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主探しの旅行談  作者: あおにぎり
番外編1
4/22

番外編 ルカノスへの道のり

そんなに量ないです

港町ヴェルナールを出たリリエラは、石畳の道を西へ向かう。

次の目的地は、かつて主と訪れたという記録の残る「ルカノス村」。

海辺の湿った空気が抜け、代わりに草と土の匂いが馬車の窓から流れ込んできた。


昼過ぎ、小さな林のそばで一息つくことにした。馬車を林のそばに止めてもらい、昼食をとる。

リリエラは包みから干し肉とハーブ入りの黒パンを取り出す。

一口かじってから、少しだけ首を傾げた。


「この地方の黒パンは、塩気が強い……けれど、意外と嫌いではありません」


馬車の御者は彼女に笑みを向ける。

「この辺りじゃ“森鹿の塩肉”ってのが名物でね。あんた、見かけによらずよく食べるな」


「よく動きますから、燃料は必要です」

リリエラは真面目な顔で答え、そしてほんの少し、笑った。


そのとき、林の中からカサリと音がした。

視線を向けると、小さな耳の長い動物――リーフウサギが、彼女の足元をくんくんと嗅ぎながら現れた。


「……あなたもお昼ですか?」

リリエラはパンの端を千切って差し出した。

ウサギは一瞬警戒しつつも、すぐにぴょこぴょこと跳ねながらそれを口にくわえた。


ふと、草むらの奥で風が揺れ、白い花が咲いているのが見えた。

リリエラはその花に近づき、そっと触れる。


「……主も、こういう花が好きだった気がします」


しかし、思い出そうとしても、またその先が霞んでいる。

彼女はそっと花を摘み、日記帳に挟んだ。


その夜、野宿の火を前に、リリエラはパンを焼いたチーズと一緒に食べながら、焚き火の炎をじっと見つめていた。


「“旅路は記憶を運ぶ”……主がそう言っていました」


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