CAT 第一話
格闘ゲームのような世界観でものを書きたくて現在ブログで連載させていただいているものを載せました。
どのキャラかにハマってくれれば感謝感謝です^^
「天才とは、99%の努力と、1%のきっかけで生まれるものだ。
この言葉には、天才も努力していて、努力をしなければ意味がない。
と言う意味もあるが、逆に言えばどれだけ努力をしてもきっかけがなければなれぬものだ。
努力とは鍛錬。鍛錬とは習慣だ。そして天才は生まれる。
まぁ……天才になれたからと言っていいモノでもないがな。
今、この街には《CAT》と呼ばれる人種がいる。この教室にもいるのか?わからんが……。
田中。《CAT》について簡潔に説明しろ」
「えっ、あ、はい!
《CAT》とは《City Ability Triggers》の略称であり
努力と、きっかけによって生まれてしまった幾何学な能力者の事です。
俗称として《猫》とも呼ばれています。1000人に1人の確立で出来るとも言われています」
「よし、十分だ。座れ。
《CAT》にはなり方がある。まず、毎日欠かさず条件を満たすこと。
毎日風呂に一時間以上入るとか、毎日2時間勉強するとか……。とにかく習慣を破らないもの。
その習慣によって《CAT》の能力は大きく変わる。《CAT》になるための本もあるほどだ。
貴様らは既に目を通しているか?簡単なものからとてもじゃないが出来ないものまで多種多様だ。
それが出来ないから貴様らは愚鈍な無能力者なのだ。……と罵ってやりたい物だが
ただ努力をすればいいだけなら誰にだって出来るだろう。先の言葉の通り
『99%の努力と1%のきっかけ』が必要だ。きっかけとは機会の事ではない。天賦の才の事だ。
この中には本に書いてあることを実践し続けている者もいるだろう。しかし能力に目覚めていない。
それはまだ努力が足りていないのか、あるいは……まったく才がないのか。
それは私にも誰にもわからない。まぁ、なりたいのなら精進を怠るな。
もちろん。先に言った通り、なったからといって、いいものではないのだがな。今日はこの辺にしておこう」
僕、田中誠は先生の話を聞いた後、なんとなく横の席を見る。
そこは空席。ほとんど空席。彼は学校と言うものにあまり興味がないようだ。
(今頃……どうしてるのかなぁー大我くん)
「見つけたぜぇ!暴れタイガー!」
高速道路したの小さな土地。
そこのフェンスで道をふさがれ、金属バットなどを持った男に囲まれていた一人の男。
「ったく!邪魔だなぁー。ほんとよぉー、今ジャンプ読もうとしてんだぞこらぁ!
今週もえれな様の出番があるか楽しみで楽しみで仕方ねえんだよ!だから邪魔すんなや!」
背の小さい男は凄みを聞かせて地面を思いっきり踏みつける。
大きな音を鳴らし、集団で取り囲んでいる男たちを一瞬ひるませた。
「……へっ。何をビビってんだ。奴は《CAT》じゃねぇんだ。この人数で襲えば確実にいけるだろがよぉ!」
男たちの一人が震え声でそういった。
「……いま、なんつった?」
「はぁ?CATじゃねぇ奴なんかこわくねぇって――――――――」
その瞬間。話していた男の顔面が拳で歪み、そのまま殴り飛ばされる。
「てめぇ……やりやがったな!」
「うるせぇ!雑魚共!!全員かかって来やがれ!!」
そこから、集団の男。たった一人の男の喧嘩が勃発した。
「ちっ、何が《CAT》だ。いけすかねぇ」
男、鈴村大我はポケットに入れていた飴ちゃんを口に含み、憎らしそうにそう言い捨てる。
その姿はもうボロボロだ。顔は平然としているが、かなり苦戦した様子だった。
彼が座っているところには2、3人の倒れた男たち。その回りにも倒れている。
「てめぇ……タイガー。調子にのんじゃねえぞ」
全員プルプルとふるえている。意識を失っているものは誰一人といないようだ。
「おいおい、随分とやられてんなぁー」
「あぁ?」
また声がしたので鈴村大我はそちらを見る。
さきほどではないにしてもまた集団の男。
「漁夫の利とさせてもらうぜ鈴村大我……。てめぇを倒せばこっちの株が上がるんでな……」
「……ちっ」
大我は小さく舌打ちをして立ち上がり、奴らに向かって走り込む。
集団の男たちもバットを振り上げ大我の方に襲い掛かってきた。
「おーっと。そこまでだ。大我」
「っ!?」
その声がしたと同時に、鈴村大我を含め、倒れている男たち、襲い掛かってきた男たち全員が
腕と脚に手錠をかけられ動けなくなっていた。大我だけは手錠の数が異様に多いようだ。
「てめぇ!勇作!離しやがれ!」
「はぁ……そうはいかねぇの。ってかまた問題起こしやがって、おら。留置所には入れねえでやるから
署に来て反省文かけ。おい、他の男たちも連行しろ」
「「「はっ!」」」
突然現れた男鈴村勇作。
彼は身動きが取れない鈴村大我を抱きかかえて派出所に連れていった。
「……鈴村大我……ですか♪ふふっ、面白そうな子です。面白い子は大好きです♪」
それを覗いていた少女は、そのまま勇作達に見つからないようにその場を去った。
「んで?今回はなんであんなことになったんだ?」
「……ジャンプを買いに行った」
「……はぁ」
派出所。
俺、鈴村大我は今、身動きが取れぬまま椅子に座らされていて、叔父の鈴村勇作に事情聴取を受けていた。
「詳しく話してみろ」
「ジャンプ買いにコンビニ行こうとしたら奴らに絡まれた。
とりあえずボコった。んであっこ行ってジャンプ読んでたら集団の奴らが来て
喧嘩ふっかけられたからボコボコにした。反省はしていない」
「バカ野郎!反省はしろっ!」
頭を思いっきり拳で殴られる。痛ぇ……。
「ったく。てめぇは何度問題を起こせば気が済むんだ。
仮にも親族に警察官がいるんだぞ?その辺を弁えて行動してくれにゃあ俺の面子が潰れんだからよぉ
俺が結構功績上げてんのに出世しないのてめぇのせいだかんな!」
「いや、そこは関係ねぇだろ……」
「とにかく、はい。反省文。
俺はこれでもお前を守ってやってんだ。
お前から喧嘩をふっかけたことは今までなかったからな。
上の連中にそのことを説得してやるためにも、きちんと反省文書くんだぞ」
「手錠付けたままでか」
「当たり前だ。お前に両手使えるようにして俺の同僚が怪我しちゃたまんねぇ」
そこで『俺が』と言わなかった理由はわかる。
彼は《CAT》なのだ。そう、あの《CAT》だ。
習慣を鍛え上げ、特殊能力にまで引き上げた存在《CAT》の一人だ。
勇作は1日に、1人以上犯人を捕らえた経歴をもっており、その習慣が彼の《捕縛》能力に繋がったらしい。
勇作が相手だと俺は絶対に勝てない。あんな糞不良共をボコボコに出来ても勇作には勝てない。
そう……どう頑張っても《CAT》には勝てないんだ―――――――――。
「くそっ!くそっ!」
河川敷。俺はそこのコンクリートで出来た橋の柱を殴り続けていた。
理由は完全な八つ当たりだ。《CAT》の存在が憎たらしい。
俺に挑んでくる雑魚共も気に食わねえ。俺が《CAT》じゃねぇからって調子に乗って挑んで来やがる!
そして雑魚共が俺に勝てないように、俺もあの化け猫共には勝てない。
俺は互角にも戦えぬまま化け猫共には負け、そして俺と釣り合うような奴は雑魚共無能力者にはいない。
今の自分のこの位置に、物凄い苛立ちを覚えていた。拳から血が出るまで何度も何度も柱をぶん殴った。
「おぉー凄い怖い顔してます!」
「あぁ!?」
高い声がした。イライラしていた俺は睨みを聞かせて振り返る。
そこには、顔が風船みたいに膨らんだ女の顔があった。
「…………」
俺は元に向き直って柱をまた殴り始める。
「ちょ!なんで笑わないんですか!?シリアスな場面でも途端の変顔!面白いですよね!?」
五月蠅くこちらに言ってくる女。特徴のある高い声で、耳障りだ。
「だぁーもぉ!てめぇ何なんだよ!」
俺はまた振り返る。
そこには、綺麗な顔した猫耳付きパーカーを羽織っていた少女の姿。
つっても俺と同じぐらいの身長だが……。
「私、夢乃と申します♪貴方は鈴村大我ですよね♪」
「てめぇ、なんで俺の名前を……」
「あれだけ悪目立ちしてれば知りますよ♪
むしろこの街に点在する数人の《CAT》達よりも有名です」
「…………」
《CAT》の名を聞いて俺は少し不服になる。
「んで、てめぇはなんでこんなところにいる」
「いやいやー。少し貴方に挨拶を思いまして♪
今朝の喧嘩。私見てましたよ。ずいぶんの人間離れした強さですね」
「ちっ……」
また不服になる。
人間離れでも、猫には遠く及ばない。自分でわかってる真実に腹を立てる。
「貴方は何をしていたのですか?」
「……いや、ちょっとストレス発散だよ」
女子にそう尋ねられると途端に恥ずかしくなる。
ストレスが溜まってるから自分の拳が真っ赤でボロボロになるまで柱を殴っている。
今まで気にしていなかったが、よくよく考えたらなんの意味もねぇ自虐行為じゃねぇか……。
夢乃と言う少女は俺が殴った跡をじっと見つめる。
そこはもう何十日も殴り続けて俺の血が染みついていたり、小さな皹が入っていたりと歴史を感じさせる。
「大我!その気持ち……ずっと持ち続けてください」
「はぁ?」
突然何かを言い出す女に俺は戸惑った。
「その負けず嫌いな精神。いつまでも持ち続けていてください。
決して途中で諦めてはダメですよ。その悔しさをずっと受け止めてきてくれたものへ」
そういうと女は俺を通り過ぎて去ろうとする。
「……おめぇ、本当に何者なんだ」
俺は少し興味が湧いたので女に訪ねてみる。
「私ですか?私は夢乃。希少なる特別種《CAT》の一人です」
俺は女に向かって思いっきり殴りかかる。
すると女はまるで風船のように突然破裂して消える。
「っ!?」
「もぉー!びっくりするじゃないですか!大我!女の子をいきなり襲うなんて♪思春期なんだから♪」
素っ頓狂なことを言ってる女に俺は突っ込むほど余裕はなかった。
なんだったんだ……今の……。この女、いったい……どんな能力なんだ!?
「では、いつか貴方が笑顔になることを祈っています♪」
そういうと彼女はおもむろにロケット花火を取り出し、それを背中に装着。点火。
「では、ご機嫌よぉー♪」
ロケット花火が勢いよく噴射して、なぜか彼女はそれの勢いに飛ばされてはるか彼方へ……。
「なんだったんだ?あの女?」
「現在確認されている《CAT》は14人。
今目立った動きを見せているのは……《夢乃》と《怪盗セブン》の2人……」
「目立った動きってだけで、実際に動いてる奴もいるだろう?貴様とか……」
「おいおい、俺を入れてくれるなよ。てめぇの方がよっぽど裏で動いてんじぇねえか。変態科学者さんよ」
「人を変態呼ばわりするんじゃあない。貴様……どこまで根回ししてんだ」
「さぁ、どこまでだろうねぇー。じゃ、俺は健全なサラリーマンなのでこの辺で」
そういって男は突如として姿を消した。
「ふっ、偽名を使って働いている奴のどこが健全なサラリーマンなんだろうな」
「ふふっ、14人。みなさん少し大人しいです。もう少し暴れまわったほうがいいです。
楽しく、みんなが笑顔になれるように……その波乱の息吹はもぉそこまで来てます♪」
「くっそっ!なんだよあの女!ふざけやがって!」
俺はまた柱を殴り続けた。
あの猫頭野郎に何も出来なかった。あのまま戦闘になってたら俺は完全に負けてた。
「くそっ!くそっ!くそっ!くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
俺は思いっきり柱をぶん殴る。
そのときだった。当たったときの感触が、少しいつもと違った。
「っ!?なん……だよ……これ……っ!!」
俺は自分の血まみれになった拳をよく見てみた。
そしてもう一度殴っていた柱を見る。そこには、大きなくぼみが出来ていた。
今までこちらに掲載してきたマンガに比べて、一話を短くしてみました。
これまではブログに乗せたものを何話か纏めてコピペしていたのですが
今回はブログでの一話をこちらでも一話として連載したいと思います♪♪
これからも、大我くん達が暴れ回るので
東京スカイスクレイパーともどもご愛読よろしくお願いしますm(__)m