか」


 それ以上はフィルも特に何も言わなかった。

 相変わらず勘のいい奴だな。


 実は思い当たる節がなかったわけではない。

 この時の俺の頭にはランキング戦後の出来事が浮かんでいた。


 それは約5時間前のこと。




 俺は休憩やら昼食やらを済ませてから残りの試合を見ていた。

 そして今、ミラの試合とファウストの試合を見終わって一息ついたところだ。


「ありゃやべーな」


 だらしなく椅子にもたれながら俺は溜まっていた息を吐き出した。

 ファウストとミラの相手はそれぞれ学園ランキングの6位と8位。


 大集団のミストレア学園の中でもトップクラスの実力者を奴らは難なく退けた。

 まあお互いに本気を出しあっていたわけではない。


 だが、それでもファウストとミラの実力は学生レベルのそれを超えていた。

 残念ながら3位の奴は見ることが出来なかったが、もしかしたら2人に匹敵するのかもしれない。


「化け物揃いだなこの学校は」


 頭をポリポリと掻きながら俺は椅子から立ち上がった。

 もちろん帰るために。

 フィルに校門で待つと連絡を入れ、俺は控え室を後にした。


 そういえば、何故フィルはランキング戦に出なかったのか。

 ふと、そんな考えが頭に浮かんだ。


 というのもそもそもその考えに至ったわけはリューネ先輩がフィルに参加を提案していたのを今更になって思い出したからだ。


 ちょっとした裏話ではあるが。

 まぁフィルはすぐさま丁重にお断りしていた。


 1年生がランキング戦に出るのはきわめて異例と聞いた。

 ここ数年ではファウストとミラと俺だけらしい。


 だからこそ断ったのだろう。

 元々自分から戦いを好む奴ではないし、目立った事はしようとはしない。


 しかし、あいつは自身が持ったその類い稀なる実力で目立たないということはないが。

 繊細で、秀才で、天才なあいつは自分が目立ちたくなくても自然と目立ってしまう。


 そんなあいつに嫉妬を抱いていた時期もあった。まだ俺がガキの頃の話だが。


 今では俺は俺、フィルはフィルと受け入れているからやっていける。

 そんなことを思ってしまうのは俺が今日目立ってしまったからなのだろう。


 悪い意味でかいい意味でかは知る由もないが。


「まぁ、やっちまったもんは仕方ねえよな」


 1人寂しく呟きながら歩いている時だった。


「ん?」


 俺は見つけた。

 いつかの時のように壁にもたれながら立っているリリーの姿を。


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