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5話 津田 美貴

5話 津田 美貴(ミタカ)


津田 美貴ーー部活動の時のあの先生だ。


そう、僕のことをいじめる主役のことを正義だと考え、

僕のことを、散々嫌がらせして、(シマ)いには捨てやがった野郎だ。

死ぬほど憎かった。

これは、僕が部活動に入っていた頃の話である。

僕はこの時はまだ将来に希望もあり、夢もあった。

でもそれはすぐに崩れた。

僕はいつまでたっても、プレーが

うまくならなかった。

僕はもちろん必死で練習した。

それでもダメなものはダメだった。

先輩からは「お前は下手だからダメ、雑巾。代わりに加藤クーン、君はうまいから入って」

いつものことだった。

他の先輩や同僚の人からも面白がられた。

でもそこまでは耐えられた、

問題は津田(先生)だった。

津田は、「俺がこんなに丁寧に教えてやってんのになんでできねーんだよこのダメ人間、いや、お前は人間じゃねーな、

寄生虫だ。自分では何もできない。お前にいい仕事を教えてやるよ!

なんだと思うよ? 」

僕はわかりませんと答えた。

「雑巾かけだよ。一生やってろ!

すこしは自分で考えろ。

なんでお前がわからないって答えたか、

教えてやるよ。


お前がバカだからだよ!」

僕は「はい、すいませんでした」と

泣きながら答えた。

あたりは爆笑の渦だった。

みんな僕をあざ笑う。

脇役とはそういうものだ。

それは今も昔もおんなじだ。

「お前がバカだからだよ!」この言葉は、今でもはっきり覚えている。

両親にもそんなことを言われた。

その時から、

僕が脇役として決定された。

いつの間にか後輩からもバカにされ、

僕はキチガイやヘタクソの代名詞になっていた。

後輩からバカにされるのは辛い。

後輩はすぐに僕を抜かし、抜かす時、


僕をあざ笑う

こんなことをずっと続けていて、

ある時から変なことに気がついた。

僕が笑われるトキ、

誰かが影に隠れて泣いているのだった。

なんで泣いていたんだろうか。

僕は不思議に思った。

脇役は主役を満足させるためだけの生物。

主役が泣いていたら意味がないのに……

後で、そこに行ってみると、

「大丈夫、あなたが辛い時は私も辛いの、だから、乗り越えて!辛い時は一緒に泣きましょう。いつでも付き合うから。 宇田玲子」

という書き置きがあった。当時、僕は

何かのイタズラだと思った。

でも、この書き置きのおかげで、

しばらく耐えることができた。

この書き置きは誰に向けてのものなのか、書かれていなかった。

僕以外の誰かに向けて書かれたものだとしても

嬉しかった。

つまり、玲子がいなければ、僕はとっくの昔に自殺していた。


僕はレイに生かされているんだ。


脇役とは生まれながらにして決まっていた。自分から主役の踏み台になる一種の「ロボット」だ。

でも、僕はロボットになりきれなかった。

話を現在に戻そう。

僕はレイと共に殺すことを決意したが、

問題は奴(津田)をどう殺すかだが

簡単だ。

夜中、僕とレイは奴の車に細工した。


自動車というのは無論、

燃料のガソリンを燃焼させ、そのエネルギーで前進する。

それは、エンジン内部で行っている。


それを外(車内)でやったらどうなるか。

ガソリンに火をつける部品(点火プラグ)

を取り出し、それを車内に放置

そして、

ガソリンの蒸気を車内に入るようにホースで繋げておく。

実はガソリンを含め有機物は気体の状態が一番よく燃え、爆発しやすい。

空気中の酸素とうまく混ざるから。

ガソリンは何もしなくても常に蒸発している。

いったん僕たちは家に帰った。証拠は絶対に残さない。

次の日の朝、津田はいつものように

自分の自動車の中に入った。

車内ははガソリン臭がしていたはずだが

津田は生まれつき鼻が悪かったため、よくわからなかったはずだ。

それは、調査済みだった。

だから僕は、この作戦にした。

津田には派手に死んでもらいたかった。

それに、津田は、タバコを吸うとき窓を必ず開ける。

窓は電動式だ。

つまり、

エンジンをかけないと窓は開かないようになっている。

つまり、津田がもし臭いに気がついたとしても、

必ずエンジンをかけようとする。

どちらにしても津田は死ぬことしか選べないのだ。

案の定、津田はエンジンをかけた。

点火プラグには高電圧が流れ火花が飛んだ。その瞬間、気体のガソリンが引火して、車が吹っ飛ぶほどの大爆発を

引き起こした。

後で聞いた話だが、津田は皮膚や肉が燃えて骨が露出していたそうだ。

その時、僕はレイの作ったコーヒーを飲んで一服していた。

僕はコーヒーを飲みながら津田をあざ笑った。僕よりバカなのは

お前だと。

正直、こんなにも簡単に死んでくれるとは思わなかった。


死因はもちろん自殺で処理された。


「次は、九周 健一だね」

レイが優しく語りかけた。









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