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竜王のドヴェルグと自己紹介をされ、瑠璃も慌ててペコっと頭を下げて挨拶を返した。
「あっ。はい。
よろしくお願いします。私は瑠璃と申します。」
「あぁ。ルリと呼んでも?」
「はい。構いません。」
「では、私のことはヴェルと呼んで頂けますか?」
にこやかに愛称呼びをお願いされ、瑠璃は戸惑う。
一歩後ろで同じ体制で控えていたエルオラはドヴェルグの言葉に驚愕し、一瞬目を見開く。
(えっ。王様なんだよね。いいのかなぁ.....。後ろの人もなんか、びっくりしたみたいだし。)
「えっと、ドヴェルグさん?あの....「ヴェルと」....ヴェルさん、シオンと何を話したんですか?」押しの強さについ、ヴェルと呼んでしまったが、本人が言うんだし、いいことにしようと、本題に移ることにした。
「水の精霊様にもお伝えしたが、まずは我が城へお連れしてもいいだろうか?ここは、獣王国との国境近くで、余り治安もよくは無いので、落ち着いて話せる場所へ移動をしたいのだが。」
じっと見つめてくる瞳に嘘は感じられない。
精霊たちも何も言わないと言うことは、偽りはなく、瑠璃の好きにしていいということだ。
何よりも、一緒に居たいとぼんやりと思う。
(初めて会ったひとについて行くのはどうかと思うけど、番であることはみんなに聞いたし...ゆっくり話を聞いてみることにしよう。)
瑠璃はこくりと頷き、「分かりました。一緒に行きます。」と、答えた。
「良かった。 エルオラ、先に戻りアーロンへ聖霊様と愛子様を連れて来ることを伝えてくれ。」
「はっ。御前失礼します。」
短く答え、エルオラは飛び立って行った。
「では、瑠璃は私の背『るぅ〜りぃっ!しろ いくの〜?』」
ドヴェルグの言葉にレモンか割り込む。
「うん。話しだけでも聞いておきたくて。いい?」
『もちろ〜ん。』『いいよー。』
『るりのすきにしていいぜ。』『はい。』『うんっっ!』
みんな頷きを返してくれる。
『るぅ〜りぃっ、ぼくのひかりで いてん しよ〜』
「え!すごい!レモンそんなこと出来るの!?」
『えへへぇ〜すごい?』
褒めて褒めてと言わんばかりにレモンがすりすりと頭を寄せる。
「すごいよ!」
よしよしと、頭をなでなでして、抱きしめる。
俺も、私もと瑠璃に擦すり寄ってくるみんなについ、もふもふと堪能する。
「あー。では、光の精霊様、私も一緒によろしいでしょうか。」
またもや、放置されかけたドヴェルグは少し遠い目になりかけながら、乞う。
「あっ。ごめんなさい。」
『い〜けど〜』
「では、精霊様、ルリ。移転をお願い出来るか?」
「はい!レモンお願い。お城へ移転してくてる?」
『はぁ〜い』
言葉とともに、レモンが尻尾を天に向けてピンっと伸ばす。
オレンジの尻尾が濃ゆくなり、ぱちんっと弾けて黄色とオレンジの光がキラキラと舞う中、視界がぼやけた。