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10話 二人の強敵

10話 二人の強敵

9人さえ殺せば、なんとかなると思っていた。実は、僕は神からさらに脅されていた。

「1年以内に残り10人を殺せ、さもなければ、お前は神の力で死ぬ。ガンでだ。

このがんは普通のガンの10倍の速さでお前の身体を侵食する。このガンは現代医学では

治らない。

お前が主役になればガンは完治する仕組みだ。

つまり、10人、影で消すか、

自分が消えるか。どちらか一つだ。」

僕はこのこともレイに言えなかった。

僕が死ねば、レイ、絶望し自殺するだろう

つまり、僕が生きようが死のうがレイは死ぬ運命にある。

だから、僕は、レイを殺すかどうか迷っているのだ。僕は自分の手でレイを殺せない。

僕は自分の手を切断してでも、レイに刃物は向けないだろう。でも、そうしないと、

レイは自殺してしまう。僕は、どうすればいいのか。

まずは、目先の敵を(タオ)すしかなかった。

武藤 早紀(ムトウ ハルキ)

川下 幸寺(カワシモ コウジ)

二人は、僕が所属していた部活の、

部長と副部長だ。

連携がとても強く、いつも一緒にいた。

プレーも、もちろん上手かったし、

学業成績だって優秀だった。

僕は、レイに買い物を頼まれていた時だった。

僕は、偶然にも、あの部長にあってしまったのだ。

「久しぶりだな、雑用。」

部長がそう言ってあざ笑った。

「久しぶりですね。部長さん」

僕は普通に返した。

「そういえば、お前は、部活の先生と二人の生徒が『事故』に遭って死んでいるのだけれど、お前はそれを知っているか?」

もちろん知っていた。

それは、僕とレイがやったことなのだから。

「え、そうなんですか!僕は最近テレビとか見ていなかったので分からなかったし、3人も事故死なんて怖いですね」

僕は知らないフリをした。

「津田先生、九周、五月さん、の3人

なんだけど、そいつらって特にお前をからかってた野郎だよなあ」

部長が僕をにらみながら言った。

「それがどうかしたんですか?」

僕は聞いた。

「あれは、事故じゃなかったんじゃないか?、死に方が、ほぼ統一されているんだよ

3人とも自殺なんだよ。

妙だろ、1か月の間に3人自殺だぜ。

おかしいだろ。

3人は誰かに殺されたんじゃないか。

もし、犯人が居るとしたらお前が一番怪しいな」

「冗談はよしてくださいよ。」

僕は、苦笑いしながら、返した。

「まあそうだな、でも、もし俺が犯人なら、次は、一酸化炭素中毒か感電死で殺すな。

殺す相手は、もしお前が犯人なら俺を殺すな。だってお前を見てると俺は

蹴落としたくなるんだもん。そう、俺一人。大量殺人は難易度が高い。

一人だけだったらこっそりとできるけど、2人以上だとそうはいかない。二人同時に見なければいけないから。」

と部長は勝ち誇ったのような目線でそう言った。

盲点を突かれた。

殺し方がかぶる、爆死、毒死、物理的なあの酷い死で殺すと、殺し方がかぶるために事件だと疑われる可能性が高い。

なぜなら、同じ死に方が連続で起こるなんて不自然だ。

となると、一酸化炭素中毒か感電死くらいしか遠隔で殺す方法がない。

そう、

一酸化炭素中毒は

ガスコンロでもなんでも、空気を取り込むところにホコリを詰め込むだけで死んでくれる。

一酸化炭素は比較的薄い濃度でも勝手に死んでくれる。


感電死は、古い洗濯機のアースの線(地面に余分な電流を流すことによって感電を防ぐ線のこと)を自然と切れてしまったかのように切断しておけば良い。

ただそれだけだ。洗濯機は水を使う。

濡れた手だと感電しやすい。


そう、この2つの簡単な殺人方法はもう使えない。

奴は、感電死や一酸化炭素中毒にならないようによく考えてこの先行動するだろう。これは副部長も同じだろう。

だから2つ以外の方法でなければ殺せない。

それに、部長と副部長を一人だけ殺すと、

絶対に僕は終わる。

例えば、部長だけ殺したとすると、

副部長の事だ、

どんな方法を使っても証拠を見つけるだろう。

殺人というのは必ず証拠が残る。

その証拠が、目立つか、目立たないか。

気ずくか、気ずかないか

そう、証拠の隠し方で殺人というのは価値が決まる。

見つかる確率は、ほぼ捜査時間に比例する。

それに2人とも僕を犯人と思っているため、僕を警戒しているはず。

それは1人殺すと、さらに生き残った方はさらに警戒心が増すことを示していた。

つまり、別々に殺そうとすれば、

だんだんと難しくなり、時間がかかる。

その間に生き残った1人が証拠を見つければ、僕は終わる。

僕の負けだ。

すなはち、


二人同時に殺さないと勝ち目がない。


それはかなり難しい事だ。

短期間で僕だけに警戒心が強いあの二人を殺すのは、とても難しい事だ。

弱点は二人一緒にいることが多いこと

ただそれだけ。

いや、それは、最大の武器なのかもしれない。

そう絆とは、人間が持つことのできる

最大の武器なのだから。

でも、こっちにも僕とレイという強い絆がある。

絆と絆との戦い。

面白い!

受けてやる!

「もし事件なら、犯人、早く捕まるといいですね。」僕はそう答え

部長に別れを告げ、レイの家に帰った。

僕はレイに別々に殺せないことや一酸化炭素中毒と感電死以外の方法でしか殺せないということ、

絆が弱い方が負けるということを話した。

「手強いわね」レイはそう答えた

「でも、目先の敵を殺さないとね。」

僕はレイに言ったと同時に自分にも言い聞かせた。

あいつらを殺す方法はアレしかない

奴らは11月23日、私利山(シコヤマ)

という山に登る予定だった。

僕は、10月1日からレイの家に監視カメラをつけていた。

技術が進歩した現代、監視カメラを取り付けるのは、誰にでもできる。

もちろん目立たない場所に設置した。

そこには部長と副部長の姿はなかった。

つまり、僕の学校での「様子」と

あの3人の事故については調べていたが、

奴らはレイの事は知らなかったのだ。

僕は、学校では念のためレイとは極力話さないようにしていた。

また、帰る時もわざとバラバラの時間帯にしていた。

レイと僕には関連性がないということを思い込ませるために。

一応、念のためやっていた事だが、こんなところで役に立ったとは。

僕は学校では孤独を装いながら

レイに2人の事を調べさせた。

当然、奴らは調べられていることなんて思いもよらなかっただろう。

つまり、奴らは僕の学校での「様子」しか調べなかったため、僕が、レイを使って奴らの事を調べていることに気がつかなかった。

僕の学校での「様子」と事故について調べることが一番効率的で、すぐに証拠を見つけることができると思ったのだろう。だから奴らはその2つだけを

徹底的に調べていたんだ。

僕は奴らの考えをすでに見抜いていた。

そうだ、奴らは『自分たちが賢い』と

油断したのだ。

山登りの情報は予めレイが僕に教えてくれた情報だ。

他にも、奴らは山のふもとの店であるお気に入りの苦いお茶を買う予定だということも教えてくれた。

僕は、11月15日にレイに山の湧き水を

持ってくるように頼んだ。

僕はそれを1週間コタツで温めた。

細菌というのは暖かいと繁殖しやすい。

湧き水の中には色々な細菌が入っている。

僕はレイに注射器と細菌まみれの液体を渡し、あの店に夜中に侵入して、部長と副部長の大好きなあのお茶の中には入れるよう頼んだ。レイだったら、僕と違って奴らに出くわしても怪しまれないだろう。

奴らは真面目だから、下見でもしてるんじゃないか?そう思った。

もしそうなら、僕と奴らが山で鉢合わせになった瞬間、

僕は終わる。

だって、僕は奴らの山登りは知らないはずだから。


レイは最前列の2本のペットボトルにだけ入れた。

あのお茶は凄く苦くて、人気がなく、

あいつらくらいしか飲まないからだ。

あいつらは目の前にある2つのお茶を買って飲む事は分かっていた。

わざわざ奥の方のお茶を買う人間など、

そうそういない。

次の日、奴らは、店に来て、案の定、

お茶を買った。

あいつら早速、細菌豊富なお茶を飲んだ。

山道が険しくなったところであいつらは腹を壊した。

山登りは健康が一番大切だ。

だから奴らは、腹痛のせいで集中力が

途切れ二人とも、足を踏み外して、

死んだ。


『二人とも、

湧き水を飲んだことによる腹痛が原因により、集中力が途切れて、

足を踏み外し、

それによって死んだ。』

そう警察に処理された。

2人の司法解剖の結果、胃の中から、湧き水の中に含まれている細菌が検出されたのだから。

それが決定的な証拠となり、

2人は事故死と処理された。

そうだ、僕たちの方が、情報量と絆でははるかに(マサ)っていたのだからから、

僕たちは勝てたのだ。


でも奴らにも勝つチャンスはあった。

もし僕の事をずっと尾行していれば、レイの事に、気がつく事が出来たかもしれない。

学校で山登りの事を言わなければ、

もしかしたら勝っていたのかもしれない。

奴らの敗因は油断と捜査対象を絞りすぎた事だ。

人間はすぐに油断してしまう。それもまた、人間の重大な弱点だ。

僕とレイが交際して、一緒にいることは今のところ『誰もいない』。

そう、人間は目に見えることしか考えていない。それが全てだと思い込むからだ。

言い換えれば、主役というのは、裏というものを知らない。

これは、幸せであると同時に、弱点でもある。部長と副部長のように。

僕はいつものようにレイの家で朝食を食べていた。

「次は、いよいよ、私の両親の番だね。

でも、リクのためなら喜んで殺せるよ

だから、主役になっていつまでも幸せにね」

「今まで、ありがとう。

これからもよろしくね。

『二人で主役になって、いつまでも幸せに暮らそうね。』」

僕はまたとんでもない「嘘」をついてしまった。

「そうだね、リク。」レイはいつものように喜んでくれた。僕はなんだか悲しかった。







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