珍しいペット
その先に待つもの。深遠の闇と黄昏の記憶。
「珍しいペットを
お持ちのようですね」
彼は私の自宅の
別室にある檻の中を
物珍しそうに
眺めながら言った
「恐らく絶滅危惧種になります
よくある話だが繁殖しすぎて
まわりにあったものを全て
食らい尽くしてしまった
だから捕獲禁止に
指定される前に何匹か
確保しておいたのです」
私はそう言って笑う
彼はなるほどと頷き
食い入るように檻を
ずっと眺めている
やがて彼は私に
こう聞いてきた
「しかし本当に珍しい
この檻の中の動物は
一体何という生き物
なのかお教え下さい」
彼は初めて
見たのだろう
私は少しだけ
得意になって答えた
「人間といいます」