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壁蝨

いつから冷たくなったの

その指はいつから冷たくなったの

その肌はいつから冷たくなったの

その傷はいつから冷たくなったの

その夜はいつから冷たくなったの

その髪はいつから冷たくなったの


「いつから冷たくなったの

 それはあのときからじゃない

 ちがう、そうじゃない

 ただ壁蝨のシルエットだけ覚えている

 深い闇の中だったとおもう……」


いつから冷たくなったの

その針はいつから冷たくなったの

その息はいつから冷たくなったの

その眼はいつから冷たくなったの

その皿はいつから冷たくなったの


「いつから冷たくなったの

 問いかければ夢は終わってしまう

 いますぐにでも崩れてしまう

 ただ壁蝨のシルエットだけ浮かんでいる

 闇の中にぽっこりと浮かんでいる……」


いつから冷たくなったの

その谷はいつから冷たくなったの

その樹はいつから冷たくなったの

その冬はいつから冷たくなったの……


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