第一話:灼熱の男
ーーー昔、あるところに化物博士と呼ばれる人がいました。
ある日、化物博士は自らの研究の全てをつぎ込み、ある化物を作りました。
化物でありながら、
化物を倒し、
化物を壊し、
化物を殺し、
化物を怖がらせる化物破壊者。
作った化物博士の名前から、それらは化物破壊者│《シュバルツ》と呼ばれましたーーー
・・・時は過ぎ去り、2010年。地球のとある村。
のどかで平和な村で、伝統的な放牧と農業が主流のこじんまりとした田舎だ。
今朝の話だが、いや、一本の電話がかかってきた。
内容をかいつまんで言えば、「この村はなくなった」・・・ということだ。
より厳密に言うと、「この村はこれからなくなる」、ということだ。
ーーーこの世界にはいわゆる『化物』と呼ばれるモノがいる。人間でも地球上の生物でもなく、ほら、よくゲームやアニメとかで出てくる想像上の怪物達。『火のないところには煙は立たず』・・・みたいなことわざがあるように、実際問題存在しているのだ、そいつらが。
え?でも見かけたことないって?
そりゃあそうだ。化物達は影の中、闇の中にいる。
そいつらを見たが最後、君は生きてはいないだろう。喰われてしまう、魂ごと。
それに代表されるのが、『悪魔』である。悪魔達は人間の魂を糧に願いを叶えたり、悪事を働いたりするのだ。
身の程をわきまえていないバカヤローこそ、悪魔に好き勝手弄ばれた挙げ句、魂を奪われて大惨事を起こすのだ。
話を戻そう。
つまり、そのバカヤローのせいで、その村の住人全てがゾンビになっただけのことである。
ゾンビ・・・動く死体。人肉を喰らう不死者。生物災害。噛まれたら感染する・・・などというが、肝心なのは『死体が動く』に他ならない。村人全員が、家畜すらゾンビになったんだから、これは異常事態だ。人間は黙って滅びを待つしかないんだ!!
・・・なんてことはありえない。人間だって馬鹿じゃない。しっかり対抗する対策を持っている。
『教会』。それは主神を絶対唯一神とし、人間を守り、異常・異端・異教徒から世界を守る聖なる番人である。
彼らにとって悪魔祓いや化物狩りなどお手の物・・・なのだが、結局は人間。化物の方が強いに決まっている。
そこで、教会は決断した。『毒を以て毒を制す』と。
つまり、『化物』には『化物』。
化物を殺し、破壊する役目を負って作られた者達。それを化物破壊者と呼んでいる。その導入が決定したのだ。
ーーー画して俺はここにいる。
任務内容はさっき言った通り。『村の消滅』。
「さて、始めよう」
手をかざすと、明るい赤色を帯び始め、腕が燃え上がる。
「おい炎咲赤夜!!行くぞ、ファイヤーカーニバルの時間だぜっ!!」
ゾンビはざっと見100はいる。
対するはたった2人。むしろ1人。化物破壊者の1人、『灼熱』の炎咲赤夜が死の村に挑むーーー
・・・燃える。
村が燃える。死者達が燃え上がりながら灰になる。その燃える村の中