おまけ
「では、一度帰ります」「さくっと戻ってくるから」
小雪とカオルが言った。
晴れ着を汚してはいけないので、着替えてから皆でカレーを食べに行くことになった。
男性陣が境内で待つ間に、カラスは絵馬を持って、木の上に飛んで行った。
「ソラちゃん、絵馬がスゲー気に入ったみたいッスね」
桂馬が見上げて言った。カラスは絵馬を器用にくわえキョロキョロして、何かに見せびらかすような動作をしている。
「ソラ、落とさないようにねー」
ノアがのんびりした声をかけた。
カラン、と音がした。
「あ、落とした。拾ってやるか」
寿が笑った。
「平和ですね~」
乙川が言った。速水と乙川は車のそばにいる。カラスは絵馬を拾いに降りて来た。
「何カレーにしようかな」「そこはモチだろ!」「カツカレー?」
ノア、寿、桂馬の楽しそうな会話が聞こえる。
「絵馬は来年、炊き上げに持ってこようかな…」
速水は微笑した。
神社の境内では、鳥達が良く鳴いている。
「そうだ。遅くなったけど、皆も、明けましておめでとう。――今年もよろしく」
「店長。誰に言ってるんですか?」
乙川が尋ねた。
「さあ。カラス?」
速水は笑って首を傾げた。
〈おわり〉
☆今年もよろしくおねがいします☆