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仕事の依頼

――なぜ天は私に占い師という職を与えたのか。


答えは返ってこないと分かっていながらも、繰り返し夜空に問う。

気づけば空は白み始め、ようやく眠りにつく。

来る日も来る日も、私は長い夜を過ごす。

そのため目覚めは遅く、人々の声や生活音が賑やかになる時分にベッドから体を起こす。


『・・・夢を見た気がする。思い出せないけれど・・・。』


眠りすぎてだるくなった体を伸ばし、ぼんやりとしたまま身支度を始める。

ベッド脇の机に目をやると、仰々しい印が押された手紙が広げたままになっていた。

業務斡旋紹介所からの依頼状だ。

手紙を手に取り内容を確認する。

依頼主は本日午後に自宅を訪ねてくるらしい。


この世界には、様々な業務依頼の相談を一手に引き受け、対応可能な者に業務依頼を行う業務斡旋紹介所という仲介組織が存在する。

"天明により授かった力は人々のため役立てるべきである"とされているため、16歳になると自らの職業や能力を業務斡旋紹介所に登録することが義務付けられている。

人々の多くは業務斡旋紹介所を利用しており、依頼者はその依頼に見合った報酬を用意すること、受諾者は依頼内容を遂行することで報酬を受け取ることができる。

店を営む者以外の大半が報酬金で生計を立てており、私もその内の一人である。

業務斡旋紹介所に寄せられる依頼は多岐にわたるが、特別な能力を必要とするものは支払われる報酬額も大きく、人手を必要とする軽作業などの報酬はわずかである場合がほとんどだ。


手にした依頼状には日付や報酬額とともに"要占術"と記されている。

今回の依頼は占い師の能力を必要とするようだ。

今の私はこれくらいのことで占い師として必要とされているのだと喜ぶことはできない。

ただ、占い師として受ける依頼は月に一度あるかないかといったところで、大抵の日は報酬の少ない軽作業を行い生活をつないでいるため、まとまった収入が入ることに対しては安堵していた。



朝食を兼ねた昼食をすませた頃、

―――コンコンッ

一人暮らしの物音少ない部屋に玄関戸を軽く叩く音が響いた。

どうやら依頼主が訪ねてきたらしい。

椅子から立ち上がり戸に近づく。

「業務斡旋紹介所の紹介で来ました。ナラ・ミーアさんはいらっしゃいますか?」

扉の向こうから聞こえたのは朗々とした青年の声だった。


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