3話 レイの過去
3話 レイの過去
これは宇田玲子が現在(15歳)になるまでの話だ。
私は15年前、宇田玲子として生まれた。
実は私は双子だった。宇田 静子という人とほぼ同時に生まれた。だけど、静子は、
5歳の時に死んだ。
表向きではアレルギーによるアナフィラキシーショック。
父が間違えて卵の入ったものを食べさせたからだ。
これは、事故だったということになっているが、
本当は違う。
物覚えが悪くどうしようもない静子を事故だと見せかけて殺したんだ。
夜、私はこっそりとドアの隙間から見ていた。
怖くて何も言えなかった。
次の日、母が「セイちゃんはおばあちゃんの家にいってるからしばらく会えないけど我慢してね〜。いい子だから」
しばらくではなく永遠だろ、と
私は思った
静子は私の姉代わりとして私を可愛がってくれた。そんな姉を殺すなんて
12歳のとき、私は親に見捨てられた。いつまでたっても何もできなっかたからだろう。
「ごめんなさい。私が無能で」
親と別れる時そんなこと言ったことを覚えている。
私は両親が夜逃げした時に残したこの家でしばらく暮らしていた。
私は成績が良かったためいろんな人にねたまれた。
人間はジブンより優れているものを蹴落とすことを楽しむ生物だ。
それはわかっていた。
私は表向きでは学校で幸せそうに過ごしていたが本当は、
辛かった!
毎日無視され影で悪口を、わざわざ聞こえるように言って、もう全てが嫌だった。
そんなある日私は「あの人」とであった。
私を命がけで、いや、命よりも私を優先してまで私を助けてくれたリク
そう、私はリクを愛してしまった。いや
リクに恩返ししようと思った。
リクが死にそうな時や困っている時、
私が絶対リクを救ってやる。
でも、
できなかった。
リクはますますいじめらているのに、助けられなかった。自分をいじめていたヤツがみんなリクのほうに行ったから。
私は少しだけ安心してたのかもしれない。
悔しい。
まだ自分のことを最優先に考えているの?
私は、リクの盾になるんじゃなかったの?
私は、きずけばずっと一人で泣いていた。
そんなある日、私はリクがいつもと違っているのを感じた。
リクの目から光が消えていた。
私は、嫌な予感がしたので、リクから片時も目を離さずにいた。
リクは独り教室の中で何か書いていた。
リクがトイレに入った瞬間私は手紙のようなものを手に取り見ていた。
「お母様、お父様、今まで脇役である私を育ててくれてありがとうございます。
醜くて愛情なんかみじんもなかったと思いますが、私はもう脇役という仕事を辞退させていただくことを決意しました。
先生方、学校関係者の方々、こんなダメな脇役ですいませんでした。私は、お詫びに飛び降りて自分で自分の幕を下ろしたいと思います。
今までありがとうございました。
ダメな脇役より 」
いつの間にか紙が涙で濡れていた。
リクは脇役じゃない、私にとっては立派な主役よ。だから、だから、
死なないで!
生き残って!
その時、リクが階段を登る音がした。私は必死でリクを追いかけた。お願い、死なないで、リク!
リクは私の英雄よ!
これがレイの過去だ。だが、僕はこの時(レイに助けられた時)全てを知っていたわけではなかった…。