表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこキラーの逆襲  作者: AK
第9章   ── 悪の双子──
32/45

24   「そのイライラの世界にもっと深く」

 夜が明ける前に目が覚めた。時計を見ると四時少し前。もう一度眠り直そうと布団を頭までかぶったけれど、目が冴えて眠りに就くことはもうできなかった。諦めてベッドを出てコーヒーをいれる。ノートパソコンをつけて、それを飲みながら少しだけ小説を書く。キーボードを叩く音が慎み深く部屋に響く。ふと、その音を誰かに聴かせるために鳴らしているような奇妙な錯覚に陥る。小さな部屋でひっそりと文章をタイプしている自分自身の姿を、演劇でも見ているみたいに第三者の視点から眺めているような乖離の感覚を味わう。でもそれも長くは続かない。窓の外に目を向けると、いつの間にかその色合いは褪せたみたいに白み始めている。夜が明ける。眠りから目覚めた自動車が少しずつ動き始める。いち早く行動を起こすのは新聞配達のバイクだ。いがらっぽいエンジン音を立てながら、動いたり止まったりを繰り返している。鳥たちのさえずりも聴こえ始める。まるで余念なく噂話を交換し合っているみたいに、熱心に鳥たちは鳴く。

 僕は思い立って服を着替え、iPodだけを手に取って外へ出た。エントランスを抜けると、目の前には不思議なほど青く染まる街が拡がっている。イヤホンを耳に突っ込んで、気の向くままに足を進める。特に行くあてがあったわけじゃない。明け方の空気を肌に感じながら、ちょっとだけ歩いてみたい誘惑に駆られただけだった。空気は涼しげで、少し湿っていた。太陽に熱せられる前のアスファルトは、冷たい空気を思うままに吸い込んでいた。ときどき、ジャージ姿でジョギングをしている人の姿を見かける。犬の散歩をしている老人もいる。でも概ね街に人の姿はなく、自動車も近くを通る幹線道路を走る音がかすかに遠く聞こえるだけで住宅街までは入り込まない。僕はiPodを操作して女性シンガーの静かな歌声を聴きながら歩いた。それは早朝の静かな街角でイヤホンを通して聴くのにふさわしい歌声だった。気だるげで、少し低い、それでいて澄んだ響きの声は部分的にあの女の子の声に似ていた。僕は女の子が歌を歌っているところを想像してみた。でもそれは、何となく馴染まない光景だった。女の子のことを思い出すとき、どうしても静寂という舞台装置が必要だった。そう言えば、と僕は昨夜のことを思い出す。女の子が作ったゲームにも、やはりBGMはついていなかった。効果音すらない。ひたすら無音の中を、文字と画像だけが展開されていく。キーボードを叩く音だけが耳に残る。

 そんなことを考えつつ歩きながら、僕は自分が何かを探すようにあちこち目を走らせていることにふと気づく。電信柱の裏や塀の上など、新しいものが目に入るたびにレ点でも付けるみたいに何かがいないかチェックしている。何か? それは多分ねこなのだろうと僕は思う。無意識のうちに僕はきっとねこの姿を探し求めていた。あの黒白ねこかもしれないし、あるいはねこであればどんなねこでも良かったのかもしれない。ともかくそれは見つからなかった。夜行性のねこは夜明けすぐには散歩をしないのかもしれないし、あるいは単純に確率の問題なのかもしれない。僕はねこの代わりに一羽の大きなカラスを見かけた。それはゴミ袋の上に器用に立ってその中身を疑わしげに観察していた。僕の姿に気づくと挑戦的にかあと鳴いた。僕はまじまじとカラスを見つめた。おそらく大人のカラスで、改めて見るとカラスという生き物はなかなか大きいんだな、と思わせるのに十分な体格をしていた。羽の色同様真っ黒な嘴は固く尖っていて、僕は少女の屍肉をついばむ写真を思い出して戦慄を覚えた。人喰いカラス(・・・・・・)。僕は視線を逸らしてなるべく相手を興奮させないようにその場を立ち去った。離れた場所で振り返ると、カラスは自分の足許のゴミ袋をつついていた。

 アパートに戻るとエントランスの郵便受けのところに定型の封筒が投函されているのを見つけた。出かけるときには気付かなかったけれど、おそらく昨日のうちに届けられていたのだろう。差出人の名前はなかった。ただ僕の部屋の住所と「岸谷様」という名前だけが手書きで書かれていた。僕は部屋に帰って開けてみた。中には大須のライブハウスのチケットが一枚だけ入っていた。出演バンドの一覧に「それいゆ」の名前があったから、ユサが送ってきたのだろうと推測する。開催日は今週の金曜日。午後五時からのスタートだけれど、「それいゆ」の演奏が何時ごろ始まるかは分からない。とりあえずチケットは冷蔵庫にマグネットで留めておいた。後でユサに確認しようと決めた。

 昼ごろまではまた「ねこキラーの逆襲」を書いた。十二時を過ぎても女の子は訪ねてこなかったので、簡単にひとり分の昼食を作った。冷蔵庫から取り出したカツオの切り身を塩水とローレルの葉で茹でて大まかに切った。野菜と盛り合わせて軽くオリーブオイルを降り、その隣に昨日のポテトサラダを添える。紅茶をいれて、切り分けたバゲットを齧りながら食べた。食後にチョコチップ入りのクッキー数枚をお供に残りの紅茶を飲んだ。食器を流しに戻した後、ベッドに寝そべって川端康成の小説をめくる。一時間ほど集中して読む。小説は終盤に差し掛かっていたけれど、最後まで読み通すには少し疲れてきていた。ちょうどその時、テーブルの上の携帯電話がメールを受信して振動したので、それを口実に僕は本を閉じた。画面を開いて確認すると、意外なことにそれは「夜鷹」からだった。アドレスを見ると彼も自前の携帯電話から送っているらしかった。「ちょっと相談したいことがあるんです」と彼は書いていた。「まだキシさんの自宅のネット環境は復活してないんでしょうか? メッセが使えるならいいんですけど、もし使えないようでしたら、今から電話をしちゃってもいいでしょうか?」そして文末には彼の電話番号が添えられていた。僕は携帯電話を閉じてから、ちょっとだけ考えて、再びメールを開くと「夜鷹」の教えてくれた番号にコールしてみた。三秒ほど時間を置いてからもしもしという輪郭のくっきりした声が耳に届いた。キシです、と僕は名乗った。矢崎さんですよね? メールを見ました、僕に何か用事なんですか?

 早いですね、と矢崎は笑いながら言った。メッセの文章ならwがついているな、と僕はふと思った。矢崎は僕に、自宅のネット環境はいつごろ元に戻るのかと訊ねた。まだ修理の依頼もしていないのでいつになるか分からないと率直に答えると、ほんとですかとまたwを付けたような笑い声で矢崎は言った。キシさんもうネットには繋がないんですか?

 そういうつもりじゃないけど、と僕も釣られて笑いながら答えた。なんか面倒臭くてまだ手を付けてないだけです。相談したいことって、ネット環境が必要なことですか? もしそうなら早いうちに修理に出してもいいですけど。

 絶対に必要というわけじゃないんですけど、じゃあまずは相談の内容から始めますね。あ、電話大丈夫ですよね? 実務的で明確な矢崎の喋り方は、大学時代に演劇に携わっていたという彼自身の話を納得させる。どうせ暇なので一時間でも二時間でも半日でも大丈夫ですよ、と冗談めかして答えると、くっきりとした笑い声が返ってきた。そしてその笑い声を引き出しにしまうみたいに丁寧に収めてから、何かしら期待を込めたような声で矢崎は訊ねた。キシさんはリレー小説ってご存知ですか?

 実際に参加したことはないです、と僕は何故か前置いてから言った。でも「ぬー」で何度かそういう企画を見たことはあります。複数の書き手がリレー方式でひとつの物語を順番に書いていくんですよね? その程度の理解でよければ持ち合わせていますけど。僕の答えに、それで十分ですと矢崎は言った。それなら話は早い。そして矢崎はひと呼吸おいてから予想通りの提案を僕に投げかけた。キシさん一緒にリレー小説を書いてみませんか?

 だからネット環境が必要なんですね、と僕はすぐに矢崎の質問へ答える代わりに納得したような声を装って話をずらした。ええ、まあ必須ってわけじゃないですけどね。即答を避けたことを察したのか、矢崎の声はほんの少しだけ先程までの明確さを欠いているように思えた。キシさんの自宅のネット環境が整っている方が、データのやり取りはテンポ良くできますからね。でももちろん、データを送るだけなら大学のパソコンを使うこともできるしネットカフェだってあります。問題は利便性です。細かいデータを短い期間にやり取りするわけだから、それが煩わしくなければいいわけです。もちろん投稿のスパンにも依るわけですが。相槌を打ちながら頭の中で計算を働かせている僕に、矢崎は予想外に核心を突いた言葉を差し込んで僕を驚かせた。でもキシさんあまり乗り気じゃないみたいですね。

 まだイメージできていないだけです、と僕は慌てて取り繕った。僕自身はリレー小説なんてものに参加したことはなかったし、こういう言い方は変ですけど僕の小説の書き方はそういう企画に向いているとも思えない。自分勝手な書き方をしますからね。参加しても他の人に迷惑をかけてしまうんじゃないかと、それが心配です。少し間を空けて、本心からこう言った。迷惑をかけないようにマイルドに書く事は正直言って面倒くさいし。矢崎は不思議そうに言った。キシさんがマイルドに書く必要なんて全然ないですよ、それじゃ無意味です。それに、迷惑をかけるとかそんな心配をする必要もないです。だいたい、リレー小説なんて九割以上は成功しないですよ、大抵破綻したりやる気が続かなくなって、最後まで書き切れずに終るんです。僕は別にそれでもいいと思っています、何かひとつの作品を作るというよりも、他の人とひとつの物語を書くということが重要だと思っています。面白そうじゃないですか? そして急に声を弾ませて僕に訊ねた。ああ、もしかしてキシさん、もっと大人数での企画だと思っています? 「夏祭り競作企画」みたいな? そういうのとは全然違いますよ、もっともっと小規模です! 僕はキシさんとサシで、つまりふたりでリレー小説を書きたいと考えているんですよ。

 サシで、と僕は繰り返した。そうです、と矢崎は嬉しそうに言った。それに、書いたものをオープンにするかどうかも決めてません。だから人目を気にする必要もないし、ぶっちゃけお話が破綻したっていいんです。さっきも言いましたけど、書いたものが最後まで続かなくたっていい。面白くなくなったら途中でやめちゃえばいいんです。確かに大人数だとそのへん面倒ですよね、変にしがらみができちゃうとやめるのも続けるのも難しくなる。僕だって大人数のリレー小説はやろうと思いません。馴れ合い的な空気もうんざりです。どちらかと言うと、僕が欲しいのは刺激です。キシさんと共通の物語を書き進めていくのは、すごく刺激的だと思います。だからマイルドに書く必要なんて全然ないです、むしろダメなことですね!

 マイルドじゃなくていいなら、書けるかもしれない。そう答えると矢崎は楽しげに笑った。実際にどういう形で始めるか、もう少し形を煮詰めたらまた改めて相談すると矢崎は言った。今日はとりあえず、キシさんからゴーサインがいただけたところまででオーケーです。それがないと何も始まりませんからね! キシさんからは何か、ルールについてリクエストはありますか? 特に何も思いつかなかったのでそう答えた。そして、どうして僕にリレー小説の話を持ちかけたのかと訊ねてみた。真逆ですから、と矢崎は答えた。キシさんの書くものと僕の書くものは全然逆の方向を向いている。人物の書き方も違うし見ている世界も違う。僕は以前キシさんにメッセで失礼なことを言いましたよね、キシさんの小説は読んでいると何だかイライラさせられるとか、そんなことを。でも僕は、そのイライラの世界にもっと深く入り込んでみたいんです。第三者としてでなく、当事者として、そのイライラに触れることができるとしたら、これはとても素晴らしいことです。それにね、キシさん。キシさんは言わないですけど、キシさんだって僕の作品に対してちょっとくらいはイライラする気持ちがあるんじゃないですか? というか、キシさんはきっと自分以外の全ての小説に対してイライラしているんですよ。それはプロアマ関係なく、質の高い低いに関係なく、この世のありとあらゆる小説に対して、好きな作品にも嫌いな作品にも、キシさんはきっとイライラしてる。だからキシさんにとってもリレー小説を書く事は、きっとメリットがあります。イライラの世界にしっかり関わってもらえます。面白い経験になるんじゃないかと思います。きっとなります。どうです、無理やり過ぎますか?

 まるで編集者みたいですね、と僕は笑った。矢崎も笑ったけれど、その笑い方には少しだけ陰りのようなものがあるような気がした。詳細が決まったらまた教えてくださいと僕は言った、こちらも早いうちにネット環境を元に戻すようにします。別れの挨拶をする間際に、思い出したように矢崎は訊ねた。そう言えば「みゅみゅ」さんとは会いましたか?昨 日の夕方にスターバックスで話をしたと伝えると、良かったですねと矢崎は言った。そうですね、と僕はあいまいに答えた。

 電話を切ると通話中にユサから着信があったことが分かった。急いで折り返しコールをする。誰と電話してたの? 電話が繋がるとすぐユサはそう訊ねた。友だちと、と僕は歯切れ悪く答えた。キシに友だちなんていたのと露骨に毒を含んだ言葉が返ってきた。僕の返事を待たず、チケットは届いたかとユサは訊ねた。大須のライブハウスのチケットだよね? という確認のための質問は無視された。今週の金曜日、とユサは相変わらず平坦な口調で念を押すように言った。キシ絶対来れる?

 特に予定もないから。何かユサを怒らすようなことをしてしまったかと思い起こしながら僕は答える。行けると思うよ。金曜日までに死んだりしてなければきっと行ける。

 金曜日までに何か死ぬ予定があるわけ? ユサは明確に腹を立てた声で言った。ねえキシ、お願いだからそういうくだらない返事であたしをイライラさせないでくれるかなあ? 死にたいならすぐ死ねば? いいよいいよ、金曜日まで待たなくていいから、今すぐ死ねよ。早く死ねよ!

 戸惑いつつ僕は謝った。とにかく金曜日は絶対来てねとユサは静かな声で繰り返した。だいたい十八時ごろに「それいゆ」の演奏が始まる予定だけれど、他のバンドの演奏状況により前後するから、余裕をもって来て欲しいと付け加えた。そうする、と僕は当たり障りなく素直に答えた。うん、と相槌を打つユサの声が意外なほどあどけなく聞こえた。

 チケットの代金は金曜日に渡せばいいかと訊ねると、払わなくていいとユサは答えた。あたし持ち(・・・・・)でいいから。キシはただ来るだけでいい。変に逆らってまた怒らせてしまうのを恐れたから、僕はおとなしく受け取ることにした。ありがとう、と伝えると、ユサは小さく笑ってばーかと答えた。そして通話は切れた。訳が分からないまま、携帯電話をテーブルの上に戻した。時刻は二時四十五分に差し掛かっていた。

 新しくコーヒーをいれ、それを飲み切るまで小説を書き進めた後、そのデータをUSBメモリに保存して大学に向かった。地下鉄に揺られながら川端康成の小説をおしまいまで読み、それから別の本を読み始めた。大学につくと数学科棟の計算機室に入り、USBメモリから小説のデータを取り込んでA4の用紙に両面印刷をした。熱を持った印刷用紙を厚手の封筒に入れてカバンにしまい、それから自分のメールボックスを確認した。佐伯ちひろから、昨日はありがとうございましたと簡単にメールが来ていた。それ以外には何も触れていなかったし、女の子からもメールはなかった。もちろん「夜鷹」からのメールもまだなかった。僕はインターネットから自宅近くの電気屋を検索してみた。ネット回りの修理を請け負ってくれそうな業者を探すためだったけれど、すぐに面倒くさくなってやめた。探し方の見当がつかなかったし、大型量販店はどこも自社のポイント制度やウェブ販売のことしか教えてくれなかった。電話で個別に問い合わせればいいのだろうけど、それが煩わしかった。結局、「夜鷹」から連絡があるまでは放っておこうと問題を先延ばしにして、計算機室を出た。時刻は五時近くを回っていたけれど、夕方というにはまだ早い。もちろん陽もまだ沈まない。僕は素直に自宅へ帰ることにした。クリスタルパレスのことも考えたけれど、きっと太陽の光があるうちはそれは僕の前には現れないのだろう。地下鉄に再度揺られながら、僕は印刷したばかりの自分の文章を校正しながら読んでいった。

 電車が自宅の最寄駅に近づく頃、封筒の中に紙片をしまって代わりにiPodを取り出した。イヤホンを耳に突っ込み、停車して左右に開いた扉を通り抜ける。地下鉄駅構内の階段を昇りながら機械を操作して選曲し、久しぶりに「それいゆ」の楽曲を再生する。ユサのベースに耳を澄ませるよりも、全体の調和を意識して曲を聴く。改札を抜け、さらに階段を昇って地上に出る。まだ強い日差しが容赦なく地面を焦がしている。日陰を選びながら自宅の方角へと歩いていく、片側三車線の幹線道路から細い道を通って住宅地に入る。今朝、大きなカラスがつついていたゴミ袋はすでに回収されて空っぽのゴミステーションだけが取り残されている。もちろんカラスの姿もない。そして誰もいない。もとから静かな住宅街ではあるけれど、奇妙なほど誰もいないことにふと気づく。イヤホンを取り外すと物音さえ聞こえない。聞き耳を立てているような湿った静寂と、肌に感じる強い視線。またか、と僕は思う。クリスタルパレスに近づくときに感じるあの雰囲気。でもここは、少なくともクリスタルパレスじゃないはずだと僕は思う。ここは見慣れた場所で、僕の自宅のアパートの近くだ。そして太陽はまだ沈んでさえいない。橙色の日差しは街のあちこちをくっきりと色付けしている。それでも僕は見覚えのある風景の中を不思議なほど現実感をなくして立ち尽くしている。まるで夢の中で夢と気づいたときのように、感覚だけが置き去りにされて遠近感を失う。

 僕のアパートに何かがいる、と僕は直感的に思った。そいつはきっと僕の部屋にいる。僕が戻るのを待ち受けている。そしてきっと、そいつはクリスタルパレスに深く関わっている。僕は額の汗を拭った。きっとそれは、暑さのせいだけじゃない。僕には予感があった。僕はこれから何かとても重要なものを目にするのだと僕は思った。僕は止めていた足を再び進め始めた。アパートのエントランスが見えるところまでやってくると、僕は自分の目を疑った。アパートの入口のところにねこがいる。やや目つきの鋭い黒白のねこで、首輪はつけていない。そして遠くにいる僕を、しっかりと睨みつけている。微動だにしない。

次回更新は8/4(木)を予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ