表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の彼方  作者: Jemko
3/10

第三話 寄り道

シャイナの町に辿り着いたウィルとジムは、マリーという少女に出会う。

病気の母親を救うために、シャンネラへと向かう事を決意したマリーは、

ウィルらと共に芸術の町ワンタイに向かい、日が暮れる頃にようやく到着した。

―――――――――――――ワンタイ―――――――――――――

ウィル「やっと着いた~」

マリー「すごい彫刻の数ね」

ジム「なんたって芸術の町だからな。ここにある作品は全てこの町の芸術家が作ったモノだ」

ウィル「これ全部!?すごいな~。あっちには壁に絵が描いてあるよー」


楽しそうにはしゃぐウィル


ジム「おーいウィル。あんまり1人で先にいくなよ~」

ウィル「平気平気~」

マリー「まったく、子供ね」


町を見物していると、建物の死角から少年が飛び出してきた。


ウィル「うわぁ!」

少年「うあ!」


ぶつかった拍子に少年が手にしていた紙が道路に散らばる


少年「いてて、あ!ごめんなさい。お怪我はありませんか?」

ウィル「う、うん。君の方こそ大丈夫?」

少年「ははは、僕は平気です」


少年は笑いながらそう言うと、散らばった紙を拾い集める。

その姿を見たウィルも拾い始め、駆けつけたジムとマリーもそれを手伝う。


ウィル「僕も手伝うよ」

少年「ありがとう」

ジム「おいおい、気をつけなきゃダメだぞウィル」

ウィル「ごめーん」

マリー「しょうがないわねぇ」

ジム「ん?これは絵画か?」


拾い上げた紙には美しい絵が掻かれている


少年「はい、僕は画家を目指しているんです」

ジム「へぇー、もしかしてこの壁に描かれてる絵もお前が?」

少年「これは僕の父さんが描いたものだよ」

ウィル「お父さんも画家なんだね」

少年「うん、僕は父さんに憧れて画家になろうと決めたんだ」

ウィル「僕と同じ歳くらいなのに、すごいな~」

少年「ははは、そんな事ないよ。ところで、皆さんはこの町の人じゃなさそうですが・・・?」

ウィル「えっと、僕達はシャンネラに行く途中なんだ」

少年「シャンネラですか・・・。確か父さんも若い頃に探していたような」

ジム「おお~、マジか~!」

少年「ええ、確かそんな事言ってましたよ」

ウィル「お父さんに会わせて貰えないかな?」

少年「いいですよ。ついて来てください」


こうして少年の家に向かう一同

―――――――――――――少年の家―――――――――――――

少年「ただいま~」

3人「お邪魔します」

少年の父「おかえり。おや?後ろの子達は誰かな?」

少年「そういえば自己紹介がまだでしたね。僕はタオ、この人が僕の父さん」

ウィル「初めまして、僕はウィルと言います」

ジム「俺はジム」

マリー「マリーです」

タオの父「そうかそうか、よくきたな」


タオ「父さん、皆がシャンネラの事を聞きたいらしいんだけど」

タオの父「シャンネラか・・・」


シャンネラという言葉を聞いた途端、タオの父親の様子が変わる。


タオ「どうしたの父さん?」

タオの父「君たち、シャンネラに何をしに行くんだ?」

ウィル「僕はシャンネラが本当に存在するのか確かめたいんです」

マリー「あたしはオルナ草を手に入れなくちゃならないの」

タオの父「ふーむ、そうか・・・」

ウィル「シャンネラについて、知っている事があれば教えてください!」

ジム「俺からもお願いします」


真剣な表情で頼み込む2人。

その熱意に押されたのかタオの父親が重い口を開く。


タオの父「わかった、そこまで言うなら教えてあげよう」

ウィル「やったー」

タオの父「楽園には迷いの森を通らないと行けないようなのだ」

ウィル「迷いの森?」

マリー「聞いた事あるわ、確か妖精の町フェアリルを抜けた先にあるのよね」

タオの父「うむ。そして迷いの森に入ったら最後、二度と出られないと言われている」

タオ「だから、話すのを躊躇っていたんですね」

タオの父「あぁ。しかし2人の熱意には負けたよ」

ウィル「とにかくフェアリルに行けばいいんだね?」

ジム「そうと決まれば行こうぜ」

タオの父「まてまて、まだ話は終わってないぞ」


フェアリルへ向かおうとする一同を引き止める。


マリー「まだなにかあるの?」

タオの父「実はな、フェアリルに行くための関所が封鎖されているんだよ」

ジム「どういうことだ?」

タオの父「なんでも、フェアリルの姫が誘拐されたとかでな。妖精王が封鎖命令を出したそうだ」

ジム「タイミング悪いな~」

ウィル「関所を通る以外にフェアリルへ向かう方法はないの?」

タオの父「フェアリルには結界が張られていて、関所以外からは入れないようになっている」

マリー「どうしようもないわね・・・」


思わぬ所で行き詰る3人。

するとタオが父親にある提案をする。


タオ「父さん、ヤマトさんに頼んでみてはどうでしょうか?」

タオの父「ヤマトか・・・、確かに彼の命令なら関所を通れるかもしれん」

ウィル「ヤマトさん?」

タオ「ヤマトさんはカマクラで一番えらい人、すなわち帝です」

ウィル「そんなにすごい人が僕たちに会ってくれるかな?」

タオの父「私の知り合いにヤマトと交流を持っている者がいるから、紹介してあげよう」

ウィル「本当ですか!ありがとうございます!」


タオの父親「ところで君たち。もう泊まる宿は決まっているのかな?」

ウィル「今日も野宿になりそうです」

ジム「宿に泊まる余裕ないもんな~」

タオの父「そうかそうか。なら今日は家に泊まるといい」

ウィル「いいんですか?」

タオの父「はっはっは、夕食もごちそうしよう」

ジム「おぉ~、ラッキー」

タオ「それじゃ、僕は夕食の支度をしますね」


夕食をごちそうになる事になった3人。


一同「いただきまーす」

ジム「ひゃー!うまそう~」

タオの父「遠慮しないで、どんどん食べてくれ」


ウィル「おいしい~」

ジム「この肉すげーやわらけ~」

マリー「あら、本当においしいわね」

タオの父「そうだろそうだろ、うまいだろう?。はっはっは」

タオ「料理はまだまだありますからね」

ウィル「タオは絵も上手いけど料理も上手だね」

タオ「ははは、父さんが料理下手だからね。代わりに僕が作ってたら上手くなったんだよ」

ジム「お前も大変だな~」

タオ「そうでもないですよ。皆さんが美味しいと言ってくれるだけで、僕は満足です」

ジム「いい奴だな、おまえは~」

マリー「あんたも少しは見習いなさいよ」

ジム「それはこっちのセリフだ」

タオの父親「賑やかでいいな、はっはっは」


夕食を食べ終わり、客室に案内される3人。


タオ「こちらの部屋を使ってください」

ウィル「ありがとう」

ジム「やっぱり布団は最高だー!」

マリー「野宿すると体が痛くなるものね」

タオ「それではごゆっくり」


タオがその場を離れると、すぐに布団に横になる3人。


ウィル「明日はカマクラに行くのかぁ・・・。楽しみだな~」

ジム「へへ、そうだな」

マリー「タオのお父さんの知り合いって、どんな人なのかしら」

ジム「やっぱ芸術家なんじゃねえの?」

ウィル「すやすや」

ジム「ん?ウィルの奴もう寝たのか。まぁ、初めての旅だしムリもないか」

マリー「あんたも早く寝なさいよ」

ジム「そうだな・・・。おやすみ」

マリー「・・・おやすみ」


疲れが溜まっていた3人は、朝までぐっすりと眠った。

―――――――――――――翌朝―――――――――――――

タオ「皆さんおはようございます」

ウィル「おはよう~」

ジム「はようっす」

マリー「おはよう」

タオの父「昨日はよく眠れたかな?」

ジム「そりゃもうぐっすりと」

タオの父「はっはっは、それはよかった。紹介状は書いておいたぞ。それと、これもやろう」

ウィル「この手形は?」

タオの父「カマクラに入るのに必要になるだろう」

ウィル「ありがとうございます」


タオ「そろそろ朝ごはんができるので、座っててください」

ジム「朝からうまいもんが食えるなんてありがたいぜ」

ウィル「おなかペコペコだよ~」

マリー「昨日、あれだけ食べたのにすごい食欲ね」

ジム「そりゃ、育ち盛りだもんな~」

ウィル「うんうん」

タオの父「男たるもの、そうでなくてはな。はっはっは」


タオ「おまたせしました」

ジム「おーきたきた」

一同「いただきまーす」


こうして朝食を食べ終えた3人は再び旅に出る準備をする。


タオ「皆さん準備できました?」

ウィル「うん」

ジム「もう、うまい料理が食えないと思うと名残惜しいぜ・・・」

タオ「料理なら旅先でも作ってあげますよ」

ジム「へっ?」

タオ「僕もついて行きます」

ジム「どうしたんだ急に?」

タオ「僕は父さんを越えるために、父さんが描けなかったシャンネラの景色を描きたいんです」

ジム「なるほどねぇ」

ウィル「タオなら大歓迎だよ!」

マリー「タオが来てくれると助かるわね、ジムとウィルはあんまり役に立たないし」

ジム「おまえなぁ・・・」

タオ「ははは、それじゃ出発しましょう」


タオの父親に挨拶を済ませる一行


ウィル「おじさん、お世話になりました」

タオの父「3人共、また遊びにきなさい」

ジム「俺達は先に外に出てるぜ」


外に出る一行。タオは父親に別れの挨拶を済ませる


タオの父「決心はついたのか・・・?」

タオ「はい、父さんが描けなかった景色を必ず描いてみせます」

タオの父「はっはっは、そうかそうか、がんばるんだぞ」

タオ「はい、それじゃ父さん。行ってきます!」


挨拶を済ませたタオは外で待っていた3人と合流し、次の目的地を確認する。


タオ「お待たせしました」

ジム「挨拶は済ませたのか?」

タオ「えぇ、もちろんです」

ジム「それじゃ次の目的地を改めて確認するぞ~」

ウィル「えっと、カマクラにはどうやって行くの?」

ジム「クロスロードを通って行くんだ」

ウィル「クロスロード?」

マリー「あんた本当になんも知らないのね・・・」

ウィル「えへへ」

ジム「クロスロードってのはだな、ワンタイ カマクラ フェアリル 妖精の森を結ぶ道だ」

ウィル「へぇ~」

タオ「まずはクロスロードに向かいましょう」


こうしてタオが仲間に加わり、紹介状と手形を手に入れた一行はクロスロードへ向かうのであった。

第三話 完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ