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色彩染戦―シキサイセンセン―  作者: かわうソウ
第1章
3/3

第2話 色を持つ者


 ひんやりとした風が心地よくて目が開かない

 母さん起こしに来ないしもう少し寝てて大丈夫かな

 ごろんと寝返りをうつと顔に石のような硬い物が当たって何だか痛い


 って 何言ってんだ!


 勢いよく体を起こすとそこは全く見覚えのない場所


 何だ?どうなっているんだ?何で俺こんな場所に、

 早起きして神社を見つけて、そこでビー玉が 

 あ!!!ビー玉だ!あれの光で何も見えなくなったんだ!


 ますます訳がわからない



「目が覚めたか。だいぶ混乱しているようだな」

「え」


 誰だこの人


 青を基調とした鎧みたいなもに腰にあるのは剣、か?

 まるでRPGに出てくる様な騎士だな。 

 いやいや、RPGて!RPGて!!


「おい聞いているか?」

 はっ 完全に無視してた


「えーと、え?」

「急な事で混乱するのもわかるがとりあえず落ち着け」

「あ、はい」


 近くまで来た男を見ると いやデカイ

 なんかめちゃくちゃ逞しいんだけどこの人…!

 日本語を話してるように聞こえるけど絶対日本人じゃないよなこの風貌 


「あー、俺はコルト騎士団団長のニールだ。お前の名前は?」

「大和、です」

 本当に騎士団だった。


「良い名前だな。黒い髪に黒い瞳、ヤマトはニホンの者か?」

「え?はい、日本人ですけど」

「そうか、成功したか…」

「はい?」


 なに?褒められたけど正直俺の脳内はパンク寸前だよ! 

 何で日本に騎士団がいる?いや、そもそもここは日本じゃないのか?だったらどうやってここまで来た?

 俺は神社に居たはずなのに周りを見ると青っぽく光る洞窟みたいなところだ 


 こんな場所知らない



「大丈夫だ、ちゃんと説明する」


 そう言って話し始めてくれたけどそれは俺を余計に混乱させる事実だけだった



 まずここは日本じゃなくインドレニと言う大陸らしい

 たぶん俺がいた世界と違う所詮異世界と呼ばれる場所だ


 インドレニなんて聞いたことないけど大陸の名前だけなら世界地図を把握してる訳じゃないし異世界だなんて決めつけることはないけど、ここにはもといた世界では証明できない事があった


「魔法?」

「そうだ。もっとも今でも使えるやつはほとんど残っていないがな」


 一昔は誰でも使えてた魔法が時と共に魔力が薄れて今では限られた人しか使えないらしい


 

「それで、何で俺は…?」

 悪いけど魔法なんて一度も使ったことなんてない


「魔法が使えなくなって困る事が一つだけある」

「それは魔法でなけりゃ倒せない敵がいるからだ」

 


 カラスと呼ばれるその敵は白と黒の色違いの二種が存在するらしい

 人の手足の様な部分に羽を生やし鋭い爪や嘴で人間を食い散らかす恐ろしい怪物

 

「あいつらにただの物理攻撃はきかん。色の付いた武器で攻撃して初めて消滅させる事ができるんだ」


 魔力のある人にしか使えないが色の付いた剣などで切れば死ぬらしい

 

 つまり白黒の鳥を色鮮やかにれば倒せるということか


「魔力があっても肝心の色魔法(カラフル)を使える者がいなければ意味がない」

色魔法(カラフル)?魔力があっても使えない魔法なんですか?」

「ああ、そもそも魔力とは根底にある土台の事で外付けした色魔法(カラフル)を維持する事しかできない。魔力があるからと言って必ずしも魔法を使えるわけじゃないんだ。それでも昔は魔力を持っている者も色魔法(カラフル)を使える者も大勢いた。しかし今となっては色魔法(カラフル)どころかそれを維持する事さえ出来ない」

 


「一度色魔法(カラフル)を付けた剣はその刃が折れるまで色を失うことはない」

「例え折れてしまってもまた色を付けてもらえば魔力のある限りいくらでもその武器を振るうことができるんだ」


 何だか聞けば聞くほど俺がここにいる意味がわからない!

 俺がその色魔法(カラフル)を使えるってことなのか?


「よくわからないって顔してるな」

「申し訳ないですが全く…俺が色魔法(カラフル)を使えるんですか?」

「いや、いま色魔法(カラフル)を使える人間はそれぞれ色の国を納める七人の王だけだ」


 ああ、赤だの黄色だのの王様。ここは青の国なんだっけ?

 しかし使える人間が七人しかいないなんてなんてレア度…

 

 ん ?


「人間は?」

 つまり人間以外に使えるやつがいるってことか?

 おお、正解みたいだ!ニヤリと笑うニールさんなかなか渋い


色人(アート)と呼ばれる軍人精霊だ。色魔法(カラフル)というのは色人が人間に伝えたものなんだ」

「軍人精霊、なんか強そうですね」

「ああ、その名の通り軍服を着た軍隊の男達で恐るべき強さを持つと伝わっている。俺は見たことはないが我が国の王は実際に会った事があるそうだ」

「はぁ」

 そんな人、じゃない精霊がいるなら連れてきて助けてもらえばいいんじゃないか?少なくとも俺を連れて来るより確実に戦力になるだろ!


「そいつらを連れてこいって思ったか?」

 うっ バレてら

「はは、お前は素直なやつだな。だがな色人がいるのは精霊界だ、そう簡単には喚べない。色人を喚べるのは芸術者(アーティスト)という召還士だけだ。そいつには特殊な魔力ととある条件がいる」

「条件?」


「ニホン国の血を引く者」


 ニホン?日本?それってつまり


「そう、お前の力が必要なんだよヤマト」


 はあああ?!


「いやいやいや!確かに俺は日本人ですけど、特殊な魔力なんてないし、そもそも芸術者(アーティスト)なんて聞いたことないしっ」

 というか日本人なら誰でもよかった感じか?!


「それでもお前が必要なんだ!」

「ニール、さん?」


「何でヤマトだったのか、本当に芸術者(アーティスト)の力があるのか俺にもよくわからないが、お前は俺達の王が全てを掛けて見つけた最後の希望なんだッ」

「突然連れて来られて本当に申し訳ないと思う、だがどうか、力を貸してはくれないだろうか」


 あーあ、そんな顔で頭を下げれて断れる日本人がいるかよ

 正直いまだにわけわからないし戦いなんて言われてもいまいちピンとこない。だって昨日まで呑気に高校に通ってたんだぞ?


 だけど、来てしまったものは仕方ない

 

「俺は何をしたらいいですか?」

「ヤマト、」

「出来るかどうかわからないけど、」




 俺も腹を括るとしよう





「つまりそのビー玉が色人(アート)?なんですか?」

「正確には色人(アート)(コア)、だがこれに宿っているのは間違いない」


 またビー玉か、俺なんかビー玉に縁がある?もしかして前世でめちゃくちゃビー玉を壊しまくってたりして…!

 それはないと思うけど、

 あの時みたのは透明なビー玉だったけどこれはちょっと濃いめの水色みたいな

 なんだっけなーどこかで見たことある色なんだよなぁ


「やり方は簡単だ、この玉を両手で強く握り締めてくれ」

「え、そんな事でいいんですか?」

 召還って言ってたからもっと儀式的なことするのかと思ったけど


(コア)芸術者(アーティスト)にしか反応しないんだ」

 てことは反応しなければ俺は芸術者(アーティスト)じゃないって事になるよな…

 反応、して欲しいような欲しくないような

 芸術者(アーティスト)だったら確実にこの先もっと大変な戦いに巻き込まれるんだろう

 命が関わってくることはめちゃくちゃ恐い。痛いのは嫌だし絶対に死にたくない


 だけど、もし反応しなかったら?ニールさんやこの国はどうなる?俺を喚んだ術のせいで王様がいなくなって戦う術がないこの国は、


 はぁ、会って間もないのに情が湧くのも日本人特有だよなきっと


「じゃあ、やりますよ」


厳重な箱の中から小さなビー玉を取り出し落とさない様に力一杯、両手で握りしめる

 

 するとドキドキする暇もなく瞬時に輝き出した玉は

 やがてその光の形を変えて

 気が付くと目の前には見たこともない軍服を着たイケメンが立っていた


 えええええええ

 なんだこのイケメン!?

 さっきのビー玉と同じ色の髪や服にスラッとした長身 

 ニールさんより若いであろう穏やかな顔付き

 一体どこの王子様だよ?!



「御初に御目にかかります」


 やだ声までイケメン


青刀軍(せいとうぐん)が一人、浅葱色と申します。どうぞ浅葱とお呼び下さい」



 あ 思い出した 

 あの少し濃い水色みたいな色は浅葱色だ


「貴殿が 色人(アート)か?」

「如何にも」


 どうやら俺は無事?芸術者(アーティスト)の力があったらしい

 しかし、見れば見るほど美青年だ


(マスター)


「えっおれ?」

「お前が喚び出したんだぞヤマト」

「あ、そっか」

 いきなり(マスター)とか言われてもどうしたらいいかわからないんだけど…


「えと、浅葱さん」

「浅葱で構いません。呼び捨てでお呼び下さい」

「じゃ、じゃあ浅葱、俺はヤマトと言います。よろしくお願いします」



「我が(マスター) ヤマト様」


「何処までも貴方様と共に」



 跪く浅葱をポカンと見下ろす事しか出来なかった




 これが俺と色人(アート)の初めての出会い




ちょっとだけ


・大和 16歳 男子高校生 黒目黒髪のやせ形

・ニール コルト騎士団団長 短髪茶髪 アラフォー

・青の王 初老 

・浅葱色 浅葱色の髪と軍服 イケメン 穏やか イケメン

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