みつけた
拝啓、ご機嫌いかが。
君はまだ、女々しい事を抜かしていやがりますか。
君の世界は、君が書かなければいけないということに、まだ気が付いていませんか。
君は自分でただの人という位置にはまったという事に気が付いていないのですか。
君が君の中にある無限の世界を文字にしたいといったとき。
僕はいったよ。
君の言葉で、君の世界を、この世に知らしめてくれと。
君は今、書きたいことがかけないという。
君はしきりに、力がないからと言い訳をする。
君に今、足りないのは、力じゃない。
君は、書きたいものがかけないんじゃない。
君は、書きたいものを書かないだけなんだよ。
僕は、君に、見せ付けてあげるよ。
力のかけらもない、この僕が。
僕の世界を書いてみせる。
言い訳ばかりして自分の世界を自分勝手に閉ざして、君の中の物語がかわいそうだ。
心底、かわいそうだと、僕は、思うんだよ。
君は僕が次から次へと世界を公開している間に、どれだけの世界を開放できるかな?
君の中の物語は、僕をうらやましく思うのかもしれないよ。
不恰好であったとしても、外に出ることができたのだから。
これは、僕が勝手に、君に対して送りつけた、挑戦状、なんだよ。
君の閉ざした世界が、君の中からあふれ出すのをずいぶん待っているよ。
いつまで待たせるつもりだい?
君に僕を見つけることが、できるかな?
君は僕を見つけて、何を思うかな?
拝啓、ご機嫌麗しゅう。
ずいぶん、遅くなりました。
ずいぶん、お待たせしてしまいました。
挑戦状を、ありがとう。
ようやく受け取ることが、できました。
おかげさまで。
ついに私の中の世界が、あふれ出してしまいました。
おかげで、おかしな物語が次から次へと飛び出しました。
貴方の欠片がこんなところにあるとはつゆ知らず、大変お待たせいたしました。
貴方を見つけましたよ。
こんなところに、いたのかと。
こんなにも、いたのかと。
飛び出してしまったからには、追いつかねばなりません。
ずいぶんがむしゃらで。
ずいぶん乱暴で。
ずいぶん無鉄砲ですけどね。
追いかけていきますから。
いつか貴方に手が届いたときに。
この手を握ってもらえるように。
貴方に、私の手を握る覚悟はありますか?
握ってもらわないと、困ります。
…まだまだ書きたいことがたくさんあるので、まだまだ貴方に手を伸ばすわけにはいかないけれど。
もう少しだけ、そちらでお待ち下さいね。