1話 世界の表と裏
かつて日本には戦争や多くの自然災害と戦ってきた。
幾度となく立ち上がり、幾度となく絶望から這い上がってきた。
しかし、今でもなくならないものだって存在する。
夢に破れた者や、他者によって打ち砕かれた者、希望を閉ざされた者など様々な者が存在していた。
何不自由なく暮らしている世界。
しかし、そこに裏側があったらどうなるだろうか?
表と裏が存在したらどうするか。
表の世界は政治社会に守られ、法律で定められている。
犯罪を犯した者にはそれに応じた処罰を下す。
平和な世界を作るために定められた法律を人々は中立な立場で世の中を見据えていく。
戦争は起こしてはいけない。
大勢の犠牲を出した戦争をもう起こしてはいけない。
風化させないために子供達に伝えていく。
それが何十年、何百年と続いていけば大勢の人間がそれを伝えてくれるはずだ。
どんなに身近な事でも風化してしまっては人々の意識から薄れていく。
記憶でさえもなくなってしまう。
教科書に載っている事はすべてが事実。
間違っているなら改定すればいい。
そして、それを世に伝えていけばいい。
間違っているならば正せばいいのだから。
しかし、それがなくなってしまってはどうなるのだろうか。
裏の世界は戦争はないが、法律というものは存在しない。
もちろん政治そのものもない。
じゃあ、どうすればいいのか。
自分達で作ってしまえばいい。
そして、正すのだと。
でも、それが表の世界と反映してしまったらどうなるのだろうか。
これはそんな世界を正そうとする人間と葛藤を繰り返す話である。