第四話 行方不明
ワンタイで画家を目指す少年タオと出会い、彼の父親から情報を貰った一行は、その晩家に泊めて貰う事になった。
そして翌朝、タオが父親の描けなかった楽園の景色を描きたいと仲間に加わり、
タオの父から紹介状と手形を貰った一行は、カマクラを目指しクロスロードへ向かったのであった。
―――――――――――クロスロード――――――――――――
タオ「そろそろ関所が見えてくる頃です」
ウィル「カマクラって結構遠いんだね」
タオ「はは、まだまだ先ですよ」
ウィル「うへ~」
マリー「しっかりしなさいよ」
ジム「ウィル~、おんぶしてやろうか~?」
ウィル「からかわないでよ~」
ジム「へへへ」
マリー「そういえば、タオのお父さんの知り合いってどんな人なの?」
タオ「イサムっていう、カマクラの警備隊長をやってる人です」
マリー「へぇー、結構すごい人なのね」
タオ「ははは、父さんもああ見えて少しは有名な人ですからね。偉い人の知り合いも多いんです」
マリー「なるほどねぇ・・・」
タオ「皆さん、関所が見えてきましたよ」
――――――――――――カマクラ関所――――――――――――
門番「君たち、止まりなさい。ここから先は手形が無いと通せないよ」
タオ「手形ならこちらに」
門番「ふむ・・・。よろしい、通りなさい」
タオ「どうも。皆さん行きましょう」
門番「おっと、そうだ。カマクラでは誘拐事件が起きているから、君たちも気をつけるんだよ」
タオ「誘拐事件?」
門番「あぁ、子供達が次々と行方不明になっていてね。もっぱら誘拐されたって噂だ」
タオ「わかりました、ありがとうございます」
関所を無事に抜けた一行は、歩きながら行方不明事件について話し合う
ジム「カマクラも随分物騒な事になってるな」
マリー「フェアリルの姫も誘拐されたらしいし、一体どうなってんのかしらね」
ウィル「怖いなぁ~」
ジム「1人にならなきゃ平気だろ~」
タオ「そうですね、はぐれないようにしましょう」
そんな事を言いながらカマクラへ向かう一行。それから数時間後・・・。
―――――――――――――カマクラ―――――――――――――
ウィル「うわぁ~、ここがカマクラか~。ワンタイとかシャイナとは全然違うね」
タオ「カマクラは独自の文化で発展した町ですからね。建物の形も変わっていて面白いですよ」
ウィル「町の人たちも変わった格好してるね」
マリー「バカね~、こういうのがオシャレなのよ」
ウィル「へぇ~、そうなんだ」
ウィル「こっちには不思議な食べ物があるよ~」
タオ「それはお団子ですね。もちもちとしてて美味しいですよ」
ウィル「おいしそうだなぁ・・・」
ジム「しょうがねぇな~」
物欲しげに見つめるウィルにだんごを買ってあげるジム。
ジム「ほらよ」
ウィル「ありがとうジム~」
ジム「ついでにお前達の分も」
タオ「ありがとうございます」
マリー「あら、気が利くわね」
ジム「ウィル、だんごも良いけど、目的を忘れるなよ~?」
ウィル「そうだ、忘れてた・・・」
ジム「だと思ったぜ」
タオ「ははは」
マリー「ねえ、なんか騒がしくない?」
タオ「遠くでなにかやっているみたいですね」
ウィル「見に行って来てもいい?」
ジム「いいけど、すぐ戻ってこいよ?」
ウィル「うん!」
声のする方に向かってみると人だかりができていて、
そこには変わった格好をした三人組が曲芸をしていた。
ミハエル「私達はサニータウンより参りました、セコビッチサーカス団と申します。私は団長のミハエル」
マイケル「俺は猛獣使いのマイケル。俺に手懐けられない動物はいないぜ」
ピエール「アハハハ!ボクハピエロノピエール!ミンナヨロシクネ!」
ミハエル「今日この町に来たのは、公演のお知らせをするためです。皆様、是非お越しください!」
挨拶を終えると紙をばら撒きながら去って行くサーカス団。
ウィル「サーカスか~、見てみたいなぁ・・・」
ウィル「そうだ、これを皆にも見せてあげよう」
落ちていた紙を拾う
ウィル「・・・」
ウィル「どの道から来たんだっけ・・・」
皆の元へ戻ろうとするウィルだったが、来た道がわからなくなってしまう。
ウィル「えーい!こうしててもしょうがない。とにかく歩いてみよう」
しばらく歩き続けるが一向に仲間達の姿は見つからず、
それどころか、人の気配のない路地に迷い込んでしまう。
ウィル「こんな所通ってないよなぁ・・・。人もいないしどうしよう・・・。あっ!」
薄暗い路地で、先程のサーカス団の姿を見つけたウィルは、道を尋ねてみる事にした。
ウィル「あの~、道をお聞きしたいんですが」
ミハエル「おやおや、迷子かい?」
ウィル「はい」
ミハエル「それは大変だ。それで、何処に行きたいのかな?」
ウィル「えっと・・・、そうだ!おだんごを売ってるお店に」
ピエール「アハハハハハハ!オダンゴヲウッテルミセハイッパイアルヨ!」
ウィル「う~、そうか」
ミハエル「歩いて全部探すには時間が掛かります、私達の馬車に乗って探しましょうか」
ウィル「馬車?なんだか面白そう!」
ミハエル「フフフ、楽しいですよ。さぁ、おいで」
馬車に乗り込もうとすると、1人の青年が近づいてくる。
青年「むむ?おぬしらなにをやってるでござるか?」
ミハエル「ッチ、警備隊がきやがったか。小僧早く乗れ」
ウィル「うわぁ!」
ミハエル「馬車を出せ!」
マイケル「あいよ」
青年「むむ!逃げるつもりか!」
ウィルを乗せた馬車が猛スピードで走り出す
ウィル「ミハエルさん痛いよ~」
ミハエル「騒ぐな小僧!」
ピエール「オイ!アイツ、オイカケテキテルゾ!」
ミハエル「なにー!?」
青年「拙者から逃げられると思うな、でござる」
猛スピードで走る馬車に追いついた青年は、帯刀していた刀で車輪を真っ二つにする。
マイケル「うわぁああなんだぁあ!?」
ウィル「うわぁぁあ!」
ミハエル「ぐああああ!」
ピエール「ドヒャアアアアア!」
車輪を切られた馬車は為す術もなく横転する。
ウィル「いててて~」
青年「少年、大丈夫でござるか?」
ウィル「大丈夫だとおもいます」
ミハエル「クッソー、なにしやがった・・・」
マイケル「アニキィ、大丈夫か~」
ピエール「ボクハモウダメカモシレマセン」
青年「おぬしら、どうして逃げた?」
ミハエル「ハ、ハハ、別に逃げたわけじゃ~」
マイケル「なにいってんだアニキィ、逃げろって言ってたじゃねぇか」
ミハエル「バカ!このバカ!」
青年「ちょっと、詰め所の方に来てもらうでござるよ」
ミハエル「ああー!!」
青年「どうなされた?」
ミハエル「ピエールが死んでる!」
青年「なんと!、やりすぎてしまったでござるか・・・」
ミハエル「コソコソ(奴が後ろを向いてるうちに逃げるぞ)」
マイケル「コソコソ(あいよ)」
ピエール「コソコソ(ボクハモウダメカモシレナイ)」
青年「おぬしら、すまなかった・・・、むむ?」
ウィル「皆逃げちゃいましたよ」
青年「なんと・・・。まぁいいでござる。町に帰るでござるよ」
ウィル「はーい」
その頃、ジム達はウィルの帰りが遅いのを心配していた。
ジム「だー!ウィルの奴なにやってんだ!」
タオ「さすがに、遅すぎますね」
マリー「探しに行ったほうがいいんじゃない?」
ジム「探すっつっても、何処に向かったのかわかんねぇしな~」
タオ「さっきの騒ぎが収まってしまいましたからね」
マリー「本当に世話のかかる子ねぇ」
どうするか話をしていた3人の元に、ウィルと青年が近づいてくる。
ウィル「ジムー!」
ジム「ウィルー!」
マリー「今までどこにいってたのよ」
ウィル「道に迷っちゃって・・・」
マリー「迷子って、あんたねぇ・・・」
タオ「なんにしても、無事でよかったですね」
ジム「心配かけやがって、ばかやろー」
ウィル「ごめんよ~」
青年「なにやらよくわからぬが、一件落着でござるな」
タオ「そういえば、あなたは?」
青年「これは申し遅れた。拙者、ソウジと申す。警備隊の隊士でござるよ」
タオ「ちょうどよかった、僕たちはイサムさんに会いにきたんですよ」
ソウジ「父上に?」
タオ「親子なんですか?」
ソウジ「うむ。しかし、父上は現在行方知れずでござる」
ジム「また行方不明かー!」
ソウジ「父上の行方不明は最近始まったモノではござらんよ」
ジム「なんだそりゃ・・・」
ソウジ「その手紙、拙者が見てもよろしいか?」
タオ「どうぞ」
ソウジ「ふむふむ。なるほど。帝に会いたいのでござるな」
タオ「はい」
ソウジ「父上がいない以上、帝に会わせる事はできない」
タオ「やはりダメですか・・・」
ソウジ「だが、帝の弟である副長なら、なんとかなるやもしれぬ」
ウィル「本当!?」
ソウジ「副長は詰め所におられる、ついて参られよ」
―――――――――――――警備隊 詰め所―――――――――――――
ソウジ「副長、ただいま戻りました」
副長「やぁソウジ、おかえり。後ろの子達は誰かな?」
ソウジ「おぬしら、副長に挨拶するでござるよ」
ウィル「僕はウィル」
ジム「俺はジム」
マリー「マリーです」
タオ「タオと申します」
副長「僕はマコト。よろしくね」
ソウジ「副長、彼らが帝にお目通り願いたいと」
マコト「兄上にかい?」
ソウジ「左様、フェアリルに行きたいようなのでござるよ」
マコト「なるほどね、封鎖を解けるのは兄上くらいだからね」
ジム「それで、会わせてもらえるのか?」
マコト「うーん残念だけど無理だね。兄上は仕事でお忙しい方、更に言えば兄上に会おうとしている人間は山ほどいる」
マコト「僕の力を使えば会えない事もないけど、君達だけ贔屓するわけにはいかないんだよ」
ジム「クソー、やっぱダメか~」
ウィル「どうすれば会えますか?」
マコト「そうだね、なにか功績を立てれば、誰にも文句を言わせずに会わせてあげれると思うよ」
タオ「功績ですか・・・」
マリー「なにか事件でも解決すればいいんじゃない?」
タオ「そうだ、行方不明事件を解決すればいいんですよ」
ジム「つったってよ~、何処にいるかわかんないだろ?」
ウィル「僕、わかるかも」
ジム「本当か~?」
ウィル「うん、さっき迷子になってる時、サーカス団の人達に連れ去られそうになったんだ」
マコト「サーカス団?」
ウィル「ええと、ここに紙が・・・、あった!これです」
マコト「ふむ。セコビッチサーカス団か」
ウィル「きっと子供達は僕と同じように連れ去られたんだと思います」
ジム「それじゃ、ちゃっちゃと行って助け出すか~」
マコト「待ちなさい、君達だけで行くのは危険だ」
ジム「冒険に危険はつきものだぜ」
ウィル「あはは、そういうことだね」
マリー「あんたら緊張感ないわね」
マコト「はぁ・・・。仕方ないな。ソウジ、彼らの協力してあげてくれるかな」
ソウジ「むむ?カマクラの警備はどうするのでござるか?」
マコト「カマクラの警備より、子供達の救出の方が大事だろ?」
ソウジ「承知した。おぬしら、よろしく頼むでござる」
ウィル「うわ~、ソウジさんが来てくれれば怖いものなしだよ~!」
ジム「そうなのか?」
ウィル「うん!馬車を真っ二つにしたんだよ!」
ジム「げぇー!なんだそれ」
ソウジ「フフッ、大げさでござるよ」
ウィル「そんなことないよ~」
ジム「どっちなんだよ・・・」
タオ「ははは、また賑やかになりますね」
詰め所を後にする一行
ジム「ところでサーカス団のアジトは何処にあんだ?」
ウィル「サニータウンって言ってたよ」
ジム「あ~、サニータウンか~、あんまし良い思い出ねぇな~」
ソウジ「おばちゃん、お団子一つ」
マリー「ごちゃごちゃ言ってないで行くわよ」
ソウジ「サニータウンはここより北へ行った所でござるよ、もぐもぐ」
こうして一行はサーカス団のアジトがある、サニータウンへ向かうのであった。
第四話 完