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CAT 第11話

これから新章が始まります!


更新頻度が少し落ちてしまいましたが、これからも読んでいただければありがたいです。

―――――この街は異常である。




街の外から来た人達はみんな口を揃えてそう答える。


それも当たり前である。この街には現在15人の人を超えた《CAT》と呼ばれる人種が渦巻いているのだから


彼らは個々に動き回っている。


何もないところから手錠を出して犯罪者を捕らえる警察。


なんか物凄い恰好で何やら騒いでいる少女。


何もないところからヒップホップを流し、あたりの人と共に踊る黒人。


そしてこの街のテレビでのみ現れ、この街のみに現れる怪盗。


最近では二匹、三匹首輪も付けずに引き連れている少女。


気を失ってのびている不良の人々。




この街に来た人々にはあまりにも奇怪に映るものばかりである。


それは、もちろん。生まれた時からこの街で育っている僕でも変わらないのだけれど。


それでもやはり、この光景、日常を見てきた僕はそれなりに耐性がついてきたと思う。


大我くんがCATに目覚めたと聞いたときは流石に驚いたけれど


よくよく考えれば彼なら目覚めてもおかしくないなぁとも思える。


だからこそCATに目覚めた彼に対して恐怖を感じることも何もなかった。




恐らく、僕はその辺の耐性は人一倍あるのかも知れない。


小学生の頃、ゴキブリが教室に出て、男子女子共に騒いでいた時も僕は平然としていた。


流石にそれに立ち向かったりはしなかったけれど、別にいるからなんだ。と思っていた。


うん。やっぱり僕は物事に対して随分と冷静になれる人物なんだ。


うん。そうなんだよ。僕はこれまでどんなことがあっても、一瞬驚きはしても冷静さを取り戻していたはずなんだ。


この街に対して僕は詳しい、どこに何があるかはっきりわかるほど詳しい。と言うのが一つと


その冷静さに関しては僕は比類の強みがあったはずだったんだけどなぁ




「…………」


「…………」




どうやら僕は、女性と言う生き物には苦手だったようだ。


いやぁーおかしいなぁ。確かに、これまで《彼女》なんて崇高なものを作ったこともないけれど。




「…………」


目の前の少女は、街の建物の隙間の小さな通路。


そこで倒れていた少女、血だらけで、なぜか腹から鉄の縄が飛び出していた少女。


何が起こったのか僕にはわからなかったけれど、


一瞬で冷静さを取り戻して彼女を保護しないといけないと思ったから彼女を連れていった。




そして血を拭いてあげて、彼女が来ていた服を洗って着せている。


そして目を覚ました彼女は、今何も話さずに正座している。


腹から出ていた鉄縄は目を覚ましたと同時に腹の中に収納されて


その腹も綺麗に閉じていった。見てみてもとっても綺麗なただの女性の腹なのに……。




(彼女は……ただの人間、ではない。よねぇ……)


僕はとりあえず彼女の前にお茶の入ったコップを差し出す。


それでも彼女はただ目の前を瞬きもせずに見ている。


「えーっと……意思疎通は出来る?」


「はい。可能ですよ。」


どうやら、会話は出来るみたいだ。


でもどこか機械的だな……。


「その……名前は?」


「ツヴァイ。コード、ツヴァイといいます」


「……《ツヴァイ》?それに……コード?」


やっぱり、この子はただの女の子ではないようだ。


「あの……。貴方様は……。」


「えっ!?あっ。えっと……」


いきなり彼女から話しかけられて、僕は狼狽する。


こんなに女の子と話すの苦手だったかな僕……。


「えっと、僕は田中誠って言うんだ。誠でいいよ」


「そうですか。誠様」


「ぶっ!」


僕は口に含んでいたお茶を噴き出す。


「……どうしました?」


「えっ……いや、ごめん。急に誠様なんて言うから」


僕が噴き出したお茶を拭きながら彼女に苦笑いをする。


彼女は何がおかしいのか理解していなかったみたいだ。


「どうやら、先ほどの呼称の仕方は誤りだったようですね。


 では……マスター……どうしたのですか?お茶をこぼした床に飛び込むと服も濡れますよ?」




「はっ……ははっ……」


僕は恥ずかしさを混ぜた照れ笑いで彼女に答える。


「マスターもやめてほしいな。誠でいいよ。様も付けずに」


「……わかりました。誠」


「うん。それでいいよ。後はどうしよ……僕。君を『ツヴァイ』って呼ぶのはねぇ……」


僕は脳内で思い浮かべる。




これからこの子が帰る場合、それまでは僕がここに泊めてあげる可能性がある。


その場合、この子を僕は日常生活で『ツヴァイ』と呼ぶのは、なんというか。その……恥ずかしい。


ただでさえ女性を呼ぶなんて僕からしたら恥ずかしいのに、こんなツヴァイなんて名称を呼ぶなんて。


それに、この子が日常生活をしていくにおいて、ツヴァイと名乗るのは少し問題がありそうだ。


CATである人達をなんだかんだで受け入れているこの街ならもしかしたら大丈夫かも知れないけれど……。


「ツヴァイ……ツヴァイ……」


「はい。呼びましたか?」


「あっ、ごめん。独り言だから、お茶でも飲んでて」


「わかりました」


彼女は無表情なまま僕の言葉に従ってお茶を啜っている。


僕はスマホを取り出して『ツヴァイ』と検索してみる。


もしかしたらこの子がさっき僕を『マスター』と呼んだ事を考えれば


その『マスター』が彼女に『ツヴァイ』と言う名前を付けた場合がある。




「ツヴァイは……。ドイツ語で……『2』……か」


んー、2かぁ……。僕なりに呼びやすい名前に帰ることは出来ないかな。


「二葉……?」


「二葉……ですか?」


啜っていたお茶の入ったコップを戻しながら、首を傾げる。


「うん。出来たら日本人名のほうが、僕は呼びやすいかな」


「そうですか。なら、今日から私は『二葉』として貴方と行動を共にします」


「えぇっ!?」


さらっと言われた言葉に僕はまた動揺する。


ダメだ。僕は本当に女の人が苦手みたい……。


「ぼ、僕と一緒に……ってどういうこと?」


「え?マスターなのでしょう?」


「……あれ?」


ツヴァイ……いや、二葉が意味がわからない事を言い出した。


彼女はさも当然の事を言ったっぽく、また首を傾げている。


「僕は……マスターなの?」


「はい。違うのですか?」


「いや、知らないんだけど……」


と、とりあえず。どうするべきなんだろうか?


「とりあえず……人に頼ってみるかぁ」




そして僕は座って、上目づかいで見てくる二葉の視線を気にしながらスマホである人間に電話をかける。












「あぁ?勇作の電話番号を知ってるか。だってぇ?」


俺、鈴村大我は現在街を闊歩している。


その理由は今はまだ出会ったことのないCAT。


そして『夢乃』『怪盗セブン』とリベンジをしたい相手。


さらには……『アイン』と呼ばれている謎の機械女を探すためである。


真昼間とはいえ、休日だから人が多い。


カップル・親子・友達同士でつるんでる奴ら。


平和でガヤガヤとしているのがどこか心地いい。


そんな中、一つの人混みを見つける。




「誠。悪いが俺も勇作の電話番号は知らねぇんだ。


 うちの母ちゃんが知ってるから、家に帰ったら聞いてやるよ。多分今仕事してると思うし」


『そうか……。わかったよ』


「んで?勇作になんか用か?」


『うん。ちょっとね』


「そうか、じゃ。俺はちょっと面白そうなもん見つけたからこれで」


『また……街を潰さないでよ?』


親友、田中誠との電話をその一言を聞いて切り、俺はその人混みに向かって駆けつけてみる。


(また……あの糞猫かもしんねぇしな!)


俺は少しワクワクした。


いつもは向こうが急に現れるから今日は俺が先に見つけて不意打ちを――――――――。


「見つけたぞぉ!糞ね…………こ?」


俺は人混みをかき分け憎き女に向かって叫んだ。つもりだった。




「……What?」


人に囲まれていたのは、あの糞猫じゃなかった。


なんというか、アニメ的……と言うか、コスプレ?みたいな恰好をした。金髪の長い髪した女性。


ふりふりとしたスカートのいかにも『魔法少女』な恰好をしていた。


けれどその容姿は少女と言うにはあまりにも自己主張の激しい胸部が目に自然と入る。


あの肉付き……あの糞猫以上!だが、脚にはあの五十鈴……いや、あの女ともいい勝負!


なんだ、この女性の身体と言う身体を完璧に表現している女は!なんでこんな奴がコスプレしてんだよ。




改めて回りを見てみると、人混みは男ばかりでみんなカメラを片手に彼女を撮っていた。


突然現れた俺に対して邪魔者のような視線を向けるものをしばしば。


「な、なんか……お邪魔しちまった……みてぇだな。ははは」


俺は申し訳なさげに頭を掻きながら、苦笑いをする。


正直、不良の相手は慣れてたけど、こういう奴らの視線は……少し苦手だ。


「……この声」


「はぇ?」


すると、パーフェクトボディのコスプレ女はニコニコしながら俺のほうに歩みよってくる。


俺は少し狼狽して後ろに下がってしまうも、彼女は俺の目の前まで詰め寄ってきた。


(すっげぇ、綺麗で碧色の目ぇしてやがる)


しかも、俺よりも身長がかなり高いので、上から見下ろす形で俺を見つめている。


「You……鈴村大我クン。ですよね?」


「っ!?」


俺は奴の背中を押し出し、奴を軽く飛ばす。


「おっとぉ、どうしたの?ワタシに詰め寄られたからか、顔真っ赤ですよ?」


「っ!?」


俺は慌てて腕で口元を隠す。


確かに綺麗な女だ。俺も年相応の男として、照れないはずはない。




「おい、今鈴村大我って……」


「あぁ、あれだろ?電波塔に立って叫んだ意味わかんねぇ行動した」


「あいつ……確か指名手配犯になってたよな?」




「…………」


周りの奴らがざわつきだす。


そうだった。俺は一応指名手配犯なんだ。


黒木場、俺の担任も、CAT以外はおめぇを狙うことはないとは言われてたからちょっと安心しきってたぜ。




「ハイハーイ♪みなさんお静かにー」


すると、目の前の魔法少女の恰好した女が手を叩きながら場を鎮める。


彼女のファンであろう。男たちは彼女の言葉で言葉を止める。


こいつ……何もんだ?俺が鈴村大我って知ってたら一般人ならビビるだろ?


特に俺は自分で言うのもなんだが温厚派じゃない。


つい先日も物部真希と言う少女と闘った事件も広がってるはずだ。


「ナルホド……。Youが、大我ですかぁ。貴方を差し出せば、賞金がもらえると」


「っ!?」


この女、今何を口走った!?


そんなこと、ただの一般人、しかも女に出来るわけが!


「おめぇ……!まさか!」


「いでよ!魔法のステッキ!ヴィヴィッド・レイアース!」


突然彼女の元に光が集まり、その光はこれまた魔法少女のような杖の姿になり出現する。


「いっきますよー!スウィート・ハンマー!」


杖は突然ハンマーの形になり横から俺に襲い掛かる。


俺はそれを肩で受け止める。くっ……結構重い!




「ほぉー♪それを受け止めるですか。ならこれデ―ス!GO!GO!ミサイル!」


ハンマーが突然消失し、魔法の杖に戻り、彼女が技名を唱えた直後目の前には可愛い姿をした……ミサイル!


「ちょっ!?」


俺は逃げようもするも、そこは彼女のファン達もいる。奴らも一斉に逃げようとしているが


急な事で慌てて脚が動かせないでいる。奴らのせいで俺も逃げれねえ!!








「そこまでー!ですよ!」


その時だった。


俺と魔法少女の恰好をした女の間に、一つの影が宙から降ってくる。


ミサイルは全てその影に衝突し、小さな爆発を起こし、土煙におおわれる。


「Oh-!その声はー♪」


すると魔法少女の恰好をした女はスキップしながら土煙の中へ入っていく。


あの声……やっぱり


「ちょ!や、やめてください!シャローナ!」


「Noですよぉ~夢乃~。また胸大きくなりましたかぁ~」


「ひゃ~!やめてくださぁい~!ひゃっ!どこ触ってるんですか!?」


「むふふふ~相変わらず可愛いでぇす夢乃~SoCute!」




い、いったい……土煙の中で何が繰り広げられているんだ……。


俺と、逃げ遅れた男たちはみな呆然とその女性二人の声に聞きほれていた。


なぜか前かがみになっている奴らもちらほらと……。なんとも言えない時間の中で土煙の中の声だけが響く。




「ふぅーやり切ったでぇす!」


「うぅ……」


土煙が払われた時には、なぜか満足げな顔のシャローナと呼ばれたコスプレ女と


なぜかぐったりとした糞猫の姿があった。




「ふ、2人とも!街中でのCAT同士の喧嘩は危険ですよ!


 街の人もたくさんいるんですから!」


くたくたになっているのを持ち直して俺とシャローナの顔を交互に見て説教をする。


俺は自分は襲われただけだからなんとも言えない不服そうな顔をして


シャローナはなぜか怒っている夢乃を見ていてもニコニコしている。


「怒っている夢乃も可愛いです♪」


「ちょっとシャローナ!私は本当に怒ってるんですよ!」


「わかってまーす♪ファンにも迷惑かけたのは反省します♪思わず目の前に鈴村大我がいるから


 最近コスプレの資金不足を解消するにはちょうどいいと思って♪」


「俺をいきなり攻撃したのは金目当てだけだってのか!?」


「大我も似たようなものでしょ?目的なくCATに挑んでるんですから……」


夢乃がやや呆れ気味に言う。


「と・に・か・く!二人ともわかってるんですか!?」


「Oh!Yes!」


「……ちっ」


「大我!」


「うっ……俺なんもしてねぇじゃねぇか」


「今後の事を考えてもです!喧嘩するにしても人がいない所でやってください!」


「へぇーい」


俺は適当な返事をする。


当然だ。またどっかでCATに出会ったらその場で喧嘩しねぇと機会を逃す。


俺はふと、隣で正座してるシャローナを見下ろしてみる。


おぉ……こうして見下ろす形で近くから見ると、これまたでけぇな。何カップあるんだろうか?」


「ちょっと!大我!!目がやらしいです!」


「あぁっ!?」


「明らかにシャローナの胸を見てました!」


「ばっ!んなわけねぇだろ!」


「この前も私の太ももを揉みましたし、大我は変態さんです!」


「Oh、そうなんですか?鈴村大我?」


隣にいたシャローナにも問い詰められて俺は戸惑う。


「そ、そうだ!糞猫!この女俺に紹介しろよ!こいつも《CAT》なんだろ!?」


「夢乃は糞猫じゃなくて夢乃だと何度言えば……。シャローナ?自己紹介してあげてもらっていいですか?」




「Yes!ワタシはシャローナ・ペンタクルと申します♪魔法少女です!」


こいつ!断言しやがった!!


「魔法を使って悪を倒すのがワタシの役目なのですよ?」


立ち上がると俺よりも頭一つ背の高い女がしたり顔でそういうのはなんと滑稽なものだった。


彼女は突然前かがみになって俺と目線を合わせて俺の顔を見る。


なんというか……前かがみになると、また胸に目線がいってしまう。


「んー、大我も、よく見ていくと、すっごく可愛いです!」


「えっ?」


その瞬間。俺の視界は真っ暗になった。


あったかくて、柔らかい。何かに吸い込まれている。


「こういう『弟』欲しかったデス!ちょっと生意気な目とか最高にカワイイ!」


そう。俺は今思いっきり抱きしめられているのだ。


「ちょ、ちょっと!?シャローナ!?……悪い癖が……」


糞猫の声がわずかに聞こえる。


すっごく柔らかくて気持ちいいんだけど……。


「もがっ!ぎっ、ぎびがっ!」


「ん?どうしたんですかぁー?大我?」


酸素が……酸素がない!


鼻で息吸うことができねぇ!!


ダメだ……意識が、遠のいて……


「いいですかぁ?大我。ワタシの魔法少女としての能力はですねぇー―――――――あれ?大我?」




「大我っ!?大我っ!?……こいつ。死んでるっ!?」


頭を抱えられた少年。鈴村大我は、静かに意識を失った大我には、夢乃の言葉が聞こえなかった。












「うぅーん。どうしよう……」


「ワンッ!」


「う、うん。一緒に頑張ろうね?太郎」


人の通りの少ない街。


そこで白いワンピースを着た少女はしばらく家に引きこもっていたせいか


太陽の光に弱く、その頭には麦わら帽子を被っている。


そして彼女の横には大型の愛犬『太郎』を連れている。




「ボスを探せって言われてもなぁー……」


彼女は振り返り、ふと沈み行く太陽を見てみる。


空は綺麗な橙色に輝いていた。






時は数分前にさかのぼる。




「真希」


「なんですか?五十鈴さん」


鈴村大我との戦闘に負け、《野良猫の集い》に引き取られた物部真希。


「ついにお前に仕事をしてもらおうと思うのだが……」


「し、仕事……ですか?」


彼女は不安半分。嬉しさ半分の返事をした。


彼女は、引きこもっていた家から出てきた彼女は、自分に出来ることを探すためにここに来たのだ。


けれど、この施設に来てから数週間。犬達の手当てなども含めてこの施設内にいることしかできなかった。


そんな彼女が仕事を求められればうれしくないはずがない。けれど、自分が出来るか少なからず不安もある。






「あぁ、お前にしか出来ない仕事だ。太郎をこっちに寄越してくれるか?」


「えっ、わかりました。太郎?五十鈴さんのとこに向かって」


そういうと、太郎と呼ばれた犬は忠実に五十鈴の足元へ向かう。


五十鈴の元に到着し、お座りをした太郎に対して優しく頭をなでてやる五十鈴。


彼女はそのままある一枚の毛布を取り出して太郎に匂いを嗅がせた。


「何を……しているんですか?」


「君には、私たちのボスを探してきてほしいんだ」


「ぼ、ボス……ですか?」


「そうだ。犬達を自由に使役出来るお前にしか出来ない。


 ジョーには現在お前と大我と攻撃した《アイン》を追ってもらっている。


 これからいつ何が始まってもおかしくないのだ。だから、あの放浪糞野郎を探し出してほしい」












「って言われたけど……どんな見た目かもわからないのに……ねぇ?太郎?」


「ワンっ!」


太郎は小さく吠えて答えてくれた。


その間も太郎は鼻をひくひくと動かしている。


「ん?そっちから匂いがするの?」


太郎はこくりとうなずく。


「よし、とりあえず行ってみよっか」




そして、彼女と太郎は、ボスを探すために行動を始める。












「……夢乃。どこなの?」


街の一番高い電波塔。


数週間前、鈴村大我が全てのCATを宣言した場所である。


「おやおや、高いところからお探しですか?」


「…………何?」


「そんな怖い顔しないでくださいよぉー。


 私と貴方は《一応》初対面なんですよ?」


「……。んで、なんか用?」


「この電波塔を管理している職員の一人である《私》としては、こんなところにいたら危ないぞ。と」


「そんなことを言うために来たんじゃないでしょ」


「…………。茶化すのはこれぐらいにしておきましょう。夢乃。《No2》の発見はまだですか?」


「今やってるわよ!五月蠅いわね!」


「おやっ、怒らせてしまいましたか。乙女心はわかりません。


 一応、貴方に課された、重大!な任務なのですから♪頑張ってください。それでは」


そういうと男は突然姿を消した。




「ちっ」


少女は憎らしく舌打ちをした後、その背から翼が生え、夜の街に消えていった。




―――――――こんなことのために私は空を求めたわけじゃなかったのに。と呟きながら。







ロボット系少女二葉が参戦!彼女と田中誠くんがこれからの話にどのようにかかわっていくのか、ぜひぜひ応援お願いいたします^^

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