最期の晩餐
基本一話完結型なのですっごい長いです。
なので適度に分割して読んでくださいm(__)m
続きがわかりやすいように、各箇所にマークを設けています。
それではエンジェルをお楽しみください。
「ルシファー、いつまで飲んでるの?」
「うっせー。」
暗く、雰囲気の悪い酒場で、若い男が2人、カウンターを向いていた。
後ろから、ジャズの生演奏が聞こえてくる。
「早く行くよ。
ほら、この書類見てよ。
ミカエルの親っさんカンカンだよ。」
黒い服を着た男が紙をカウンターに滑らせた。
紙はもう3時間酒を飲んでいる男の前で止まる。
「はぁ・・・・何々?
裏道に悪魔が12匹ぃ?
ったく、どうして人間ってのはこんな陰気臭い場所に逃げ込むんだ?
正規の道をどうどう歩いてりゃぁ、カラまれることもねぇの二よ。」
煤か何かが付いて汚れている白いコートを着た男は頭を抱えた。
「どうして、裏道に人間が行くなんてわかるんだ?」
「んぁ?
んなもの簡単だ。
裏道に人間の魂を喰う悪魔が12匹も溜まってるってこたぁ
そこがエサ場・・・少なくとも、その場所が人喰いに向いているからだろ?」
「なるほど、ダテに天使やってないんだね。」
黒い服を着た男はニヤニヤ笑った。
白いコートを着た男・・・・・ルシファーはカウンターの上に紙幣を置いて立ち上がった。
「行くぞサタン、とっとと仕事終らせよぉぉや!」
「はいはい。」
2人の男は酒場から出て行った。
▽△▽△
「お花はいりませんか?
ベルサイユ宮殿に咲いているチューリップです。
球根もあります。」
薄暗い町の一角で小さな花屋は今日の目玉を売っていた。
今年で15歳になる没落貴族の娘は、形見に持っていたベルサイユ宮殿の最後のチューリップを売っていた。
両親は昼夜問わずに働いている。
8歳になる妹を働かせるわけにはいかない。
このチューリップが相場どうりの値段で売れれば、あと5年は暮らしていける。
「ステラ、おはよう。」
一人の貴族の青年が小さな花屋の看板娘に声をかけた。
「おはようございます。フューリッヒさん。」
少女は笑顔であいさつした。
「この球根、ひとつ買うよ。」
「あ、ありがとうございます。」
この青年は、若くして父親をさきの戦争で亡くしており、没落必須とさえ云われたにもかかわらず、家の名誉を汚さすずに、かつ発展させたのだ。
有り余る貴族の富は社会へ貢献するためにある。
しかし、青年は富の一部を今気にかけている女性のために使った。
もちろん、この行為を誰が批判するだろうか?
微笑ましい少年少女の恋路だ。
誰も邪魔などしないし、咎めもしない。
「これで・・・しばらくは生活も安定します。」
ステラは笑顔で青年に云った。
青年もその笑顔が見れて満足だ。
この時代のチューリップの球根ひとつあれば大きな屋敷が建つ。
「それではこの球根は、帰ってさっそく土に埋めようか。
紅い花が咲いたら・・・・いや、わすれてくれていいよ。」
「はい?」
「わすれてくれ。」
青年はコツンっと指で少女の額をつついた。
もうお分かりかと思うが、少女は青年の想いにまったく気づいていない。
否、気づけないのだ。
「それじゃあ。」
青年は乗ってきた馬車に乗り込んだ。
「ありがとうございました。」
少女が深々とお辞儀をした。
馬車は若い二人を遠ざけるように出発した。
「ふふふ・・・・。」
青年は不適な笑みを浮かべると、球根を握りつぶした。
□■□■
「お父様、お母様、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい、今日はご苦労様。」
ステラは両親にあいさつしてから、自分の部屋へと戻っていった。
質素なベッドに白いシーツがかけてある。
布団に身を潜らせて、瞳を閉じた。
突然、窓がガタガタと鳴り出した。
今日は風が強いのだろうか?
そう思って、無理やり寝ようとした。
しかし、ガタガタと窓ガラスは震えている。
少女はベッドにヒザをついて窓を開けた。
しかし、窓の向こうから風は入り込んでこない。
そう思った瞬間、漆黒の外から嫌な風が入り込んできた。
風はステラの身体を通り抜けて行った。
背筋が凍りつくのを感じて慌てて窓を閉めた。
そして、飛びつくように布団へと非難し、眠りについた。
朝起きて、ステラは頭痛がしているせいか寝起きが悪かった。
昨晩の夢は最低だった。
漆黒の世界で悲鳴と肉の切れる音だけがする夢。
夢の最後は自分の名前を叫ぶ断末魔の響きだった。
昨日の気持ちの悪い風のせいだろうか?
そんなことを考えながらステラは階段を降りる。
木製の質素な扉を開けてダイニングルームへ足を運んだ。
誰もいない。
朝もやが部屋を幻想的に飾り付けている。
いつものことだった。
ステラが朝食を作り終えた後に父親が慌しく部屋から降りてくる。
母親はすでに起きているハズだ。
庭で洗濯物を洗っているだろう。
妹がお昼前に起きてきて部屋の掃除をする。
いつもとかわらない朝・・・・のはずだった。
すでに朝食を作り終えている。
庭に出ても母親の姿はない。
おかしい。
そう思うだけで不安になってきた。
そんなことを考えていて思い出すのは昨晩の夢。
ステラは両親の寝室へ向かった。
○◎○◎
三日後のことだった。
ステラは8歳になる妹マリンと二人で人々の前に立っていた。
その目先には二つの棺おけ。
マリンはステラの腕の中で泣きじゃくる。
「マァマァ〜〜!!マァマァ〜〜〜〜!!」
小さな女の子の悲惨な叫びは、その場にいあわせる全ての人の心を締め付けた。
マジメな花屋の看板娘に働き者の父、いつも希望を見出す母。
近所親戚からの評判はよかった。
その評価こそが、没落してもなお生活できたこの一族の強みだった。
「どうしてあんないい人たちが?」
「世の中とは皮肉なもんだ。」
人々がそんなことを口に出す。
良い人は早くに死ぬ。
そんな言葉が脳裏に浮かんでしまう。
一人、ステラは泣きたいのをこらえて孤独と戦っていた。
自分が泣いたら一家の示しがつかない。
没落後も学んだ帝王学の教えにそって、彼女は自分を押し殺した。
ほどなくして葬儀は終了した。
皆、墓地から三々五々に散っていく。
「・・・・・。」
2人の姉妹はしばらく墓地を見つめていた。
「帰ろう。」
沈黙の中、ステラが口火を切った。
マリンがうなずくのを確認して、ステラは妹を家路へ誘導した。
「今日は・・・・何が食べたい?」
ステラが優しい口調で話しかけた。
聞いてはみたが、答はわかっている。
「・・・すばっげちぃー。」
マリンはミートスパゲッティーが大好物なのだ。
「はい。」
無理に作った笑顔で返事をする。
家の前まで帰ってきて、ステラは足を止めた。
中で物音がする。
両親が死んでしまった今、この家には誰も居ないはずだ。
なにより怪しいのは、家の錠が外れていることだ。
「・・・。」
意を決してステラは中へ飛び込んだ。
手には小刀を持っている。
「誰ですか!!!?」
ステラは銀の刃を前に向けた。
中には、男が二人立っていた。
しかも、黒い服の白い長紙の男は勝手に調理している。
「あ、おかえりなさい。
お腹空いているでしょう?
ミートスパゲッティー作っておきましたよ。」
黒い服の男が笑顔で云った。
「・・・・・・。はっ、だ・誰ですか!!?」
しばらく呆気にとられていたステラは気を持ち直して叫んだ。
「天使。」「と悪魔で〜す。」
☆★☆★
マリンは笑顔でパスタにかぶりついている。
それを黒い服の男はテーブルにヒジをついて、笑顔で見ている。
「おいしいかい?」
「うん!」
「それはよかった。」
男は笑って答える。
ステラはそれをジーっと観察的に見ている。
鋭い目つきにすら幼さが残る。
確かに、この男の作ったパスタはうまかった。
しかし、どうも信用できない部分が多すぎる。
「あなた達は・・・・誰なんですか・・・?」
「だから、天使と悪魔。」
さっきからステラと汚れた白いコートを着た男と、同じ会話を繰り返している。
悪魔と悪魔なら、まだ信用できる。
「ルシファー、イジワルしてないで話なよ。
ボクは規定でしゃべれないんだからさ。」
「知るかよんなクソな規定。」
この二人の会話はまったく読めない。
「何なんですか?一体・・・・。」
「わーったよ、説明するよ・・・・ったく。」
白いコートの男、ルシファーは紙切れを取り出した。
「この悪魔、見覚えあるだろ?」
「ルーシーファーー?説明になってない。
もぅいい、ボクが説明する。
あのねステラちゃん、ボク達はこの周辺に陣をはっている悪魔の親玉を探してるんだ。」
「悪魔の親玉?」
「そぅ、それで「おまえが説明するのかよ、規則もへったくれも「うっせーだまってろ「はい・・・「それでね、その悪魔の親玉がここに居たことがわかったんだよ。
何か覚えてないかい?」
「・・・・・もしかして、私の両親はその悪魔に・・・?」
「ん〜、どうだろう。
通りすがりの切り裂き魔かもしれない。
でも、ボク達はその切り裂き魔が、その悪魔だと睨んでいる。
それで?何か思い出さない?」
「・・・・。」
ステラは重い口を閉ざしたままだった。
それは、恐怖からではない。
この2人の男を、信用していいのかどうか・・・・それが、彼女の口の錠となっている。
しかし、黙っていても仕方がない。
そう判断した。
「実は・・・・。」
▲▼▲▼
翌朝、3人はステラの部屋に居た
マリンはまだ眠っている。
「ここから風が流れ込んできたの?」
サタンは窓の付近を調べる。
当然、何もわからない。
「はい、急に変な・・・こぅ、なんていうか・・・・まとわり付いてくるような、ベッタリした風が・・・・。」
「ふむ・・・。」
「デッドウィンドウ・・・・。」
「だね。
ボクも何度か吹かせたことがある・・・アレは人食いになれた悪魔じゃなくちゃ、悪魔自身にも気持ちのいいものじゃない。」
「あの、デッドウィンドウって?」
「デッドウィンドウ・・・・別名は<悪魔のゲップ>、爆笑だな。
デッドウィンドウが吹いたってことは、少なくとも悪魔が居たってことだ。」
サタンは窓から見える景色を眺めた。
2階の窓から風が入ってきたということは、この窓と直線状に結ばれたどこかに悪魔がいたということだからだ。
「・・・・。」
サタンがある一箇所を見た。
そして、顔がにやけた。
「ルシファー、今回は早く仕事が終わりそうだ。」
「ん?」
「ホラあそこ。」
サタンが指差す方向。
そこには大きな屋敷があった。
「狙ってた場所がこの窓の正面ある。」
「なるほど。」
ステラもその屋敷を見た。
「あのお屋敷は・・・・確か、フェーリッヒ邸・・・。」
「フェーリッヒ・・・・確か、さきの戦争で当主が戦死したっていう・・・・。」
「なるほど、悪魔が巣作りつるにはピッタリだな。」
「近くまで来るとさすがにデカイなぁ・・・・。」
ルシファーは巨大な鉄城門の前で空を見上げた。
それほどに屋敷はでかかった。
サタンがインターホンを押す。
しかし、返事はない。
「やれやれ・・・・全滅か?」
ルシファーが門を蹴り飛ばした。
門は呆気なく吹き飛ぶ。
「ステラちゃんはここに居ていいよ。」
「私も行きます。」
「離れるなよ?」
3人は巨大な屋敷へと入った。
◇◆◇◆
屋敷の中は死体と血の水溜りで満たされていた。
「ひっ。」
ステラがとっさにサタンの後ろに隠れた。
「やらかしてくれたな・・・・。」
ルシファーが先頭に立って進んだ。
「これじゃあ本当に全滅かもね。」
「あぁ・・・こりゃあ2〜3日前なんてもんじゃない。
見ろよ、コイツはもぅ白骨化しかかってる。
多分、襲われたのは数ヶ月前だ。」
「そんな・・・・わけ、ないです。」
ステラが言い切った。
「それはどうして?」
「だって・・・・4日前に・・・・ここの当主様が、球根を買っていってくれましたから。」
コツコツと静かな廊下を歩く音がした。
現れたのはフェーリッヒ伯爵だ。
「おや、これはこれは、ステラ嬢。
よくおいでくださいました。」
フェーリッヒが紳士的にお辞儀をする。
「フェーリッヒさん・・・これは・・。」
「あぁ、気の毒な事です・・・・。」
ステラが歩み寄ろうとするのをサタンが静止した。
「え?」
「あれは・・・・あなたの知るフェーリッヒ伯爵ではありません。」
「サタン、ここ出るぞ。」
「おやぁ〜?そこにいらっしゃるのはもしかして裏切りモノのサタン君と、かの有名な隻翼の天使さんではありませんか?」
フェーリッヒの目つきが変わった。
「姿を現せよ<心巣くい>!」
ルシファーの挑発に乗ってフェーリッヒの身体を突き破って巨大な黒い翼を持った悪魔が現れた。
「な、なんです・・・か?・・・あれ・・・。」
「アイツは心巣くいという悪魔です。
人の心に入り込んで、時間はかかりますが、やがて自我を押しつぶして身体をのっとる悪魔ですよ。
おそらく、あなたが出会ったというフェーリッヒ伯爵が、最期の瞬間だったのでしょう。」
「サタン!!こいつは俺だけで十分だ!!
先に親玉の方燻りだして来い!!!」
『ほぅ・・・・この私をキサマだけで倒せると?』
「悪いな・・・・テメェ一匹ぐらい余裕だ。」
『くたばれぇい!!!!!!』
大きな腕が弾丸のように拳を放つ。
それを、ルシファーは軽く避けた。
「でかいほうが斬りやすい!!」
ルシファーはコートに隠してあった剣を取り出した。
そして、今放たれた拳を斬る。
斬られた拳は蒸気を上げた。
『ぬぅ・・・おのれぇ!』
悪魔は口を大きく開き、光の弾を放った
「ちぃ!面倒な能力もってやがる!」
ルシファーは剣で光の弾を受け止めた。
受け止めた衝撃で後ろに吹き飛んだ。
『ふはははは!!片腕を失った貴様に、私が劣るとでも?』
「そぅだな・・・俺以下の以下のカス以下だ!」
『・・・・次で、その息の根を止めてくれるゎ!!!』
悪魔が両腕を前に突き出した。
『おおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!』
口からはなった光の玉とは比べ物にならない大きな弾を作り出す。
「チカラってのはな・・・・強いコトが弱点なんだよ・・・。」
ルシファーは剣の腹の部分のギミックを変えた。
▲◎■◇
「ハァハァハァ・・・・ど、どこまで走るんですか?」
ステラは息切れして立ち止まった。
「君の家の裏道です。
そこに親玉が居ます。
ってか、ここですね。」
「え?アイツが親玉なんじゃあ・・・。」
「残念ですが、あの程度の悪魔が親玉なわけありません。」
物陰から黒い物体がゴソゴソ動く。
「ここは戦場になりますが・・・まぁ、家で一人で居るより安全でしょう。
今頃アナタの家は悪魔の巣窟です。」
「え?・・・!!
マリン!」
「彼女なら・・・そこに・・・。」
サタンが物陰を指差した。
「マリン?どうして・・・?」
「それはですね・・・彼女が、悪魔の親玉だからです。」
ステラは言葉を失った。
「どうして・・・・わかったの?」
指差されてもなお出てこなかったマリンは、観念したのか物陰から姿を現した。
「簡単じゃあないですか、同室でご両親と就寝なさっていたアナタが、どうして生き残っているのですか?」
「それだけ?」
「それだけです。」
「な〜んだ・・・おまえ・・・・。」
『おもしろくない奴。』
マリンの小さな身体は地に倒れた。
そして、その屍からあまりにも巨大な悪魔が現れた。
「そんな・・・・うそ・・・。」
「ステラさん、下がっていてください。」
サタンが身構える。
同時に、3匹の悪魔が襲い掛かってきた。
サタンの両腕が長くなり、爪は鋭く伸びた。
回転しながら悪魔を3匹、深深と斬った。
両腕を胸の前でクロスさせ、思いっきり外側へ振るった。
そして、漆黒の翼が背中から生える。
『それがアナタの本当の姿?裏切り者サタン・・・・。』
「えぇ・・・。」
『なぜ、アナタが天使や人間の見方をするのかは知らないけど、邪魔をするなら容赦なく殺すね。』
「それは困りますね、まだ死ぬわけにはいかないので、返り討ちにさせていただきます。」
サタンは翼で地面を蹴るように飛んだ。
低空飛行で悪魔に近づく。
しかし、左右から悪魔が飛び出してきた。
「ちっ。」
地面に爪を突き立てて回転し、悪魔を蹴り飛ばす。
そのままの遠心力を利用して一方の悪魔に飛びつき、引き裂いた。
『死ね!!』
蹴り飛ばしたもう一方の悪魔が渾身の一撃で殴りかかってきた。
サタンは息を詰まらせたままレンガの壁にぶつかった。
「サタンさん!!!
マリン!やめて!おねがいだから!!」
「ステラさ・・・ん、アイツは・・・・マリ・・・ンさんでもなん・・・・でもない・・・
マリンさんは・・・・アイツに殺され・・・て、いる・・・。」
「そんな・・・・。」
『まぁ人間いつかは死ぬんだから落ち込まないで?
その代わり、ちゃんと安楽死させてあげるから。』
「どうして・・・どうして・・・・どうしてアナタ達は人を殺すの!!?
どうしてマリンを・・・お父様とお母様を・・・・。」
『泣かないで?泣いても悲しみが増えるだけ。
どうして殺すかですって?
そんなの簡単、生きるためよ。
あなた達だって、ブタやウシやウサギを食べるでょう?
そして、アナタ達がする料理、それは私達でいう殺し方。
ほら、よく言うでしょう?
映画とかで相手を追い詰めた時に「どう料理してやろうか?」って。』
ステラは涙を流したまま座り込んだ。
体中の力が抜けた。
「ひどい・・・・ひどい・・・・!」
『ひどくないわよぉ。
だって、生きるために<しかたなく>だもの。』
「悪魔に生きる資格などない!!」
サタンは叫びながら斬りかかった。
蹴り飛ばしてきた悪魔は真っ二つに斬れた。
『その言葉はアナタ自身を否定しているのよ?』
「ボクと貴様らを一緒にするな!!!」
『同じじゃない。
その黒い翼、獰猛な爪、赤い目
どれをとっても私達と同じ。』
「クッ。」
悪魔は手を突き出して波動を放った。
サタンはステラのところまで吹き飛ばされた。
悪魔が2人を押しつぶそうと巨大な拳を振りかざした。
『アナタは同じ、私達と同じなの。』
「違うなぁ・・・・心ってやつが・・・な。」
一筋の銀の閃光が腕を斬った。
斬られた手と腕の間からルスファーが落ちてきた。
『つっ・・・・アリファネスはどうしたの?』
「あぁ、アイツか?
アイツさ、でっかい弾撃ってきたんで跳ね返したら呆気なく飲み込まれたぞ?」
『・・・・・。』
「さぁ・・・次はテメェの番だ。
さて・・・・<どう料理してやろうか?>」
『追い詰めたつもり?隻翼の天使。』
周りから、取り囲むように残りの悪魔が出てきた。
「決めたぜ・・・・「千切り悪魔定食」だ。
いくぜ!サタン!!」
「『汝、我が契約を交わすものなり。
我が肉体は汝の身体となる。
我が血は汝と同じくその身体を流れる。
ただし、汝の心は我が欲を満たす。』」
白い翼と黒い翼がルシファーを包み込んだ。
そして、翼は広がり、ルシファーの右腕は黒くなっている。
目は左目が赤く光っている。
「ルシファー様本気モードだ。」
右腕に剣を持つ。
『契約で失った右腕をつけた?
ただそれだけ?』
「ふっ。」
『殺しちゃえ。』
5匹の悪魔が一斉に飛び掛ってきた。
「ザコは一撃で吹き飛べ。」
回転しながら空中を斬った。
斬った空間から光の刃が飛び出し、悪魔を上下に分断した。
「次はテメェだ。
ゲス悪魔。」
剣で空中を十文字に斬った。
そして、十字に交わった光の刃は悪魔に近づくにつれ巨大になっていく。
『アあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!』
悪魔は十字の光の刃に飲み込まれて消えていった。
「ほう、部下と頭領は同じ断末魔で死ぬのか。」
墓場には3日前にはなかった別の墓地が作られた。
そこに、ミートスパゲッティーが置かれている。
そして、白い花束も置かれている。
殺風景な墓場の一角は、まるで、家族の食卓のように明るかった。
to be continue
いかがだったでしょうか?
長かったですよね^^;
感想又は評価舞っています。
どうぞよろしくおねがいしますm(__)m