2話 見えない主役
2話 見えない主役
主役になるための条件は自分以外の主役を殺すことだ。主役は1人で十分。
でも脇役は正攻法では一生主役に勝てない
つまり、脇役はずる賢く、汚く、主役に恥をかかしたりして
主役を脇役に引きずり下ろす。
または
ひっそりと殺す。
主役は心がもろいからみんなに見捨てられればもう脇役の仲間入り。
死んだも同然。
主役と周囲の関係はもろい。
みんな主役に服従されているのだから……。
そうだろ、長いものには巻かれろ、
いいことわざだ。
服従することを喜ぶ人間はいても
服従されることを喜ぶ人間なんか、
絶対にいない!
脇役は主役が落ちるのを今か今かと
待ちわびているのだ。
この小説は本来、主役たちが脇役たちに照らされ幸せに過ごすという設定だ。
僕は脇役でずっと一人だった。
みんながひなたで楽しそうに遊んでいるのに、僕は日陰で本を読んでいた。
それは、科学の本だった。
科学は他の学問と違って現実に忠実にリンクしている。
僕はセカイのルールを知りたかった。
法は科学だった!
重力は互いの物体の質量の積に比例し距離の2乗に反比例する。
電磁力は互いの物体の電荷の積に比例し距離の2乗に反比例する。
どちらも似たルールだ。そういったルールが複雑に絡まり合ってセカイは形成されている。
人間世界はどうだろうか。人間は表向きでは協調性を意識している振りをしているが
裏では自分のことしか考えていない。
簡単な例を挙げよう。クラスというのは表向きではみんな友達だよーとか、一緒になれてうれしーとかほざくかもしれない。
でも、裏ではどうだろうか。
裏ではみんなこぞって誰か1人だけを仲間外れにしてそいつの悪口を平気で言う。
そしてそいつが消えればまた違う人に移る。
それが人間だ。
学校の先生、警察官、政治家、正義の味方だってそうだ。
人間というのは、食物連鎖のように誰かをエサとしないと生きていけない。
これが人間の正義だ。
脇役とはエサになることが仕事だ。
脇役とは正義という光に隠れた犠牲だったのだ。
脇役は光を見ることができないエサだ。
どんなに綺麗事を並べようがそれが事実だ。
「脇役だから仕方ないよね〜、文句なんて
言わせないよ〜」
これで全てが通ってしまう。
雑草は生きているだけでもありがたい
脇役は自らがエサになるためだけに
生きている。
どんなに辛く悲しくてもじっと耐え寿命が尽きるまで待つしかできないんだ。
宇宙は美しいたくさんのルールが複雑に絡まり合っているというのに、
人間セカイは単純で醜く汚い。ただそれだけだ。命より、
カネを優先する政治家。
動物を殺しといてそれを食べず生ゴミにする大人。
それを合理化する評論家。
みーんなヒトだ。ヒトこそ正義か…。
ヒトって面白よね。
自分に都合のいいとこだけもらって、いらないとこは捨てる。
だから、僕は人間が嫌いだ。
だから主役になって、
腐った人間セカイを変えてやる。
ずっと僕を見守ってくれたレイのためにも必ず僕がセカイを修復し、
美しいセカイの創生主として君臨する。
これが僕の夢(生きる目的)になった。
だから僕は主役になるためなら、
どんな行動でもする。
たとえそれが道理に反しても。
だから、僕は直接対決なんかしない。
アタマを使いじっくりと追い詰め、そして、
殺す。
弱きものはアタマを使い、強きものは力を使う。これが全てだ。