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バカと天才は"神"一重  作者: 抹茶
入学編
20/88

第12話 


アクセス数の伸びが良かったので、つい更新しちゃいました!


是非評価とブックマークお願いします!


 まだ昼前ということもあり、太陽は真上から強い光を浴びせ続ける。

 チラホラと人の行き交いがある道路を俺とフィルの2人は歩いていた。


「友達は出来たか?」

「いえ、声をかけて下さった方は何人かいましたけどまだお友達と言うほどには……」


 そう言って髪を耳にかけるフィル。

 その仕草を見て周りの男の何人かは視線が釘付けになっていた。

 まあ当人は気付いてないようだが……。


 そんなこんなで帰り道の今は互いのクラスでの事を報告し合っている。


「まー、初日ってこともあるしAクラスだからな。プライドが高い奴等もいるだろうし」


 フィルの髪ほどの長さは無いが、男子にしては充分に長いそれをかきあげる。


「どういうことですか?」


 その言葉の意味がわからずに首を傾げるフィルに、俺は教えてやることにした。


「Aクラスってのは特に魔術能力の高い奴等が集まっているクラスだろ? 学年主席のお前はその中でも上位に入るってことだ。ライバル視する奴がいてもおかしくねーさ」


 特に男子はな……と付け加えて俺は笑う。


「男の子は血気盛んですからね」

「そういうこと。ま、わからなくはねえけどな」


 男女平等という主義こそあるものの、男としては女には負けたくない……と、そういうことなのだろう。


「兄さんもそう思ったりするのですか?」


 フィルは含み笑いというか何か企んでいそうな笑みを浮かべながら俺に問いかける。


「ん~どうだろ? 俺も負けるのは好きじゃねえし、まあお前には負けるけどな」

「またまたご謙遜を」


 俺の返答が予想通りだったのかはわからないが、その顔は何処か楽しそうだった。

 俺とフィルの左手の人差し指には同じ銀色の指輪が嵌められている。

 テトラのと似ているが、彼女のとは少し違い複雑な文字が刻み込まれたその指輪。


(こりゃまた何か考えてるな~)


 フィルの表情から意図を読み取り、俺は微妙な面持ちで見つめる。


「大丈夫ですよ、兄さんと戦おうなどとは微塵も考えていませんから」


 フィルもまた、俺から何かを読みとったらしくイタズラっぽい笑みを浮かべてそう言った。


「ま、いずれな」

「はい、いずれ」


 深い意味を持ったその言葉はそよ風と共にどこかへと舞い上がっていった。

 その意味がいずれくるときは訪れるかどうか……それは俺にはわからない。




 ◇




 PM8:00


 ミストレア学園内にある理事長室。

 一目見ただけで豪華だとわかるその部屋。

 ソファ、机、椅子、その他諸々全てが高級品であり上の人物の部屋なのだろう。


 室内には貴族が身に纏うような衣服に身を包んだ威厳のある60代くらいの男と、ベルドの姿があった。


「久々ですね」


 ソファに座りながら机の上の書類に目を向けていた初老の男はボソッと呟く。


「そーッスね~」


 その向かいのソファに座るベルドは気だるそうだった。


「いつでしょうか? 最後にEクラスが設立されたのは……」

「13年前ッスね」

「ということは、貴方が入学した歳ですか」


 男は少し驚いたように書類から顔を上げてベルドを見た。


「っつーか覚えてなかったのかよ。ジジイも歳食ったな~」

「貴方もでしょうに」

「ぬかせ」


 明らかに目上であろう男にベルドはまるで友達のように話す。しかし男もそれを気にすることはなく、淡々と話す。


「それで、元Eクラスから見て今年の生徒達はどうですか?」


 男はベルドにそう尋ねる。


「まだ授業も始まっていないから詳しくはわからんが中々面白そうだ」


 そう言ったベルドの顔にはいつの間にか笑みがあった。


「貴方が言うのなら間違いは無さそうですね」

「というかそもそもにEクラスってのは特殊な奴等の集まりだからな。それにあれくらいの生徒数が丁度いい」

「そうですねぇ。まあ、あの頃は人を多く集めてましたからね~」

「つまり今年の奴等は本当の意味で持ってるってことか」


 お互いに顔を見合せて楽しそうに笑う。


「最初は何でこんなやり方って思ったが、今ではあれで良かったと思ってるわ」

「ほう、貴方がそう言うなんてあの頃からは想像もつかない」


 明らかに演技とわかるくらい大袈裟なリアクションをする男。


「ハッ……。ジジイこそ"鬼"と呼ばれてたあの頃からは想像もつかねえだろうが。お互い様だわ」


 ベルドは鼻で笑う。


「ハッハッハ。私はまだフサフサですよ?」

「頭の事じゃねえよ」


 男の言葉に呆れたような表情で言いながら、ベルドはポケットからタバコを取り出して火をつけた。


「禿げますよ?」

「テメェに言われたくはねぇ……。ところでジジイ」


 天井に煙を吐きながらベルドは真剣な目をして男の方を向く。

 男もまたベルドに視線を合わせる。


「何でしょうか?」

「リオード・アンタレスは何者だ?」


 短く……だが、多くの意味を含めたその質問。

 男はその質問に答えることはせず、無言でベルドを見つめる。


「アイツは俺が教室に入ってきた時、気付かれないように俺を観察してた」


 問い詰めるように視線を鋭くする。


「それに気付いた貴方は素晴らしいですね」

「茶化すんじゃねえよ。質問に答えろ」


 ベルドは男の言葉を素早く切り捨てる。

 微笑を浮かべた男とベルドの鋭い視線が重なり沈黙が辺りに生まれる。


「ハァ……」


 その沈黙を破ったのは男のため息だった。


「リオード君は私の知り合いのお子さんです」


 諦めたように肩を(すく)ませ、男は言葉を紡いだ。


「アンタの知り合いって事は……」

「えぇ、そうなりますね」


 短い言葉同士の投げ合いだったが、ベルドにはその意味がわかった。

 しかしそうなるとまた別の疑問が生まれてくる。

 更に尋ねようとしたベルドを男の手が遮る。


「担任の貴方には伝えておきますよ。実は──」


 男はベルドに全てを話した。

 リオードの事、そしてリオードを取り巻く全て事を。

 ベルドは始めこそ驚いた表情で聞いていたが、終盤に向かっていくに連れて納得したような顔になっていった。


「なるほどな……。だからあの2人をAクラスとEクラスに」

「そういうことです。あの2人には革命の中心となっていただきます。」


 ベルドの反応に満足げな笑みを浮かべると、机の上にあった書類を引き出しの中にしまった。

 その書類にはビッシリ打ち込まれた文字にリオードとフィルの写真があった。


 今、物語の歯車は回り始めた。

 リオードとフィルを中心に。

 この学園全体を……いや、国を巻き込んで。

 2人を待ち受けるのは巨大な闇か……それとも広大な光か……。


 その先を知るものはまだ誰もいない。


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