SS カラスと速水
カラスといちゃいちゃするだけです。
①『オスかメスか』
夏が終わり、そろそろ涼しくなる頃。
速水朔と如月隼人は、いつものように速水の部屋でだべっていた。
夕方のニュースに飽きた速水はカラスを構って、両手で持ち上げたりして遊んでいる。カラスは時折羽ばたき、撫でられて目を細める。
速水はカラスのくちばしを指で撫でて、カラスに指を甘噛みをさせていた。
如月隼人は微笑ましい光景に目を細めつつ。テーブルの端で菓子をつまんでいた。
「そう言えばそのカラスって、性別は?オスかな?メスかな?」
隼人は速水に問いかけた。
「性別」
問われた速水は復唱した。
……そう言えば気にした事が無かった。
だが裏返して見るのは失礼だろう。
見ても分からないし。
「お前、オスかメスか?」
ガー?
と首を傾げられた。
「じゃあオスだな」
速水は勝手に決めた。
■ ■ ■ ■ ■ ■
②『一緒にお風呂』
速水は湯船に浸かり、歌を歌っていた。
「カラスが」
がー
「鳴いたら~」
ガー。
「かえりましょう~」
最後は合いの手は帰ってこなかった。
カラスは大きなタライで行水を始めた。
バシャバシャと勢いが良い。
タライには水を入れてある。カラスは湯には浸かりたがらない。
五回ほどバシャバシャやって、ようやく気が済んだらしいカラスは、トントンと勝手に風呂場から出て行った。
脱衣所の扉を閉めてあるから、今日もあの辺りで羽ばたくのだろう。
――鳥は湯に浸かると風邪を引いてしまうので、一緒には浸かれない。
「…プールに連れて行けないかな」
速水は一人呟いた。
■ ■ ■ ■ ■ ■
③『カラスと海』
速水は海に来ていた。
……海は好きだ。潮風が気持ち良いし、鳥も沢山居るし、カラスも沢山飛べる。
適当に放して、羽ばたくのを見る。
――飛ぶのって、気持ち良さそうだ。
戻って来たカラスがいつもより大きく見えて、少しびびった。
『カラスと海』
速水は海に来ていた。
……海は好きだ。潮風が気持ち良いし、鳥も沢山居るし、カラスも沢山飛べる。
適当に放して、羽ばたくのを見る。
――飛ぶのって、気持ち良さそうだ。
戻って来たカラスがいつもより大きく見えて、少しびびった。
〈おわり〉