第1話 速水朔にインタビューしてみた
こちらはカクヨムの企画、登場人物にインタビューしてみた(https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054885452288)に参加した際に書いた短編です。
主人公の速水と、もう一人のゲストへのインタビューです。
インタビュアー:
「エボリューショナリティ・ダンスTVをご覧の皆様、どうもこんにちは!
毎回、超有名ダンサーをお招きして、インタビューするこの企画! 本日は、な、ななななんと、ブレイクダンサー、二代目JACKこと、速水朔さんにインタビューしちゃいます!アポ取るのがとっっても大変でした!ミステリアス&小悪魔、そんな彼の素顔、楽しみですね!番組後半で特別ゲストも乱入予定!?チャンネルはそのままで!」
スタジオ:
ライトブルーの背景に『JACK the 2nd』と書かれたポスターが何枚も貼られている。
壁際には良くある観葉植物。
画面の中心に足高のテーブルセット。テーブルは脚がシルバー、天板は白色。
左右の脚の高い椅子にそれぞれ男性が座っている。
左側は三十代半ば、無難なスーツ姿。赤いネクタイ。
――彼がインタビュースタッフだ。
対する右側の男性は、黒のスラックス、スニーカーにちょっとパンクな黒い長袖Tシャツ。黒の帽子はテーブルの上。
細身でスタイル抜群、目つきのやたらキツい、ショートカットの男性――。
要するに速水朔だ。
テーブルの上にはちょっと目つきの危ないクマのぬいぐるみが置かれている。
ピンク、青、黄色……速水は、それを触ったりしている。
イ「こんにちは。速水さん。今日はお越しいただきありがとうございます(超緊張)!お会いできて光栄です!」
速水「どうも。こんにちは(笑顔)」
――速水さんは笑顔。
――間近で見ると、……分かってたけど、すごくイケメン!ポスター以上です!
アイドルとかやってそう。
イ「速水さんが、目の前にいらっしゃるなんて感動します。速水さんはブレイクダンサーなんですよね」
速水「え。はい一応」
――オーラがすごい…。
――しまった、当たり前の事聞いてしまったぞ。
――彼は速水朔。二代目JACKと呼ばれる超有名ブレイクダンサー!
皆さんもご存じですよね。生ける伝説とうたわれた世界的なダンサー、先代JACKことジョン・ホーキングの遺志を継ぎ、ダンス界をリードしてるマジですごい方です!き、緊張するなぁ!
イ「では、さっそく質問に入らせていただきます」
速水「あ、はい」
【以下インタビュー】
イ:簡単に自己紹介をしてください。
「速水朔です。今は十八」
イ:犬派ですか? それとも猫派ですか? 理由も添えて教えてください。
「犬…猫。どっちも好きだけど、一番はカラスかな」
――速水さんはカラス派のようです。
イ:理由は?
「黒いから」
イ:大切な人はいますか? いたとしたら、なぜその人が大切なのですか?
「えっ?」
(少し戸惑う)
「うーん。親友ならいるけど……。理由……、大切だからかな」
イ「なるほど」
イ:10億円あったら、何をしますか?
「十億か……あっても、意外と使わない」
――速水さんめっちゃ稼いでそうですしね。
「クマのぬいぐるみでも買おうかな」
イ「十億全部ですか?」
(速水が笑う)
「いくつ買えるか試してみる。工場ごと買うのも良いな」
イ「目が本気ですね」
「工場作るのも楽しそうだな……」
(とても楽しそうなカオ)
イ:ここ最近で一番楽しかったことや面白かったことはありますか?
「ある!昨日ノアが、ジャンガリアンハムスターを懐に入れて暖めてた!」
イ「!?ハムスター!?」
「どうしたって聞いたら、拾ったって。あれ、かわいいよな」
――ノアさんというのは、速水さんのお友達のダンサーさんです。金髪碧眼の美少年で、私の知り合いにもファンがたくさんいます。
ちなみにハムスターは、無事飼い主の元へ戻って行ったそうです。
イ:悲しかったことはありますか?
「悲しかったこと……。やっぱり……ジャックが死んだときは、悲しかったかな」
――すみません、こんな事聞いて。
「いや。いいよ」
イ:目の前に傷ついた子供がいるとします。どうしますか?
「重い質問が多いな。ええと……抱きしめる?」
イ:見覚えがない異性が声をかけてきました。どうしますか?
「周囲に男性が隠れてないか注意する。――昔いきなり殴られたことがあって、それ以来気をつけてる」
イ「それは大変ですね」
「でも大抵、ファンの人とかで安心する」
(照れ笑い)
――おっと!珍しい表情!!カメラマンさん今の写した!?
(セットの外で親指を立てるカメラマン)
イ「今の表情、雑誌に使いますね」
「いや……えっと……」
どうぞ、と小さい声で言う速水。
【自由に質問】
イ「フリートークのお時間ですね。では視聴者からのFAXを」
①――ジャックさん、いつもかっこいいですが、何食べてますか?
イ:「これは好きな食べ物でいいかな?速水さんは……こうして間地で見ても肌がとても綺麗ですが、何か秘訣でも?(興味津々)」
(少し身を引く速水)
「顔は商売道具だから、気を遣ってる。なんとなくだけど」
イ:(地がイケメンって得ですね)「好きな食べ物は?」
「甘いもの――、じゃなくて、カラスとコーヒー」
イ「ちょ、コーヒーはともかく、速水さんカラス食べるんですか?」
「毎日食べる。嘘だけど」
②――行きつけの美容室やエステサロンを教えてください♡
イ:「だ、そうですが、多いですね美容関係」
(速水苦笑)
「ええと、日本にいたときは男性専用のサロンに通ってた。小学校の頃から。隼人――親友に変って言われたけど、そいつのほうが変」
イ:「へえ、すごいですね。どんな方――、いいえ、あ、すみません。次の質問へ移ります!」
(※速水が親友さんについて語ると長い、と言うのは、ファンの間でとても有名)
③――足を長くするには……、じゃなくて、ダンスが上手くなるには?
イ:「……ダンス上達の秘訣ですね、聞きたいです!」
「足は分からないけど、ダンスも……俺じゃない人に聞いたほうがいい」
イ「え、そうなんですか?」
(首をかしげる速水)
「……とりあえず、たくさん踊ること、かな……?あと基本とか、暗記……?いや……」
(延々考え始めてしまう)
「今日はダンス無しですよね?」
(スタッフに尋ねる速水)
イ「よかったら、後で見せてください!ネット配信分あるんで!」
――後で見せてもらえるそうです。ネットに上げます。
イ:最後に、この視聴者さん方にメッセージをどうぞ!!
「次回のワールドブレイクレボリューション、絶対勝つので見に来てください!できればカラスと一緒に!」
――カラスちゃん達、超逃げて!
イ:「ありがとうございました。ファンの方達はこれから大変ですね」
「いえ、これでいいのかな……。あ、野生のカラスは捕まえないように」
<おわり>