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1話 反抗

1話 反抗

僕の仕事は脇役だ。

僕という存在は

臆病で孤独でいつも主人公にいじめられている。

どこにいっても僕は誰かの引き立て役だ。一生、誰からも期待されずにからかわれバカにされる。

そうだ、一生。

何か起きたら黙って治まるのを待ち、

ごますって寄生虫のように生きる。そう、それは生まれた時から決まっていたのだ。


僕が一生かかっても手に入れることができない大切なものを彼ら(自分よりはるかに優れている主人公)は簡単に手に入れることができる。

その一つが恋だ。

親は「脇役からはどんなに努力しようが脇役しかうまれない。

お前みたいな脇役に愛されたほうが迷惑だ。だから恋愛なんかするな。そしてみじめに俺のように死ね」と

いつものように言っている。

親もまた脇役だった。

僕は部活動に入ってもいつも雑巾かけや体育館の後片付けしかやらせてもらえなかった。後輩にもバカにされ、

うまいプレーをする同期の人や先輩にはつねに敬語で接した。

悔しかった。

その人たちはいつも僕のことを「下」としてみていた。

先生もその人たちの味方で、「東野、お前がヘタクソだからみんなに迷惑がかかるだろ

お前は外で見学してろ!」

主役はいつも笑いながら僕を見る。

そう、これがいつもの僕だ。

転校しても、進学してもいつも同じことの繰り返し。

いくら努力しても主人公の足下いや、主人公と同じ次元にいることさえ許されない。それが脇役だ。

もう慣れたはずだった。

でも何かが僕の体内を暴れていた。

僕は死ぬことにした。脇役が欠けてもどーってことはない。

僕はここから飛びをりて死ぬんだ。

死んだら無の世界に行くからもう脇役なんてやらなくていい。

幸せだ。

そう自分に言い聞かせた。

地面との角が45度くらいになった時誰かが僕を引きずり上げた。

同級生の宇田(ウダ) 玲子(レイコ)だった。

「リク、死んじゃダメ。生きようよ。」

なぜ死んではいけないんだ。

死なせてくれ。

俺を天国行かせてくれ。

「私はあなたに勇気をもらったの」宇田が泣きながら答えた。

「ふざけるな。主役がそんなこというな、脇役を見捨てろ、お前にはこれから立派な未来が待っているんだ。だから俺のことなんか相手にするな! 」僕は激怒した。

「あなたは脇役なんかじゃない! 立派な主役よ。

私は主役だけれども、そう、あの時……」

半年前、僕は主役(レイコ)が道端で脅されているのを見た。

僕はすぐに助けた。なぜなら、脇役は主役なしでは生きてはいけない寄生虫だから「お願いです。彼女を許してあげてください。僕はなんでもします」

「テメーみてーな脇役には用はねんだよ」ヤクザはゴミを見る目で言った。

「お願いです。彼女を許してあげてください。この通りです」

僕は、いつの間にか土下座していた。

「そこまでからかわれたいならやってやるよ」ヤクザの目はこう言っていた

「いいおもちゃが手に入った。こいつはオモシロそーだな。そんで、飽きたら使い捨てだな」


その後、僕はもうろうとした意識のなか道で倒れていたことしか覚えていない。

「レイはリクのおかげで救われた。これからはレイがリクを救ってもいいでしょ」レイが僕のことを愛しているかのように言った。

「でも僕はワキ…」

「だから、他人がどう思おうが私の主人公はリクだけなの。だから、生きて、本当の主役になってみんなを汚そう」

「僕がしゅっ、主役!できっこないよ

、主人公という光に隠れた影なんだよ、僕は!」そうさ僕は……一生……脇……もう辛くて考えることさえできなかった

「あなたはいつもそうやってチャンスをいつも逃すのね。それじゃ〜一生脇役ね。でも、脇役にだってチャンスを掴み取る権利はあるわ。そして主役になる権利だって。

だからお願いです。主役になってください。」

レイは泣きながら言った。まるで、我が子のように僕は正直嬉しかった。生まれて初めてだった。ここまで僕のことを見てくれたヒトは。「君は僕のことを、ここまで考えていたんだね……とっても…うれしい……」

自分でも言葉を発するのがやっとだった。今にも泣いてしまいそうな気分だった。

そして、僕は深呼吸をして、


「わかった。僕は運命に(アラガ)ってみるよ」と声に出した。


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