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11話 血縁

11話 血縁

親子、それは、今では愛の代名詞と成っている。

でも、僕とレイは違った。

レイの話を聞くと、

レイは両親から『捨てられた』らしい。

レイは「私は両親なんて要らない。

リクさえいれば、私は、十分幸せだわ!」

とよく言う。

そう、こんな僕をレイは信頼してくれている。

レイの両親は夜逃をしたらしい。

捨てられる気持ちは僕には痛いほどわかるが、

やっぱり辛い。

「レイ、僕はレイを捨てないからね。」

僕は自然とそう言った。


夜逃げのレイの両親探しから始めるわけか。

レイの両親はお金ではなく、

『レイが出来損ない』だから捨てたとレイが言っていた。

お金があるということは、

外国にいる可能性もある。

でも、レイの話によると、

レイの両親はすごく仕事熱心で

家にはほとんど帰ってきていなかったらしい。

そんな人が会社を簡単に辞めるはずがない。

とすると、2人は仕事場の近くに住んでいる可能性が高い。

2人の仕事場は、

レイはちゃんと知っていた。

2人の仕事場の、ど真ん中には、

レイの祖母の家があった。

2人はそこにいる可能性が高い。

そう思った。

僕たちはさっそくそこに行ってみた。

やっぱりレイの両親はいた。

僕たちは隠れながら様子を見た。

なんと、本当に子供をつくっていやがったのだ。

僕はムカついた。

レイというこんなに素晴らしい人を本当に捨てやがったのか?

僕は少し、レイの事を疑っていた。

『こんなに素晴らしい人を捨てるはずないと。』

でも、レイの言った事は正しかった。

僕はレイの両親を殺すため、近くにあった斧を持った。

でも、レイが止めてくれた。

「まだだよ、リク。もっと殺す方法を考えないと」

僕は、正気を取り戻した。

完全犯罪でないとダメなのだから。

レイの両親はいつも高そうな黒い車で移動していた。

人が寝静まった頃、僕たちはこっそりと

あの車を調べた。

外は立派なのに、中は、オンボロだった。

真っ黒いオイル、今にも壊れそうなエンジン

ブレーキもかなり危ない状態だった。

つまり、外見だけカッコ良く見せ

中身(機械部分)はいい加減にしていた。

僕は、前輪の左のタイヤを締めていたボルトを

少し緩めた。

元から緩かったが、さらに緩めた。

その車にレイの両親が乗って一週間後、

運転中に左のタイヤが外れた。

もちろん車は大破。ガードレールにぶつかり

対向車線のトラックと衝突したからだ。

レイの両親も即死だった。

そうだ、人間というのは常に外見だけしか見ていない。でも、中身がダメなやつは破滅する。

あいつらがいいサンプルだ。

実に残念だ。レイを捨てたんだから。レイより賢いと思ったが、こんな簡単なこと

さえ知らなかったのか。

死に方がつまらない。

奴らは、見捨てたレイにでさえ遥かに劣る。

レイは僕の外見に惚れたのではない。

だってそうだろう。

僕はレイを他の人から見れば、格好悪い方法で救った。

普通の人間なら気持ち悪がって僕に寄り付かないだろう。

でも、レイは僕の中身(ココロ)に惚れてくれたのだ。

土下座して、殴られても、レイを僕は、守り続けたんだ。

そう、レイはちゃんと知っていたんだ。

外見なんてなんの役にも立たないただの

『飾り』なのだと。

それをちゃんと理解できるのは、

僕の知っている限りでは、僕とレイくらいしか知らない。

他の人間は薄っぺらい。

それは『カネ』が証明している。

金で買える愛情。

金持ちに有利な裁判。

裁判なんて正義に基ずくと言われているが

所詮は真っ赤な『嘘』。

弁護士は、所詮、金がない人間なんて相手にすらしない。それが正義だったとしても。

正しい方法で努力してもカネが手に入らない貧乏人、

ずるい方法で大金を手にした富裕層

どちらを裁判は救うのだろうか。

それはもうすでに決まっていた。

そうだ、結局はいつもずるい悪人が勝つんだ。

人間世界なんてそんなもんだ。

いや、もしかしたらそれは正しいのかもしれない。

人間の正義とは

『カネ』なのだから。

僕の両親のように。

僕はカネに負けた。

だから、両親に捨てられた。

僕の家は貧しかったから、

お荷物だった僕は捨てられた。

レイはどうして捨てられたんだろう。

レイは外見もとより『中身(ココロ)

がこんなに綺麗なのに。

僕は、できるものなら、レイの両親をぶん殴ってやりたかった。

「リク、今回も、大成功だね!」

レイが嬉しそうに言った。

「あとは僕の両親だね!」

僕は、そう言った。







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