第七話 妖精王
サニータウンから戻った一行は、マコトの計らいで高級旅館に泊まり旅の疲れを癒した。翌日、帝と面会をして手形を貰い、アリスの護送を頼まれた一行は、フェアリルを目指しクロスロードへ向かったのであった。
―――――――――――――クロスロード―――――――――――――
ウィル「フェアリルってどんな所かな~」
アリス「森に囲まれたキレイなところよ」
ウィル「森の中に町があるの?」
アリス「森の中というより、大きな樹の中に町があるのよ」
ウィル「全然想像できないや」
アリス「ふふ、実際に見てみた方が早いかもしれないわね」
ウィル「たのしみだな~」
タオ「皆さん、関所が見えてきましたよ」
――――――――――――フェアリル関所――――――――――――
門番「君達、止まりなさい。手形は持っているのか?」
ウィル「うん、これ」
持っていた手形を見せる。
門番「・・・。よろしい、通りなさい」
ジム「ついにフェアリルだな」
マリー「長かったわねぇ」
アリス「この関所を抜ければすぐに着きますよ」
しばらく進むと、天にも届くような大樹が立っていて、入り口には小さな門と兵士の姿があった。
ウィル「うわーおっきー!」
タオ「てっぺんが見えませんね」
アリス「この樹の中に町があります」
ソウジ「面白いでござるなぁ」
大樹を見上げながら歩いていると、兵士が話しかけてくる。
妖精兵「お前達、何者だ!」
アリス「わたくしです、ここを通しなさい」
妖精兵「ア、アリス姫!失礼しました、お通りください!」
アリス「お父様に私が帰ってきたと伝えてちょうだい」
妖精兵「ハッ!」
そう言うと、兵士は羽を広げ、大樹へと飛び立っていく
ウィル「すごーい!かっこいい!」
ジム「本当に姫なんだな~」
ソウジ「ジム殿、失礼でござるよ」
アリス「ふふ、いいのですよ」
一行が大樹の中へ入ると既に出迎えが待っていた。
―――――――――――――フェアリル―――――――――――――
妖精兵「アリス様、お迎えにあがりました」
アリス「ご苦労様、彼らをお父様の所まで運んであげて」
妖精兵「ハッ!」
妖精兵「皆様、こちらの籠にお乗りください」
ウィル「おっきい籠だー」
マリー「もしかしてこれ、飛ぶのかしら」
タオ「面白そうですね」
巨大な籠に順番に乗り込んでいく。
ジム「ん?ソウジは乗らないのか?」
ソウジ「拙者乗り物は苦手ゆえ、階段で向かうでござるよ」
ジム「階段っつたって、3000段以上あるぞ・・・」
ソウジ「フフッ、大丈夫でござるよ」
二手に分かれ最上階を目指す事に。
ソウジ「では、先に行って待っているでござるよ」
猛スピードで階段を駆け上がるソウジ。
ジム「なんつう速さだよ・・・」
ウィル「もう見えなくなっちゃったね」
妖精兵「それでは我々も参りましょう。しっかりと掴まっていてください」
5人の兵士が籠の上部にある取っ手を掴み、持ち上げる。
ウィル「すごーい!飛んでるよ~!」
ジム「はしゃいで落ちるなよ~」
ウィル「そこまでばかじゃないよー!」
タオ「ははは」
マリー「全然、天井が見えてこないわね」
アリス「お父様の部屋は雲の上にありますから、まだまだ先ですよ」
ジム「どんだけでかいんだこの樹は」
アリス「そうですね・・・。634mくらいでしょうか」
ジム「高すぎてわけわからん・・・」
そうこうしていると、ようやく最上階に辿り着く
妖精兵「皆様、最上階に辿り着きました。足元に気をつけてください」
ソウジ「むむ、到着したでござるな」
ウィル「ソウジさん早いな~」
ソウジ「さすがに疲れたでござるよ・・・」
マリー「あたし、酔っちゃった・・・」
ジム「俺も・・・」
ウィル「見てー、地上があんなに遠くに」
タオ「これは絶景ですよ、絵に描いておきましょう」
ぐったりしている3人と、景色に夢中の2人。その姿を見て気を遣うアリス。
アリス「皆さんは少し休んでいてください。私は先にお父様に挨拶してきます」
ジム「そうしてくれると助かる・・・」
マリー「うぅ~」
ウィル「2人とも大丈夫?」
マリー「大丈夫じゃない・・・」
タオ「絵が完成しました」
ウィル「みせてみせて」
タオ「どうぞ」
ウィル「うわぁ~、実物そっくり」
タオ「風景の保存も兼ねているので、見たままの景色を画いているんです」
ウィル「うーん、むずかしいや」
タオ「ははは」
しばらく休憩していると、妖精兵が5人を呼びにくる。
妖精兵「妖精王がお待ちだ、ついて来なさい」
ウィル「あ、はい。すぐいきます」
ジム「俺はパス・・・」
アリス「あたしも・・・」
タオ「仕方ありませんね、僕達だけで行きましょう」
ソウジ「そうでござるな」
ジムとマリーを残し、3人で王の間へ向かう。
―――――――――――――王の間―――――――――――――
妖精兵「3人をお連れしました」
妖精王「下がってよいぞ」
妖精兵「失礼します!」
兵士に連れてこられた3人は、王の前で横一列に並び、それぞれ自己紹介を始める。
ウィル「初めまして、ウィルといいます」
タオ「タオと申します」
ソウジ「拙者、ソウジと申す」
妖精王「うむ。話は聞いているぞ、よくぞアリスを助けてくれた」
ウィル「も、もったきなきおとこばです」
ソウジ「ウィル殿、無理せずともよいでござるよ」
妖精王「うむ。私を王だと思わず、アリスの父親だと思いなさい」
ウィル「は、はい。それなら緊張しないかも」
アリス「ふふ。そういえばジムとマリーの姿が見えませんね」
ウィル「2人は酔っちゃったみたいで、外で待っています」
アリス「それは悪い事してしまいましたね」
ソウジ「あの2人なら大丈夫でござるよ」
アリス「そうだと良いのですが・・・」
妖精王「ところでお前達、ワシに用があるのではないか?」
ウィル「そうだった!僕達、迷いの森に入りたいんです」
妖精王「なにをしに行くのだ?」
ウィル「シャンネラを探しに」
妖精王「ほほう~、シャンネラか~。久しぶりに聞いた言葉だ」
妖精王「迷いの森に入れてやる事は簡単だ。しかし、お前達、鍵をもっているのか?」
ウィル「鍵?」
妖精王「ほほう~、鍵を持っていないのか。それではシャンネラには辿り着けないぞ~」
ウィル「どうしよう・・・」
タオ「鍵なんて必要だったんですね・・・」
ソウジ「ふむ~、どうしたものか」
悩んでいると、ようやく酔いがさめたジムとマリーが入ってくる
ジム「おまえら、そんな深刻そうな顔してどうしたんだ?」
ウィル「それがね、シャンネラに行くには鍵が必要みたいなんだよ」
ジム「鍵ぃ~?」
マリー「やっぱり、簡単には行けないのね」
ウィル「妖精王さん、鍵の事を教えてもらえませんか?」
妖精王「ほほう~、知りたいか?」
ウィル「はい!すごく!」
妖精王「ほほう~、教えないよ~ん」
ウィル「うぅ~」
アリス「お父様!彼等は私の恩人よ?少しくらい教えてあげても」
妖精王「アリスはこわいのう~」
アリス「お父様、ふざけないでください!」
妖精王「わかったわかった。じゃあ、鍵の名前を教えてあげよう」
ウィル「やった!」
妖精王「心して聞くのだぞ~、鍵の名は【虹の宝玉】と【虹の剣】」
ジム「二つもあんのかよ・・・」
ウィル「それは何処にあるんですか?」
妖精王「そこまでは教えられないよ~ん」
ウィル「うぅ~」
ジム「ケチだなぁ」
マリー「もうちょっとくらい教えてくれてもいいんじゃない?」
ソウジ「2人共、失礼でござるよ」
アリス「お父様、私からもお願いします」
妖精王「これ以上は、アリスの頼みでもダメじゃ~」
アリス「もう!お父様のわからずや!」
怒って部屋を飛び出していくアリス
妖精王「全く、アリスのおてんば加減は誰に似たんだか」
ウィル「妖精王さん。鍵の名前を教えてくれてありがとうございました」
妖精王「ほほう~。礼儀をわきまえておるな~、感心感心」
ジム「感心したついでに鍵の場所を・・・」
妖精王「それとこれとは話が別じゃ~」
ジム「ちぇ~」
ソウジ「虹の剣なら知っているでござるよ」
ウィル「本当!?」
ソウジ「父上の愛用していた刀が虹色の刃でござった」
ジム「ソウジの親父って行方不明なんじゃ」
ソウジ「そこが問題でござるな」
ウィル「で、でも誰が持ってるかわかっただけでも!」
タオ「宝玉の方は町に知っている人がいるかもしれません、情報を集めてみましょう」
ジム「またあの籠に乗るのか~・・・」
マリー「思い出したら気持ち悪くなってきたわ・・・」
ソウジ「2人も階段で下りればいいのでござるよ」
ジム「そんな事したら死んじまうよ」
こうして再度、二手に分かれて下りていく。
―――――――――――――フェアリル―――――――――――――
ソウジ「むむ、到着したでござるな」
ジム「・・・」
マリー「・・・」
タオ「そっとしておきましょうか」
ウィル「うん、僕達だけで探そう」
町を探索しようとする3人、するとどこからか懐かしい曲が聴こえてくる
ジム「ん?この曲どっかで聴いたような・・・」
ウィル「村にきた詩人さんの曲だよ!」
ジム「そういえばそうだな」
ウィル「僕見てくる!」
ソウジ「拙者たちもいくでござるよ」
音のする方へ向かう3人。
そこには懐かしい姿があった。
詩人「ラララ~♪」
ウィル「詩人さーん!」
詩人「おや?君はリカント村の少年じゃないか」
ウィル「憶えててくれたんですね」
詩人「君ほど熱心に詩を聴いてくれた子はいなかったからね」
ソウジ「この方が詩人殿か」
詩人「どうやら旅の間に仲間も増えたようだね」
ウィル「うん!」
詩人「素晴らしい事だ。君に楽園の事を教えたのは正解だったかもしれないね」
ウィル「そうだ!詩人さん、虹の宝玉がどこにあるか知ってますか?」
詩人「驚いたな、もうそこまで知っているのか・・・」
タオ「なにか知っているんですね?」
詩人「う~ん、知っているけど。教えて良いものか」
ウィル「おねがいします!」
ソウジ「拙者からもお頼み申す」
タオ「僕からもお願いします」
詩人「・・・。わかったよ。ウィル君、君は良い仲間をもったようだね」
ウィル「はい!」
詩人「虹の宝玉は試練の洞窟にある」
ウィル「試練の洞窟・・・」
詩人「僕が教えるのはこれで最後。後は自分達の力で探すんだ」
ウィル「わかりました!」
詩人「ふふっ、僕はもう行くよ」
詩人はその場を後にし、再び旅にでる、
ウィル「詩人さん、ありがと~!」
ウィルは詩人の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
ウィル「2人にも教えなきゃ」
ソウジ「そうでござるな」
ジムとマリーの元へ戻る3人
ウィル「ジムー!マリー!」
ジム「その様子だと、なんかわかったみたいだな」
ウィル「うん!宝玉は試練の洞窟にあるらしいんだ!」
ジム「試練の洞窟ぅ~?」
マリー「知らないわねぇ」
タオ「僕も知りません」
ソウジ「同じく」
ウィル「ガーン・・・」
???「試練の洞窟なら妖精の森を抜けた先にありますよ」
一行が途方にくれていると、背後からやってきた1人の少女がそう告げる。
ウィル「アリス?」
ジム「妖精の森か~」
アリス「妖精の森は妖精族の案内が無ければ通れません。私が案内します」
ウィル「やったー」
ジム「でもよ、親父に怒られないのか?」
アリス「あんなわからずやの事は知りません!」
ソウジ「おなごは怖いでござるな」
タオ「そうですね」
マリー「あんたら男がアホやってるからでしょ」
ジム「言い返せねぇ・・・」
アリス「ふふ、それでは妖精の森へ参りましょう」
ウィル「うん!出発~」
こうして詩人に鍵の在処を教えてもらった一行は、アリスを連れ妖精の森へ向かうのであった。
第七話 完