CAT 第五話
一週間ぶりです。
CAT第4話を投稿した日に20人を超える方がアクセスしてくださりました。
本当、このような作品をご贔屓いただきありがとうございますm(__)m
誤字脱字酷いかもしれませんが
指摘していただければ直しますのでコメントよろしくお願いします。
「……マスター」
「ん?どうした、アイン」
「いえ、我々にご命令はないかと……」
「そうだな。早速欲しい実験材料がある。頼めるか?」
「ヤ・ヴォルー」
彼女はそうとだけ言って、去っていく。
私が現在見ているのは、この街の中枢機関の監視カメラ系統だ。
これがあれば、街の至る所が見れる。
「おい、いるか?」
「おぉ……クロではないか。どうした?」
「どうしたもこうしたもねぇよ。今アインの姿が見えたんだが?」
「あぁ、『奴』を回収に向かわせた。『組織』に奪われるのも癪なのでな」
「まぁー、いいが。……あんまり騒ぎデカくすると、自分の化けの皮がはがれるぞ」
「ふっ、それは貴様も同じではないか。一体『何人』いるんだ?」
「うっせぇ」
口に溜まった唾を地面に吐き捨てるクロ。本当に下品な男だ。
「それで?貴様は俺に用があってきたのではないのか?」
「あぁ?何……『あれ』が完成してんのか聞きにきただけだよ」
「済まない。『あれ』はまだだ。完成すればこちらから報告する」
「そうかよ……。んじゃあな」
そう言い放つと、クロはその場から一瞬にして姿を消した。
「大我。座れ」
「はい」
俺、鈴村大我は学校の特別会議室に招かれていた。
目の前にいるのは俺の担任の黒木場。女の先生だ。
眼鏡に短いタイスカート。年齢以上に大人しい冷静さを出している。
「お前を呼んだのは、他でもない。先話した通りお前が指名手配になったことだ。
うちの学校にも、来た瞬間にひっとらえようと考えた教師陣もいる。私がなんとか阻止したがな」
「なんでっすか?」
「君が子供だからだ。
いくらCATとはいえ、未成年が名前を公表されてテレビに流れることがおかしい。
政府が決めたことだから、大概の者はなんの違和感も持っていない。お前がCAT全員に対して宣戦布告したのを
テロ予告と取っているものもいる始末だ。だが……私はそうは思わない」
先生の眼差しは真剣なものだった。
何の疑いもなく、俺を見つめていた。
「んで?結局どうしたいんですか?俺頭悪いでごたごた理屈こねられてもわかんねぇっすよ?」
「……そうだな。先日から、少女が何人か消えているのは知っているか?」
「なんすかそれ?」
「貴様はニュースも見ないのか……。いや、仕方ないか。
ここ数日、少女が謎の消失が相次いでいる。その他にもいくつかあってな。
だが……その事件のほとんどはほどなくして報道されなくなる。解決はしていないはずなのに。
今この街には、何かが起こっている。少しずつ少しずつ、何かが迫ってきている気がしてならない」
「それはどういう根拠っすか?」
「……女の勘だ。
とにかく大我。お前が指名手配犯にされたのにも、きっと理由があると思う。
こんな法をもひっくり返す事が何度も出来る人間。相当の政府の中枢にそいつがいることになる。
お前が最強を目指すついででいい。この街に蔓延ってる何かをブッ飛ばしてくれ」
「……それ、俺なんかに頼むことっすか?
俺の叔父とか、他の偉いさんとか、そういうのに頼った方がよくないっすか?」
「君だからいいのだ。
君は今、この街の特異点だ。中心だ。全てのCATが君が現れたことで何かを起こすはずだ。頼んだぞ」
先生の目が俺に語り掛けた。
「まぁ、頼られるのは……悪かねえ。でもよ?先生……あんた、何者だ?」
「坊やには、教えられないな」
「けっ、なんだよそれ。まぁいいぜぇ。どうせ最強目指すんだ。先生の言う『何か』ってのもブッ飛ばしてやる」
俺はそういって部屋を出る。
っつても、何やればいいんだ?
ま、考えるのもめんどくさいし、CAT見つけて挑んでやる!
俺は校門を出る。
外は晴れやかな天気だ。
街にでも行くかな。目立った方が色々出てきそうだ。
「……あ、大我さんじゃないですかぁー」
その時、目の前に不愉快な声の女が一人。
俺は歯を食いしばる。
「見つけたぞ!糞猫!今回こそブッ飛ばしてやる!」
「ちょ、ちょっとぉ!女の子に会っていきなり攻撃ってどうなんですか大我!?」
俺のこぶしがコンクリートの地面を割る。けれど女、夢乃は簡単に攻撃をかわした。
「うっせぇ!ぜってぇ倒してやる!!」
俺が攻撃を繰り返すもひょいひょいと避けていく夢乃
「大我!落ち着いてください!私争うつもりはありませんよぉー!」
避け続けていた夢乃の顔面についに俺の拳が当たる。しかし、その顔はまるでパン生地を殴ってるように
柔らかい感触をしながらめり込んでいく。俺はそのまま夢乃の身体を地面に叩きつけると
大袈裟に奴の身体は地面を五メートルぐらいめり込んだ。地面に奴の変なポーズをかたどった穴が空く。
「酷いじゃないですか!大我!女の子は顔が命なんですよ!」
穴からひょこっと顔を出す夢乃。土で少し汚れているが、ほとんど無傷だ。
それだけで俺は癪に障る。
「おい、糞猫。」
「糞猫じゃないですよ夢乃ですよぉー?」
彼女は満面の笑みで言う。
こいつはいつも笑っている。少なくても俺が見ているこいつは全て笑っている。
「てめぇの能力……どんな能力なんだ?」
「夢乃は最強のエンターテイメントです。夢乃は夢乃は最強の笑顔をお届けする存在です♪」
まるで答えになってない。
俺は思いっきり溜息を吐いた。
そんな俺を奴は下から覗き込んだ。ちょっとイラッとしたので
思いっきり顎から拳を当てて思いっきり上に殴り飛ばす。
「飛んでけー!!」
「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!」
夢乃はロケットのように上空へ飛んでいく。数秒待っていると頭から物凄いスピードで降ってくる。
俺の真ん前で落下する。物凄い土煙を起こる。
土煙が消えていくと、そこには上半身が埋まっている奴の姿が。
こぉースカートをはいているので、それが重力に従っているので、パンツや脚が丸見えである。
「ちょ、ぬ、抜けないです!深くまで入りすぎました!だ、だれか助けてください!!」
俺は奴の前でかがみこみ、奴の下着をじっーっと凝視する。
前転んだときもそうだったが、中々いい肉付きをしている。
「ちょ、ちょっと大我!やらしい視線を感じます!ぬ、抜いてください!」
「だが断る!」
「ふぇ~~~!」
肌も結構白い。なるほどなるほど。
「ちょ、助けてください!変態ですよ!」
地面から声が聞こえてくると言うのは少し面白いものがある。
俺は携帯を取り出す。……パシャ。
「い、今写メ撮りましたね!?いけませんよ!そういうやらしいのはいけませんよ!」
「ほぉ……。お前その状態で偉そうにモノ言うか。いいんだぜぇ?ここで俺がお前を放置しても。
俺は純粋で聡明な男だからよ。こうしてるだけで済むが、やべぇ奴が来たら……どうなるだろうなぁ?」
俺がいじわるそうにそういうと、分かり易いほど脚から冷や汗が滝のように流れていた。
「あっ!目に入った!染みる!本当!助けてください大我!」
「んー……それっ!」
俺は右手で奴の右脚を掴み、持ち上げずそのままいる。
「ひゃっ!?ちょ、ちょっと早く抜いてくださいよ!」
「…………」
よし、指動かそう。
「ひゃっ!?や、やめっ……!くすぐったい……」
……そろそろ本当に抜いてやるか。
ボゴっと、音がして奴を引き抜いてそのまま壁に向かって投げつける。
「ぴゃっ!」
背中を思いっきり打ったのに奴は何事もなかったかのようにこちらに戻ってくる
「うぅ……大我に辱められましたぁ」
「すげぇ張りがあってよかったぜ!」
俺は思いっきり親指立てて奴に言った。
「そういう感想は求めてませんっ!……はぁ、この調子なら。聞かなくてもいいですね?」
「あぁ?何が?」
「いえ、鈴村大我くん。CATになって……楽しいですか?」
夢乃が突然普段の笑みとは違う。大人びた微笑みを見せながら問いかけてくる。
「あぁ、楽しいぜ。今は負けてばっかだし、指名手配にされたりしてるけど」
「そうですか。これからきっと、もっと貴方を楽しませるエンターテイメントが待っているでしょう。
人生はエンターテイメント。全ては自分と世界を彩る娯楽です。これからもどうか、挑戦し続けてくださいでは」
そういうと奴はポケットから何かを取り出す。何かのスイッチ?
「時限爆弾スイッチ……オン!」
「はぁ!?」
奴がスイッチを押した瞬間にカチチチチチと音が響く。
それだけで俺は思わず慌ててしまう。
「3……2……1……!」
その直後、空気が割れた音がして俺はびっくりしてしまう。
さっきまでそこに立ってた奴が爆発したからだ。爆発した奴の中から色とりどりのちり紙が待っている。
すると、手紙が落ちていることに気が付く。
俺はそれを取って、中身を開けてみる。
そこにはマジックで大きく『ドッキリ大成功!驚いてる大我。可愛いー♪』と書かれていた。
「……っ!あの女ぁ!絶対にぶっ倒してやる!ぎったんぎったんのめっためったにしてやるぅ!!」
俺は怒りに任せて手紙をその場で破りまくった。
「だぁ!むかつくー!」
「ど、どうしたタイガ。そんなに暴れて?」
「あぁ!?……おっ、ジョーじゃねぇか」
ムシャクシャしていた俺に声をかけてきたのは顔見知りの男だった。
DJジョー。アメリカ人なのだが、日本がペラペラの黒人。この街では有名なDJをやっている。
俺は過去に不良共に囲まれて喧嘩していたところでこいつが巻き込まれた事があり
こいつ自身も強くて、その場全員を制圧したことが出会いだ。会ったら話すぐらいなのであんまり知らないけど
「んで?何があったんだ?」
「ちょっとムカつく奴がいてな……」
「……ここがこんな紙だらけなのもそれが理由か」
辺りを見てジョーが言った。
「タイガ。一つ話があるんだが?」
「あぁ?話?」
俺は自分よりも20cm以上身体がデカいジョーを見上げる。
「お前……最強のCATを目指すんだよな?」
「あぁ?そうだけど……?」
俺は首を傾げながらジョーを言う言葉に答えた。
その顔は少し笑みを浮かべていた。
「っ!?」
その直後、俺は一瞬で身を引いた。
俺とジョーの間を巨大な大型犬が勢いよく横切ったからだ。
俺の顔を……噛もうとしてたか?この犬……・?
「……不味いことになったな」
ジョーが何か言っている。
少しずつ、犬の呻り声が大きく聞こえてくる。
辺りを見れば、数匹の犬に俺とジョーは囲まれていた。
奴らの呻り声からして、まだまだいるぞ。どうなってやがる。
「ここはひとまず逃げるぞ!まずいことになる!」
そういうとジョーは自分の耳につけていたヘッドホンに手を当てる。
「耳塞げ!タイガ!」
「あぁ!?なんで!?」
「いいから!早く!」
犬たちが一斉に襲い掛かってくる。
俺はジョーに言われた通り耳を思いっきり塞ぐ。
「Let's!ShowTime!」
その瞬間。自分の身体が震えてるように感じるほど重低音の音が響き渡る。
お、重い……!犬たちもその音にビビッて四方八方に散っていった。
この音……ジョーの野郎!?
「ん?驚いた目をしてるなタイガ。目当ての相手に会って驚いてるのか?」
にやりと笑っているジョー。
間違いない。こいつも……CATだっ!!
「とにかく、ここを離れようタイガ。あの犬たちもおそらく……」
そういってジョーに連れられて、俺は移動した。
何かに……巻き込まれ始めてるのか?俺??
ジョーは誰かに電話をし始める。
「五十鈴!話が違うぞ!」
『どういうことだ?』
「お前の話では相手は犬なんて使ってこないはずだ!!」
『犬?何のことを言っている?』
「今タイガを保護した。襲ってきたのはあんたの言っていたのとちがう!犬の大群だ」
「ちょ、おいジョー!保護ってどういうことだよっ!おいっ!」
『随分とうるさい奴だな……。まさか……奴らとは違う勢力か?』
「とにかく、これから五十鈴の元へ向かう」
「おいっ!俺はいかねぇぞ!」
何か話しているジョーの腕を俺は振りほどいた。
「大人しくこい!タイガ!お前は今狙われている!」
「だからなんだってんだよ!」
「挑まれた喧嘩は、逃げずに買わなきゃ意味ねぇだろ!」
俺はジョーに向かって怒鳴るように言った。
「……はぁ、悪い五十鈴。こいつの保護はまたの機会にしよう」
『お、おい!お前何を―――――』
「タイガ、行け。男にゃ行かなきゃいけない時がある。五十鈴の意見はほっといていい」
「なんかわかんねぇが、ジョー。サンキューな!」
そういって俺は犬たちが逃げていった方向に向かって走っていく。
俺に喧嘩売ったんだ。絶対にぶっ倒してやる!!
「はぁー。これは後で五十鈴に怒られちまうなぁー」
タイガの姿が見えなくなったとき、俺はふと独り言を漏らした。
「ターゲットの痕跡を確認。CAT、1名を確認」
「っ!?」
こいつか!五十鈴が言っていたのは!?
「CAT……戦闘態勢を確認。駆除を始めます」
「た、倒さなきゃ……!鈴村大我、倒さなきゃ……!」
「くぅ~ん」
「あ、ありがとう太郎。慰めてくれてるんだね……」
真っ黒で広い部屋。
そこにいる3匹の犬と一人の少女。
彼女はなぜか。ずっと身体をぶるぶるとふるわせていた。
第六話は恐らく今月末になる予定だと思いますので
よければお待ちください^^