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エンジェル  作者: Mr.J
3/3

魔王サタン(地獄の決闘編前編)

「あ〜〜〜・・・・。」

サタンはさっきから嘆くかため息をつくか、どちらかしかしなかった。

「あきらめろ。」

「うっさいなぁ・・・・あ〜〜〜・・・・はぁ・・・。」

ルシファーはサタンを無視して先を歩く。

「やっぱ今回はお留守番ってことで・・・。」

「だめ。」

「だって!!殺されるって!!絶対殺される!!!」

「ちゃんと話は通してあるから大丈夫だ。」

「大体さぁ!なんで神の所有物を天使が守るわけ!!?」

「神と天使ってのは単なる階級みたいなもんだ。

神より強い天使だっているし、天使より強い神も居る。」

しかし、サタンはなおも抵抗する。

「ハデスの旦那は天使より強いだろ!!!?

オリュンポス十二神ぞ!!?」

「しらねーよ。」

「罠だ!!

きっとこれはボクを殺すための罠だ!!!」

「・・・。」

「っというわけで帰ります。」

サタンは180度方向を変えた。

ルシファーはサタンのクビ根っこをつかんだ。

ズルズルサタンを引きずりながら地獄へと向かう。

「い〜や〜だ〜〜〜〜、助けて〜〜〜!!神よ!ボクに慈悲を!!!!」

「悪魔が何云ってやがる。」

ルシファーは呆れながら目的地へ足を進めた。

その間、サタンの不満の声が尽きることはなかった。



〜地獄・ヘルズゲート〜

「グルルルル。」

地獄の門まで来たところで2人は足を止めた。

目の前に巨大な犬が立ち肌かえる。

門番・ケルベロス。

3つの頭を持つ番犬だ。

「あ・・・ども。」

サタンは軽く頭を下げた。

ケルベロスはずっとサタンをにらみつけている。

「おまえ、なんかあったの?」

「コキュートスから逃げるときに・・・ちょっと。」

「まっていた・・・。」

「ひ!」

サタンはすかさずルシファーの影に隠れた。

1人の男がケルベロスの下を通って歩いてくる。

オリュンポス十二神が一人、地獄の神ハデス。

「こっちだ。」

ハデスはサタンを視界に入れながら地獄へと招き入れた。

「っで?どこにあるんです?

オーディン殿から預かった永牢の石タルタロスは・・・。」

「最下層だ。」

「やっぱりか・・・遠いな。」

ハデスは黙々と地獄を進む。その後ろをルシファーが進み、そのすぐ後ろをサタンがコソコソついていく。

「・・・。」

「・・・・。」

「〜〜〜〜〜〜〜。」

なんとも気まずい空気が流れる。



▽▼▽▼


「ここだ。」

そこは地獄の最下層。

極寒の牢獄コキュートス。

以前、ここでサタンは凍結封印されていた。

「おまえよくこんな遠いとこから逃げれたな。」

「いやぁ・・・あははははは。」

サタンはちらりとハデスを見る。

その目はいつでもおまえを殺すと言っている。

「まったくだ。オーディン殿からもっと早くタルタロスを預かっていれば逃がすこともなかったのにな・・・・。」

「〜〜〜・・・。」

(無理だルシファー!やっぱ帰る!!!)

(あ?今離れて地獄で迷子になったらおしまいだぞ?)

(ならないよ!一回ここ抜けてるんだから!!)

「ちなみに・・・。」

コソコソ話すふたりにハデスは割って入った。

「今仕事をほったらかして逃げたら・・・容赦はしない。」

「・・・・・・。」

サタンはおとなしくなった。

「んで?タルタロスはどこに?」

ルシファーはあたりを見渡す。

どこを見てもそれらしい物は見当たらない。

「どこかにはある。」

「・・・。」

「ところで。」

サタンは二人に向き直る。

「そのタルタロスを狙ってるのって誰?」

『そいつは俺さ!!』

地獄中に響く声がした。

その瞬間、突風が巻き起こり、三人は散り散りになった。


「いつつつ・・・。」

ルシファーは起き上がる。

一瞬の間に結構上の階まで吹き飛ばされていた。

「ありゃ転移魔法だな。」

ゆっくりと起き上がり身なりを整える。

「さて・・・。」

ルシファーは背筋を伸ばす。

「ここは・・・どこ?」




○◎○◎

「いってぇ〜・・・。」

サタンはゆっくりと起き上がる。

そこには見覚えがある。

「・・・最初のほうだな・・・。」

あたりを見渡せば幽閉された魂がフワフワ浮いている。

魂は何かを求めるかのようにチカチカ光っている。

「君わるいなぁ・・・やっぱここ好きじゃないや。」

背後に視線を感じる。

「とりあえず、ルシファー探すかなぁ・・・天使さまにゃぁわからんでしょ。

ここの土地柄。」

背後からいきなり黒い犬のようなソレが襲い掛かってくる。

サタンは振り向きざまに爪で引き裂いた。

真っ二つに切断されたソレは空中で崩壊した。

「地獄片に殺られはしないだろうけどね。」

サタンはゆっくりと下層に向かって歩き出した。

しかし、その足はすぐに止まる。

「しぶとい・・・。」

『まぁそういうなって・・・サタン。』

サタンの前に背丈は同じくらいの悪魔が現れた。

「まだ地獄片にまぎれてこんなとこに?」

『居心地は悪くないぞ?サタン。

毎日魂が喰えるんだからなぁ・・・。

ま、味はよくないな。』

下で唇をなめながら言う。

「魂なんか喰わなくても悪魔は生きていけるんだよ。ベルフェゴール。」

『魂は強さだサタン。

七本の指に数えられるおまえの魂・・・実に興味深い。

俺はグルメなんでな。』

「グルメがザンパンみたいな地獄の魂を食うのかよ。

それに、<七つの感情>の味が知りたいなら自分を食え。」

『おとなしく喰われろサタン。俺はメンドイのは・・・嫌いなんだよ!!』

ベルフェゴールは地面を蹴って駆け出した。

一瞬で距離が縮まる。

ベルフェゴールは腰から太刀を取り出す。

「そいつは・・・ふ、うまかったか?蛇は?」

繰り出される一撃を後退して避ける。

『酒気を帯びた蛇がウマイわけないだろぅ?』

後退するサタンを追撃する。

追いつきながら太刀を縦に振るう。

太刀は雷を召喚し、雷撃がサタンを包む。

「うわぁ!」

『エレキローストにしてやる!!新しいだろぅ!?』

「まずそうだ。」

爪でまとわり着く雷撃を振り払う。

「ジパングってのはややこしいモンばっか作るな・・・!」

間髪をいれずにベルフェゴールが飛び掛ってくる。

刃を受け止め、刀ごと吹き飛ばす。

ベルフェゴールは空中で体制をととのえて着地する。

今度はサタンが切りかかる。

鋭い爪がカタナと接触し、火花を上げる。

『どうやら本気を出さなければ決着はつきそうにないな!』

ベルフェゴールは初めて後退し、刀を投げ捨てる。

そして、拝むように手を合わせた。

体中から紫のオーラが出る。

背中から巨大な黒い翼が生え、目は青から赤へ変色していく。

腕や足は細くなっていく。

ジャンパーだった服はダウンのコートになる。

「それが本気?さっきより迫力なくなったね。」

『おまえは本気を出さないのか?』

「生憎、使わないにこしたことはない立場になっちゃってね。」

サタンは身構える。

『そうか、なら死ね!!』

地面を蹴り飛ばして突っ込んでくる。

さっきとは比べ物にならない。

突き刺さっている刀を抜き取りながら一度も地面に触れることなくサタンの懐まで飛んできた。

「うわ!」

とっさに振り払う。

そのチカラを流すように一旦ベルフェゴールは距離を置いた。

しかし、地面に着地すると同時に地面を蹴る。

飛び越えざまに斬りつける。

それを何回も何回も繰り返す。

斬る。

斬る。

斬る。

斬る。

何度もサタンを浅く斬っていく。

「あぁ!うっとうしい!」

『ふっ。』

ベルフェゴールはサタンの頭上で反転しながら雷撃を落とした。

「うわぁぁぁ!!」

サタンはヒザをついた。

『終わりだ!』

「ぐっ・・・くっ・・・!!」

間一髪で最期の一撃を避ける。

『しぶといな。』

ベルフェゴールは着地して静止する。

『少し削るか。』

ベルフェゴールは腕を上げた。

すると、さっきまで居なかった地獄片が現れた。

「どうやって・・・餌付けしたんだい?」

『友情が芽生えたんだよ。』

「それを悪魔が云うとヘドがでるね。」

サタンは強がりながらゆっくりと身体を起こす。

(コレ・・・きついな・・・。

ここが潮時?

やれやれ、せっかく地獄から逃げたのに最期は地獄か・・・。)

サタンは爪を立てる。

「悪いけど、しつこいのがとりえなんで、よろしく。」

ベルフェゴールは腕を下ろす。

それと同時に地獄片が一気に襲い掛かってくる。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!』

サタンは雄たけびを上げた。

サタンの身体の周りに黒い霧が渦巻く。

その霧にむかって地獄片は飛び込んだ。

飛び込んですぐ、地獄片の哀れな断末魔が聞こえた。

霧が吹き飛ぶ。

『さぁ・・・終わらせようか・・・。』

『それが、おまえの姿か?サタン。』

ベルフェゴールは不適な笑みを浮かべた。



☆★☆★


「あぁ!!なんだよこいつら!!」

ルシファーは次々に襲ってくる地獄片に嫌気がさしていた。

一直線に走りながら地獄片をなぎ払っていく。

「こっちだ。」

「お!ハデス!助かる!!」

ハデスはルシファーの先頭に立って走り出す。

「なぁ!こいつらなんとかしてくんねーか!!?」

「無理だ、こいつは俺の管轄下じゃない。」

「はぁ?じゃあだれだ!?」

「このあたりのモンスターを操ってるのはゼウスだ。」

「まじか!?」

スピードを落とさずに走る。

ほどなくして、タルタロスがある最下層にたどりつく。

「あんまり飛ばされなかったみたいだな。」

ハデスが涼しい顔で立っているのに対し、ルシファーは肩で息をしていた。

「ハァハァ・・・さっさと・・・タルタ、ロスみつける・・・かぁ・・・・ぁ・・・はぁ・・・。」

「お疲れ様。」

パチパチと手を叩きながら男が歩いてくる。

「あ?」

ルシファーは上目使いで男を見る。

「ちっ。」

ハデスが身構える。

「さてハデス、タルタロスはどこかな?

わざわざユグドラシルから運んでもらって悪いけど、貰い受ける。」

ルシファーは剣をとった。

「ん?

やぁ、久しぶりだな、ルシファー。」

「あぁ、何年ぶりだ?

ロキ・・!」

ロキは不適な笑みをこぼした。

今回は地獄の決闘前編です。

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