CAT 第三話
三話です。
少し間が相手申し訳ございませんでした。
よかったらお楽しみください
「さてっと!さっそく喧嘩する相手を探すか!」
「そんなことしてていいの!?大我くん。もぉ夜だよ!?」
「おう、だから誠は帰れ!」
「大我くん……たぶんだけど今日お母さん帰ってくるんじゃないの?」
「こんなに気分が高揚してる時に家なんか帰って溜まっか!
それにこんな時に限って母ちゃんが帰ってきてるわけ――――――」
「いや、大我くん町中に響く声で叫んでたからきっとお母さんも――――」
「誠!俺帰るな!!ばいばーい!」
「ちょ!?……行っちゃった……」
「やべぇ!やべぇ!」
俺は全力ダッシュで家に向かう。
俺の母ちゃんは正直言ってかなり強い。
本人がCATなんじゃねぇのかって疑いを持ちたくなるほどだ。
本人は母の力だ!だのなんだのわけのわからない御託を並べているが
今新しい力を手に入れても勝てそうにないかもしれない。
「そうだ!こうなったら!!」
俺は思いっきり地面を蹴りあげる。よっしゃ!かなり高くまで飛べた!!
俺はあるビルの壁に脚を付けて、壊さない程度にその壁を蹴る。俺の身体がロケットのように
空中を加速する。これで俺の家の場所まで飛んでけばすぐに付く!!
そのときだった。俺の目の前に真っ白な服装の男がなぜか空を飛んでいた。
あれは……パラグライダー?
「……えっ?」
男も俺に気づいたみたいで、とぼけた顔をしている。ってやっべ!止まれねえ!!
俺と男の頭がぶつかり合い、鈍い音を鳴らして2人してビルの地面に落下する。
「くっそ……なんであんなとこに人が……」
「いたたたた。まったく、誰だね。この私の華麗な逃走劇を邪魔したのは……」
俺は頭を抑えながら相手の顔を見る。
真っ白な服。目元が見えなくなるまで被っている白のシルクハット。
そして見てくれといわんばかりの目立ったモノクローム模様のマント。
「まったく……ゆ、勇作には見つかってないよな……」
男がキョロキョロと辺りを見渡す。
「お、おい……なんで勇作の事知ってんだ?」
「っ!?き、君……もしかして勇作の知り合いか?」
少し顔を歪めながら俺に聞いてくる男。
知り合いも何も親族なんだけど……。
「お、おう……」
「これは困った。よし、少し記憶を改竄しよう!」
「はぁ!?」
そういって目の前の男は何やら怪しげな注射器を取り出した。
「この怪盗セブンの華麗なるゲームを妨害した罪!大きいぞ!」
「怪盗セブン……?っ!?てめぇ!」
「ん?私が怪盗セブンだと何か不味いのか?」
「あぁ……不味くねえよ!むしろ美味い自体だ!てめぇは俺がボッコボコにしてついでに勇作に投げ渡してやんよ」
「その声……。もしかして君が昼時の鈴村大我くんか?……面白い、ここは先輩として相手をしてやろう」
そういってセブンはそのマントを華麗になびかせた。
「行くぜ!」
俺は奴へ拳を放つ。
奴はそれを華麗に避ける。
「はっはっは!怪盗は常に優雅でなければなるまいて!」
俺の後ろに回って背中を軽く押される。
俺はすぐさま振り返り奴に攻撃しようとするも奴が後退したことによって外れる。
「3……2……1……ドン!」
「っ!?」
その瞬間、俺の背中が爆発する。くそっ!さっき爆弾を仕掛けられたか。
「私も勇作から逃げないといけないのでね!早期決着と行かせてもらおう!」
どこから出てきたかわからないバズーカをぶっ放すセブン
俺は慌ててそれから逃げる。
そのまま一気に距離を詰める。
「何っ!?」
「一発当てればこっちのもんだ!チェストォー!」
俺は奴の腹部に一発拳を放つ。思いっきりストレートが決まった!
奴は遠くへ飛ばされる。直後にパラシュートを展開してゆっくりとこちらに降りてくる。
パラシュートは奴が着地した瞬間に消えてなくなった。
「なるほど……それがてめぇのCATとしての能力か」
「何を言っているのかな?勝手に納得するのもいいが、私は人に能力を話すバカではないよ!」
セブンの背後に白と黒の謎の空間が現れる。
そこから飛んでくる無数のナイフ。
「ちょ!」
俺は慌てながらも全部よけようとするも、掠る!掠る!!
見てみると、セブンはさっき俺が殴った腹部からめり込んでいる鉄板を取り出していた。
あれを腹部仕込んでやがったのか。
一通りナイフの飛来が終わるとセブンがこちらに走ってきた。
奴が蹴りを放ってくる。俺はそれをなんとか受け止める。
本人が強いわけじゃねぇ!奴本人の攻撃なら受け止められる。
「ははっ!捕らえたほうが有利だと思うのは愚かだぜ!大我くんよ!」
「っ!?」
俺が奴の脚を掴んだというのに余裕そうなセブン。
奴の後ろの空間から出てくるライフルが二丁。放たれた弾丸が俺の両肩を捕らえる。
「な……にっ!?」
そのまま俺は地面へと倒れていく。
何やら下の方が騒がしい。
「……どうやらさっきのバズーカ爆発で勇作達を呼んでしまったようだ。
今日はいい勝負をしたな!大我よ!また、ゆっくり時間があったらまた相手しよう。さらば!!」
そういうと奴はパラグライダーを出現させてそのままどこかへ逃げていった。
警察共のうるさい音も次第になくなった。飛んでいったセブンを追っているのだろう。
「そうだ……早く母ちゃんとこいかねぇとバレちまう」
俺は立ちあがる。
穴の空いた肩に手を突っ込む。
にちゃ……と汚い音と共に肩に入っていた弾丸を引っこ抜く。
CAT能力のおかげで身体も丈夫っぽいな……もう一個抜かねえと……。
俺はまたビルを壊さないように蹴って自分の家まで帰った。
「……ただい……まぁ!?」
「どっせい!」
俺は家のドアを開けた……はずだった。
開けた瞬間に、視界が家の天井を見ている。あれ……おっかしいな、背中がすっごい痛い。
すると視界に女の人の顔が、母ちゃんだ。
顔が少し皺が付いたといえど、まだまだ若い(らしい)俺の母ちゃんの顔がそこにはあった。
「あんた!聞いたで!!今日の昼時の!!!」
「……」
母ちゃんは関西弁で話す。
昔は大阪に住んでたんだとか。
俺の名前が大我なのも、リスペクトしてる野球団体『阪神タイガース』かららしい。むろん俺も阪神派
「ほら、しっかり説明してもらおうか!座れ阿呆!」
「……。あぁ、俺。鈴村大我は。CATに目覚めました!」
「どんなや?」
「……たぶん、身体強化系だと思う。本気で殴ったらこの家壊せます」
俺が冗談でそういうと母ちゃんは椅子から立ち上がり、俺の袖を掴んでまた投げた。
俺はまた一瞬で背中に痛みが走る。母ちゃんは昔柔道の凄い人だったらしい。オリンピックにも出たとか。
「はぁ……勇作さんに今まで以上に迷惑かけてまうわぁー」
母ちゃんは大きなため息を吐きながら言う。
「んで?あの昼さけんどったのはなんや?」
「……俺が、CATの中で最強になる」
「ついでに聞くけど、勇作さんには?」
「負けた。ついでに言うとついさっき怪盗セブンとやって負けた」
「あの怪盗セブンとか!?かぁーそかそか。……なら、頑張れ!」
「はぁ?」
「なんや。母ちゃん応援しとんねんで?」
「いや、ふつう怒るとこだろ?」
「男が最強目指すんに何のお咎めがあるねん。そやろ?」
そういって母ちゃんは俺に笑顔を向ける。
もう40台の皺の付いた女の顔とは思えないほど、純粋でまるで少女のようだった。
「ただ、世間様を騒がせたらあかんでほんまに……。ほら、飯作ってるから」
「それは出来ねえ相談だな。怪盗セブンもあの夢乃って女も勇作も全員俺がブッ飛ばしてやるから」
そういって俺はもっかい机に座る。
並べられるごはん。味噌汁。後焼きそば。
「……母ちゃん。毎度言うけど焼きそばとごはんていっしょに食うもんなの?」
「当たり前やろ?」
「あぁ……そう」
俺はとりあえず味噌汁を口に……。
「ッ!?あっつッ!!」
俺は熱さのあまりに味噌汁をこぼしてしまう。
「ちょ、何してんのさ!」
「だ、だって味噌汁がすんげぇ熱いんだもん!」
「普段と一緒やで?……あんたもしかして……猫舌なったんか?」
「かも……しんねぇ」
これもCATになった奴の変化なのか?
「はぁ、だとすると、これからあたしが作るときは熱いもの気をつけなきゃねぇ」
母さんがそんなことを言いながらため息をついていた。
その後俺は冷めた飯を食って、そのまま今日は疲れたので眠った。
寝る前に血の付いた服見られて母ちゃんにまた背負い投げされたのはまた別の話。
「ちょっと!大我!大我!!」
「ん?なんだよ母ちゃん……」
朝。母ちゃんに叩き起こされる。
どうやらテレビを見てほしいらしくそこをずっと指さしてる。
俺は薄目でその映像を見ていたが……だんだんそれが見開いていく。
当然だ。俺の顔がテレビに映ってるんだから。
「えーっと、賞金首。『鈴村大我』CATでの賞金首は3人目…………はぁ!?」
俺は思わず叫んでしまった。
テレビを見続けていると『怪盗セブン』『夢乃』の紹介もされていた。
「あんた、いくら最強目指してもいいし、目立ってもいいけど……指名手配犯ってのは」
「俺、なんか悪いことしたか?」
「あたし詳しくないけど、もしかしたらCATの中に御用人がいたんじゃ?
それだと……あんた、テロ予告犯とかと同じ扱いにならなくも……ない?」
「はぁ!?なんだよそれ!?」
「まぁ、とにかく今日はいったん学校行ってみな?
夢乃ちゃんみたいに政府が狙ってるだけで人民には狙われてない例もあるし
そもそもCATを捕らえようと考えるのが……同種ぐらいでしょ?」
「…………」
母ちゃんが言った言葉の意図を俺は理解して
唾を飲んだ。そうか……これはチャンスだ。
「向こうからこっちに来るじゃねえか!
好都合だ、挑んできた奴らをかたっぱしから倒していきゃいいんだからよォ!」
「はいはい。それはわかったからとりあえず学校」
「あぁ?別にいいじゃん学校とか」
「別にいいわよ。今日で最後になるかもなんだから」
「はぁ?どゆことだよ?」
「CATになった未成年の子は例外なく……退学してるからよ」
母ちゃんはそういって俺の制服を俺に投げつけた。
「……このプール。何度も来てしまう」
とある学校のプール。
そこの第4コーナーの飛び込み台の上に立つ一人の少女。
そこに溜まっている水をただただ見つめている。自分は……この水の中には自由に入れない。
「私はただ……ずっと泳いでいたかっただけなのに……」
すると、部室の方から部員たちの声が。
「さぁー朝練やりますかぁー……あれ?ねぇねぇ」
「何?」
「私たちの前に誰か来てた?」
「んなわけないでしょ。こんな朝だよ?」
「だって……4番台の上……濡れてる」
「今日もいい朝♪
大我は本当に面白い子です。私の想像を超える働きをしてくれます。……いるのでしょう?クロ?」
「おやおや、バレてしまってましたか。ドリーマー」
「その呼び名はやめてください!私には夢乃と言う名前があるのです!」
「いやはや失礼。それより、あの大我とかいう少年。言いのけましたねぇー。
私たちを倒して最強になる……っと」
「私と貴方と同族のように言わないでください。私は可憐な乙女です」
「はっはっは!流石は笑い猫。冗談がお上手ですね」
「冗談じゃないです!」
「まぁ、いいです。貴方が彼を使って何を企んでるのか知りませんが
彼がきっかけを作ったおかげで、歯車は狂いましたよ?」
「貴方達が暗躍し辛くなった。の話ではなくて?」
「とにかく!今まで特に動きを見せなかったCATも動くことがあるかもしれません。
それに関しては私もまったく見当が付きませんからねぇー、せめて貴方の行動だけでも理解しておきたいのですが」
「それは無理な相談です。私はただただみなさんの笑顔のために動いてますから」
その直後、夢乃の身体が空気が入ったように膨らんでいく。
そしてもはや人としての原型を無くした時、突然破裂してその場からいなくなってしまう。
「困った猫娘ですねぇー。さて、俺も出来る限りのことはしようか……」
そして男も、突然その場から姿を消した。
「うっし、とりあえず。学校に行くか」
鈴村大我16歳。今日……最後になるかも知れない学校の門をくぐりました。
四話は来週にでもあげようと思います♪♪
お、覚えてたら……(;´・ω・)
アクセス数があればこっちに更新する意欲もわくかもね!(笑)
今のは冗談です^^;
では、次回もどうかお楽しみください♪