12 「まるで翼でも生えて、どこかへ飛び去ってしまったみたいに」
その次の日の深夜にユサから電話がかかってきた。時刻は二時過ぎで、当然僕はベッドで眠っていた。テーブルの上で携帯電話が振動し、暗い室内に小うるさい音を延々と響かせ続けていた。僕は寝ぼけたまま手を伸ばして携帯電話を取り、その画面を確認した。それがユサからのコールであることを知って、僕はすぐに電話に出た。たぶん僕はひどく不明瞭な声で応対したのだろう、一瞬ためらうような沈黙の後で、ユサは探るような声で訊ねた。変な時間にゴメン、もしかして寝てた?
まあね、と僕は素直に答える。電話が鳴るまでは眠ってたよ。僕は眠るのが早いんだ、その代わり朝も早く起きる。でも、別に構わないよ。どうせ夏休みは暇してるんだ。そして慎重に立ち上がり、明かりを点けるために壁際までよろよろと足を進めた。スイッチを押す。くっきりとした強い光が部屋を照射し、僕は顔をしかめてベッドに戻った。メールくれたのにすぐに返信できなくてゴメンとユサは言った。ねえ、今から少し話とかしても大丈夫かな? 僕は目をこすりながら構わないと答える。ユサは話題の切り出し方に迷っているふうに、少しだけ間をあけた。僕はデジタル時計を見つめて正確な時刻を確かめる。AM 02:12:37 。一秒後にその表示が変わってしまう前に視線を戻し、頭の中にその残像を残しておいた。キシは新聞とか取ってる? ユサの唐突なその問いに、僕は瞬時についていくことができなかった。新聞? それに対し、少しだけ焦れたようなユサの声が返ってくる。そう、新聞。全国紙でも地方紙でも朝刊でも夕刊でも何でもいいから、ともかくキシは何か新聞を購読してる? 僕は湧き出てくるあくびを噛み殺してから、特に何も購読していないと答える。ユサは何かを推し量るように口をつぐんだ。急にあたりが静かになった。ただ、微かなユサの息遣いだけが携帯電話を通してわずかに聴こえる。僕は窓の向こうを見ようとした。でも窓にはカーテンがかかっていて、その向こうの闇夜の景色をうかがい知ることはできなかった。部屋の明かりを消して、カーテンを引いてみようかと思いついたけれど、それを行動に移す前にユサが口を開いた。昨日の夜に、市内で飛び降り自殺があったかどうか、知ってる?
飛び降り自殺? 言葉の不穏さに驚いて、僕は声を上げた。ユサは探るような声で、知らない? ともう一度訊いた。知らない、と僕は答えた。知らないけど、飛び降り自殺があったのかなかったのかは分からないよ。さっきも言ったとおり、僕は新聞も読んでないし。
新聞を読めば分かるのかな? 彼女に似合わない必死さの感じられる声でユサが訊ねる。それに対してはっきりと答えられない自分を歯がゆく思いつつ、僕は繰り返した、分からない。飛び降り自殺がどのくらい新聞の記事になるのか、よく分からない。年間に三万人以上の自殺者がいるらしいから、その全てを記事で追ってることはないと思う。地方紙がその地域の自殺をどのくらいまでフォローするのかも、よく分からない。学生の自殺だったら記事になる可能性は高いと思う、要するに注目される自殺ならね。でも一般的にどうなのかは、僕には分からない。そこで言葉を切って、僕はユサの返事を待った。でもそれはなかなか返ってこなかった。先ほどのように小さなユサの呼吸の音だけが耳に届く。僕は小さく息をついてから、ユサに訊ねる。どうしてそんなことを訊くの? ユサはすぐにはそれに答えなかった。でも、沈黙の向こうでユサが確かに何か言葉を探している雰囲気が伝わってきた。僕はそれを待った。カーテンが揺れて、風が部屋を通り抜ける。カーテンのわずかな隙間から、ささやかな夜景が目に映った。でもそれは、すぐに閉じた。もう一度小さく息をつくと、それに合わせたかのようにユサが口を開いた。その声音は渇いて硬かった。ビルの屋上から、飛び降りる人影を見たんだ。
いつ? 大分経ってから、僕はようやくそれだけを訊ねた。でもそれは、問う意味のない言葉だった。一昨日の夜だよ、とユサは明確に苛立った声で言った。僕が詫びると、ユサも小さくゴメンとつぶやいて、元の口調で言葉を続けた。一昨日の夜、家から少し離れた住宅街を歩いていたんだけど、そのときあるマンションの屋上から、人が落ちるのを見たんだ。もちろんあたりは暗かったから、はっきり見えたわけじゃない。でもそれは確かに人だった。屋上のぎりぎりのところに、人のシルエットが見えて、危ないなって思ってたら、柵を越えて飛び降りたんだ。落下していくのが見えた。あたしはびっくりして、足がすくんで、その場から動くことができなかった。早く確かめにいかなくちゃとは思うんだけど、怖くてどうしても動けなかった。ぐちゃぐちゃになって死んでる人の姿を、あたしは見たくなかった。でもね、冷静になって考えてみると、ちょっと変なんだ。そのマンションはそんなに離れた場所にいるわけじゃないのに、何の音も聞こえなかった。何かが地面にぶつかる音が聞こえなかったんだ。仮に屋上から落ちたものが人間じゃなかったとしても、あれだけの大きさのものがあの高さから落ちて、音を立てないはずがないんだ。そこでユサは少しだけ言葉を止めた。携帯電話を通して聴こえる、ユサの息遣いはわずかに荒くなっている。それで? と僕は静かに訊ねる。話を続けるユサの声は、少しだけ震えていた。勇気を振り絞って、あたしはそのマンションのところまで歩いていった。それで、何が落ちたのか確かめようと、あたりを探してみたんだ。でも何も見つからなかった。何かが落ちたはずの場所には何もなくて、そのマンションの周囲をめぐってみても、何もなかった。屋上のほうを見上げてみたけど、何もなかったし誰もいなかった。でもそのマンションは、確かにさっき誰かが飛び降りたマンションに間違いなかった。あたしは怖くなった。自分の見たものが見間違いだとはどうしても思えなかったから。屋上から確かに誰かが飛び降りたんだ。でも何かが落ちた形跡は、どこにも見当たらなかった。まるで翼でも生えて、どこかへ飛び去ってしまったみたいに。
翼? と僕はつぶやいた。でもそれに対してユサは何も言わなかった。それきりユサは口をつぐんでしまった、しばらくの間、お互い何もしゃべらなかった。お互いの息遣いだけをただ静かに聴いていた。風が吹いて、またカーテンがわずかに揺れる。僕は立ち上がると部屋の明かりを消して、目一杯にカーテンを引いた。空には何も見えなかった。何も飛んではいなかった。ベランダに出て、外の空気を吸ってみる。少し離れた位置にある幹線道路を走る車の音が、くぐもって聴こえる。僕は何もない空をじっと見続けた。そこには変化と呼べるものは何もなかった。変わり映えのしないもやもやとした暗闇が、ただ存在し続けるだけだった。ユサが咳払いをするのが聴こえた。僕も咳払いをした。そして、話しかけるべき言葉を探した。でもいつものように、それはすぐには見つからなかった。それを探しだす前に、先にユサが口を開いてしまう。結局、何も見つからなくて、しばらくそのあたりをうろついてみたんだけど、騒ぎ出す人もいなかったから、あたしは家に帰った。ベッドにもぐりこんで、寝ようと思ったけど、全然寝られなかった。朝まであたしは寝られなかった、柵を乗り越えて飛び降りる人影の映像が、頭から離れなかった。その人影が地面にぶつかって死ぬイメージが、頭の中で何度も何度も再生された。それがあたしには女の子に思えた。女の子が飛び降りて、頭から落ちて、頭をぐちゃぐちゃにする映像が、何度もリピートされる。イメージするごとに、それはどんどん鮮明になっていった。アスファルトに血と一緒にこびりつく髪の毛だとか、陥没して変な形に歪むおでこだとか。あたしはそんなもの見たくもなかった。でもそれは向こうから勝手にやってくる。そんなことを考えるのはよそうと思うのに、それは何の遠慮もなくあたしの頭に入り込んでくる。そしてあたしは寝られなかった、気づけば朝になってた。あたしはネットを使って、昨日の夜本当にあの地区で飛び降り自殺があったのかどうか調べようとした。どう探せばいいのか分からなかったから、結局何も見つからなかった。でもね、ネットに繋がって、情報を探している間はあの怖いイメージはあたしの頭にやって来ないんだ。だからあたしは不毛でもともかく午前中はずっとパソコンの画面にかじりついてた。それで、お昼過ぎにようやく眠くなってきて、ベッドに戻った。今度はすぐに眠れた。あたしはついさっきまでずっと眠りこけてたんだ、半日近くもあたしは眠り続けてた。おかげでキシからのメールには、全く気づけなかったわけだけど。
そこで、ユサは静かに長く息を吐いた。その音でようやく、僕はユサが電話の向こうで煙草を吸っていたことに気づいた。煙草の灰を落とす間をあけてから、ユサは言った。こんな時間に長々と話をしちゃってゴメン。キシに話をして、大分気が楽になった。でももう少しだけ、この話をしたいと思う。キシの都合さえ良ければ、今夜またあのバーで会おうよ。キシの「ねこ殺しの街」へ行った話も聞きたいし。
いいよ、と僕は答えた。話し合って、夕食後、夜の八時に店で落ち合うことに決める。おやすみとユサは言った。おやすみ、と僕も応えた。電話が切れて、僕の耳には幹線道路を走る車のくぐもった音しか届かなくなった。僕は大きく欠伸をした。でも眠気自体はやや薄れてしまっていた。部屋に戻ると僕はグラスにウィスキーを少しだけ注ぎ、それをあおってからベッドに戻った。眠るのに苦労したけれど、一度眠りに落ちると朝まで目覚めることはなかった。僕は夢を見た。夢の中で美しい長身の長い髪の女性が、深夜の静かな高層マンションの屋上にひとりで立っていた。そのすぐそばには大きなボストンバッグが置かれている。彼女の植物的なみずみずしさをもった黒髪を、風たちは好き勝手にもてあそんでいる。彼女はねこキラーだった。彼女は親しみをこめた微笑を眼下の夜景に向けていた。それとは別に、上空には鳥のような何かが先ほどから旋回を続けていた。でも暗闇のせいで、その姿は定かじゃない。ねこキラーがその姿を察しているかどうかは分からない。少なくとも、ねこキラーは頭上を見上げる素振りすら見せなかった。彼女には目の前の夜景にしか興味がないように見える。しばらくして、唐突に風がやむ。癖のないねこキラーの長い髪は重力に従って真下に流れた。彼女は微笑を宿したまま、わずかに腰をかがめて足許のボストンバッグに指をかけた。中身の詰まった重たげなカバンを持ち上げて、ねこキラーは柵のところまで歩いていく。そしてそれを降ろし、手すりを両手で握り、改めて眼下の夜景をじっと見つめる。風はまだ吹かない。ねこキラーはしゃがみこんで、ボストンバッグのファスナーをゆっくりと開けた。カバンの中には無数のねこが押し込められていた。カバン一杯に隙間なく、さまざまな種類のねこが詰められている。ねこたちは体が動かないらしく、バッグが開けられてもそこから逃げ出そうとはしなかった。窮屈そうなその体勢を変えないまま、ただ瞳だけを見開いて痙攣のように小さく体を震わせていた。ねこキラーは嬉しそうに微笑みながら一匹のねこを取り上げる。全身の筋肉が弛緩しているように、抱えられたねこはだらりと四肢を垂らしてただ瞳だけをねこキラーに向けていた。力なく開かれた下顎は、小刻みに動いて声にならない声を発している。ねこキラーはねこをかざすように持ち上げて、その姿を仔細に見つめた。四肢の先端や、毛並みの具合や、尻尾の形、そして最後にその顔を見つめた。体が動かないことを除けばねこの体に異常はなかった。怪我もなく、健康そうに見える。そしてその表情はうつろで、絶望の形を、うまく作れないでいた。瞳の揺れが、わずかにそれを暗示させるだけだ。観察を終えると、ねこキラーは躊躇なく抱えていたねこを柵の向こうに捨てた。ねこは落ちていき、闇の中に消えた。不平も不満も言わず、ただ落ちていった。ねこキラーはそれに見向きもしないでまた別のねこを取り出し同じことを繰り返した。観察して、捨てる。観察して、捨てる。ボストンバッグの中のねこたちは順番に消えていった。最後の一匹を柵の向こうに捨てると、空のボストンバッグも同様に投げ捨てた。矢のような強い風が吹き、ねこキラーの髪を引っ張る。ねこキラーは髪を抑え、上空を見上げた。先ほどの旋回する鳥のような影は、もう見えなくなっていた。
目を覚ましたのは八時過ぎだった。濁った眠気がまだ尾を引いていたので、いつもよりも濃くコーヒーをいれた。でも、それを飲んでもはっきりとした覚醒を取り戻すことはできなかった。意識の核がどこか遠くに置き去りにされているような、鈍い感覚に取り囲まれていた。コーヒーを飲み終えてからシャワーを浴び、丁寧に体を洗った。それでもぼんやりとした感覚は十分には拭えなかった。
時刻を確かめようと何気なく携帯電話の画面を見ると、今日の日付が八月三十一日であることに気づいた。それは「夜鷹」の競作企画の締め切りの日だった。今日中に、「夜鷹」あてに作品のデータを送らなければならない。僕は最後にもう一度書き直しをしておこうと思った。でも今は、何かを読んだり書いたりするには頭が鈍くなりすぎていると自覚した。いっそこのまま投稿してしまおうかとも思ったけれど、まだ作品の中に取り除かれていないミスが潜んでいるような気がして、決断できなかった。昨日印刷した紙をカバンに入れ、外に出かけることにする。どこかで昼食でも取り、美術館か何かにでも寄っていこうと思った。そうすれば、少しは意識もはっきりするかもしれない。再度携帯電話の画面で時刻を確かめると、すでに十一時目前だった。
外は真夏を実感させる暑さだった。日向と日陰の境は必要以上にくっきりとした線を描き、アスファルトは赤熱するかと思われるほどに熱せられ、ツクツクボウシの鳴き声は悲壮感すら感じられた。日陰を探しながら歩き、地下鉄駅に降りた。構内はいくぶん涼しかった。改札を抜け、階段を降り、やって来た電車に乗るとさらに涼しかった。そのまま十分ほど揺られ、電車を降りる。改札を抜けても地表には上がらず、入り組んだ地下街を歩いていく。目についた洋食屋に入り、僕はオムライスとビールを注文した。よく冷えたビールがすぐに運ばれてきた。それを飲みながら僕は「アイスパレスの王女さま」を読み返そうとした。でもひとつひとつの文章を目で追ってみても、それが実感として感じられることはなかった。手のひらで水を掬うように、それは呆気なくこぼれていってしまう。僕は諦めて紙をカバンにしまい、ビールをすすりながら料理を待った。そのうちに運ばれてきたあまり感動もないオムライスをゆっくりと食べ、ビールを飲み乾し、僕は店を出た。軽い酔いの感覚がじんわりと体を包み込んでいた。
階段を上って地上に出て、近くにある小さな映画館に向かった。ビルの一室を間借りしているミニシアターで、これまでにも何度か訪れている。この日何を上映しているのかは分からないけれど、ともかくあの狭く暗い部屋の中でゆっくりと映画を視たい気分だった。二、三分歩き、朽ちかけた雑居ビルめいたその建物に入る。狭い通路を進み階段を上ると、踊り場のところにポスターが貼ってあって今日の上映作品の一覧が書かれていた。それによるとちょうど二十分後にコーヒー貿易に関するドキュメンタリーが上映される予定だった。階段を上ってさらに通路を進み、ミニシアターのある部屋のドアを開ける。カウンターの向こうに立つ店主に料金を支払い番号札を受け取る。すでに何人かの客が待合室のソファに腰をかけ、雑誌やらパンフレットやらを読んでいる。僕も空いている席に腰を降ろし、上映されるドキュメンタリー映画のパンフレットを読んでみた。でもやはり、文章は僕の頭に留まらずすぐに何処かへ流れ去ってしまう。僕はパンフレットをカバンにしまい、iPodを取り出した。そしてユサの参加するバンドの曲にカーソルを合わせた。演奏が始まり、僕はそのベースの音に耳を澄ます。どういうわけか、いつもよりもベースの音がはっきりと主張をしているように感じられた。明快で力強く、ベースの低音は曲の構造の中に確かな軌道を築いていた。僕はしばらくの間その音に聴き入っていた。
一つ前の上映が終了したらしく、奥の部屋から視終った観客がぞろぞろと出てきた。僕はイヤホンをはずしてiPodをカバンに戻した。退場が済むと店主が次に上映される映画のタイトルをコールし、番号札の順番に次の観客を奥の部屋に案内していく。四番目に僕は部屋に入り、空いているシートに座った。観客の入場が済むとドアが閉じられ、照明も落とされて部屋は暗くなった。予告編の後に本編を上映しますと店主がアナウンスをし、スクリーンに映像が映し出された。イタリアの短編映画と北欧のパペットアニメーションの予告編が流され、その後で本編が始まった。先進国で大量に消費されるコーヒーの映像が映し出され、その次にコーヒーを栽培する発展途上国の貧しい農家の映像が対比されて流された。麻袋に詰まれるコーヒー豆を見ながら、僕は今朝の濃いめにいれたコーヒーの味を思い出した。舌の上に、コーヒーの苦味がまだ残っているような気さえした。でも、おそらくそれは先ほど飲んだビールの苦味なのだろう。ビールのアルコールはゆっくりと現在進行形で僕の体をめぐっていた。アルコールは僕の頭を甘く痺れさせ、目の前の風景を霞ませた。僕はいつの間にか眠っていた、まどろみながら何度か目にした細切れな映画のシーンは、フォトアルバムのように断片的に僕の記憶に残っていた。目覚めるとすでにスタッフロールが流されている。僕は頭を振り、ゆっくりと息を吸い込んだ。酔いは去り、まるで長い冬眠から覚めたように意識はクリアになっていた。しばらくしてスタッフロールが終り、照明が点いた。観客たちは立ち上がり明るいロビーへと出て行った。僕もそれに続く。カウンターでは書籍やCDなど関連商品が売られ、ちょっとした列になっている。フェアトレードによるコーヒー豆も売られていたけれど、僕は列を素通りして外に出た。時刻は三時を少し過ぎていた。
僕は地下鉄に乗り、真っ直ぐに自宅へ帰った。部屋に戻るとコーヒーをいれた。それを飲みながら「アイスパレスの王女さま」を読み返し、文章の書き直しに取り掛かった。ぼんやりとした感覚は抜け切っていて、文章を読むことも書くことも、問題なくできた。ただ、書き直し自体はあまりしなかった。昨日までの書き直しで、作品はほぼ固まっていた。書き直す部分も付け加える部分も、もうそれほどなかった。僕は最後にもう一度作品を通して読んでから、「夜鷹」にメールを送り作品のデータを添付した。それから簡単に夕食を作り、ひとりで食べた。ドストエフスキーの小説をじっくりと読み、時間になると戸締りを確認して部屋を出た。そして、ユサとの待ち合わせ場所であるなじみのバーに向かった。
次回更新は6/25(土)を予定




