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引継

 仕業三十分前になり、準備体操をする。やはり、いつもと違い、からだの痛みや重さを感じる。多分それが老化というものだろう。言える気がしないけど。さて、いくつか作られた引継応答集(即席)をまた一通り確認する。とりあえず気合いで何とかしろとのこと。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 列車が九分ほど遅れて到着した。とにかく、油さしを手に走る。庫内手やっていたときに、どこに油壺があるかは大体覚えた、注油すべき場所も。そして、軸等に触れる。触れられないくらい熱ければ、それは軸焼けを起こしているとわかる。とにかく手早くこれを終えて、停車時間を削らねばならない。


 ホームに戻る。そしてこれまでの機関士と引継だ。えっと、まず、カマの調子を聞かないと。


「―――?」


「あー、給水ポンプの温め器が少々漏れるのでね。」


「――?」


「ええ、都度都度給水ポンプ使ってきました。」


引継をしながら機関士席に着く。初めてだ。で、どれ程持ってきたか、だね。


「―、―――?」


「現車、九の三十一です。」


九の三十一か、そんなに重くはないかな?


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 機関士席に着いたのは初めてだから、少し怖いな。逆転機のレバーの奥にある、懐中時計を置く台に鉄道時計を固定する。 まずはブレーキの緩解試験と。澄んだブレーキ配管に空気が入る音と共にブレーキシリンダーの圧力が減る。もう一度ブレーキを掛けなおす。ブレーキ配管の空気が抜け、今度はブレーキシリンダー圧力が増える。左側の運転台壁面についた二本のレバーが手前を向いているから、それを奥に向ける。えっと、逆転機は、こっちに、かな?


「逆だ」


あ、ハイ。


「いいか、このカマの逆転機は動力逆転機だ。幸い空転検知がある。落ち着いていれば大丈夫だ。」


それでも、初めてでぶっつけ本番だからナー。どうなるだろう。

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