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#46 邪神と闘神と創造神

その女性は俺達よりも背が高い。

160cm位だな、瞳と髪が揃いの金色で目付きが少し鋭いな。

貫頭衣に身を包んでいる。

・・・うん、胸は見ない方がいいな。

きっと気にしてるだろうしな。

多分今の俺の方が大きい(笑)


何だろう。

どっかで聞いたことある格好だな?


[お久しぶりです、神殺しを成し遂げし英雄達よ、私は女神アルナーガと申します]


おぉエコーがかかってる。


「久しぶり?俺はタツキっす、こっちはテルミーナ、それにしてもまた神様かよ、つーかあんたがアルナーガさんか!召喚勇者達に色々してあげた人だよな?」

「お久しぶりです」

「テルは知り合いなのか?」


[テルミーナさんに誓約を課したのは私なのです、本当に良く誓約を果たしてくれました、もう貴女も彼らも自由です、そして辰樹さん、召喚に巻き込んでしまい申し訳ありませんでした]


「そういうことか、つーか巻き込まれたのは別に良いよ、良いこともいっぱいあったからな」


[そう言って頂けると助かります]


「それでここに来たのは何の用件ですか?」


[そうですね、簡単に言えば古の闘争の神についてお話するためです]


「???えっ興味無いんですが?」


[・・・・・・・・・]


「・・・タッチャン聞いてあげようよ、可愛そうだよ(小声)」


「・・・やっぱりアルナーガさんお願いします」


[はい!まず辰樹さんが捕まえているのは本来の闘争の神の魂です、貴女方が完全に今回の邪神の一部を滅したので解放されたんです]


「これが神様?凄い逃げようとしてるぞ」


今も手の中でじたばたしてる


[多分今までの事を恥じているんでしょう、神でありながら体を乗っ取られ、守るべき民たちを傷つけ続けたのです、本来は武力による闘争だけでなく、商業闘争や知力による闘争などあらゆる闘争、つまり競い合いを統べていたのですから]


「何だお前は恥ずかしいのか?」


手の中でプルプル震えてる。


「乗っ取っていたのは数千年前の闘神の神官長、確か名はドスランだったと思います、その当時は年に数回神託を授けるために顕現していたのですが、ドスランに言葉巧みに騙され、遂には乗っ取られてしまったのです」


「神様なんだろ、心とか読めないのか?」


[恐らくその対策もしていたのでしょう、ドスラン、いえ当時の闘神の神官達は平和な世を嘆いていました、闘争とは武力によるものと考えていたのです、そして闘神を乗っ取ったドスランは神官達を眷族へと変え、世界に向けて宣戦布告をしたのです、その後はテルミーナさんや数多くの英雄達のお陰で邪神の本体は遥か彼方に追放され、体はバラバラに封印されました]


「・・・・・・・(飽きてきたな)」


「闘争の神は頭の部位でドスランに押さえつけられていました、それを貴女方が討ち滅ぼし闘争の神が解放されたのです、そしてこの世界に封じられていた邪神の体は、今回の戦いで全て滅びました、本当にありがとうございます」


「・・・・・・えっ、話しは終わり?」


[はい、お礼を言いに来ました、この亜空間の中であれば、私が顕現しても世界に影響はありませんから、後は邪神の本体ですがそれは何とかなるでしょう]


「違う、そうじゃない、邪神の事は分かったけど、こ~れ!この魂どうすれば良いのよ!」


[お好きにどうぞ、その魂も貴女方の戦利品のようなものです]


「は~!?神様の魂が戦利品って何だよ!いらんわそんなもん!扱いに困るわ!」


[そう言われましても・・・放してしまえば恐らくは輪廻転生するだけでしょう、出来れば闘争の神の本体を取り戻した時の為に、その子には現世に留まって欲しいのですが・・・]


「そうは言ってもな・・・アルナーガさんに預けられないかな?」


[私がその子に触れれば恐らく取り込んでしまい、消えて無くなってしまうでしょう、神が減れば世界のバランスが崩れます・・・]


「え~、神様減ると困るの?今も闘争の神は居ないようなもんじゃん」


[乗っ取られていても存在していれば良いのです、もし消え去った時には、新しい神を選出しなければならなくなります]


「ややこしいな!・・・どうすればいい?」


[何か高位の存在の依り代があれば現世に顕現出来るでしょうが、そう都合良くは・・・]


「竜の死体でもいけるか?一応古竜だけど」


[古竜の死体があるのですか?それならば十分です]


早速コクアの死体を出す。

バラバラになっているが重ねておけば問題ないだろう。


「こいつは残忍な奴だったけどそういうのは大丈夫か?」


[すでに魂は抜けており問題はありません、それでは準備をします]


女神さんがそう言うと、コクアの死体の下に魔方陣が広がる。

・・・凄いな。

こんな複雑な魔方陣始めて見たぞ。

・・・・・浄化、素材の分解、魂の定着、魂に合わせた素材の変質・・・難しいな、組み合わせがかなり複雑だ。


[辰樹さん、その魂を魔方陣の中に入れて下さい]


手を魔方陣の中に入れ、握った手を放す。

すると古竜が光だし、魂が吸い込まれていく。

そのまま見守っていると全体が徐々に小さくなっていき、光が強くなる。


そして光が弾けて古竜があった場所を見ると、裸の少女が立っていた。

140くらいで銀髪、碧眼で細身の女の子だ。

肌は褐色で銀の髪が余計に際立つ。

顔は・・・うん、可愛いな。

少し垂れ目で庇護欲をそそる感じの娘だな。

そして背は小さいのに胸はあるな、Cカップくらいかな?

つーかこの子何だろう・・・・・・・???


「本当に申し訳ありませんでした!!」


突然少女がこちらに向かってダッシュして、そのままスライディング土下座をしてきた!


?????????


「取り敢えず立とうか、そんで服を着ようね、俺の昔の服があるから、テル頼んだ!・・・アルナーガさん?まさかこの娘は闘争の神じゃないよな?」


[この子が闘争の神『テレサ』です]


「何でだよ!ゴツいオッサンだっただろうが!何で女の子が出てくんだよ!」


[邪神の時にはドスランのイメージが強かったのでしょう、本来のこの子はこの姿です]


「はぁ?闘争の神様なんだろ?この子全然厳つくねぇじゃん!」


[そう言われましても、辰樹さんもテルミーナさんも厳つく無いですよね、強さは見た目とは別ですから]


「うぐっ、確かにそうかも知れないけど・・・つーかこの子強いのか?」


[良質な依り代でしたし、魂も損傷はありませんでした、なのでかなり力はあると思いますが、それでも貴女方には及びません]


「・・・まぁ分かったよ、じゃあこれでアルナーガさんがこの子を連れて行けば万事解決だな」


[それは出来ません、この子は辰樹さんの戦利品ですので、よろしくお願いいたします]


「いらんわ!神様なんぞ俺の手に終えんわ!つーか物みたいに言うなよ!」


[そうは言っても私が普段いる神界にはまだ連れて行けませんし、私が世界に顕現することも出来ません、世界に悪影響が出てしまいます、そう言うわけで辰樹さんにお任せするしか無いのです]


「・・・・・・・」


振り返りテレサを見ると、ちゃんと服は着れたみたいだ。

昔テルが着ていた黒いワンピースに、白い蜘蛛糸タイツにしたみたいだな。

テレサはこちらに気付いてビクビクしてる。

つーか何で謝って来たんだ?

まさかこれまでの記憶があるのか?


「仮に俺が連れてくとして、何か注意する事はあるのか?」


[特にありませんよ、今のテレサは神ではありませんから、普通の人族と同じに扱って大丈夫です]


「俺は一度テルと地球に帰るつもりだけどいいのか?」


[それも構いません、テレサも連れていって下さい、貴女と居るのが一番良いと思いますから]


「それは何でだ?」


[・・・勘です]


「・・・テル、その子連れてくことになりそうだ、構わないか?」

「良いよ、この子可愛いから大歓迎!」

「ったく、分かったよ、放り出すのも後味悪いから連れてくよ・・・でも絶対安全とは言えないぞ」


[それは当然です、それと私からの謝礼として記憶の回復と、最上級の加護を贈ろうと思います]


「・・・記憶はありがたいけど、加護はいらんよ」


[・・・よろしいのですか?今回は全力で加護をするつもりですが?]


「特に必要ないよ、加護を貰って色々出来ても楽しく無さそうだしな、つーか加護って良く分からんし、テルは加護いるか?」

「私も別に要らないよ」

「だそうです、気持ちはありがたく受け取っておきますよ」


[分かりました、残った古竜の素材と邪神の魔石は辰樹さんがお持ちください、既に浄化もしてあります、それでは辰樹さん、テルミーナさん、本当にありがとうございました]


「さようなら、アルナーガ様」

「それじゃあな」


[テレサ、これまでの過去とノアの事は気にせず、辰樹さんと一緒に生きて行きなさい、それが一番のいいでしょう]


「はい」


「・・・・そう言えばアルナーガさんは何を司ってるんだ?魔法?」


「お話ししてませんでしたね、私はこの世界『ノア』の創造神です、では・・・またお会いしましょう」


そう言うとアルナーガさんはスッと消えていった。


「あの人創造神なんだ・・・そんでこの世界って『ノア』って言うんだな」

「そうなんだね」

「あの~辰樹さん?」

「おう、テレサちゃんかどうした?」

「本当にごめんなさい」


綺麗な土下座だな(汗)

つーか子供に土下座されてる姿ってどうなんだよ。


「まずテレサちゃん立って!」

「はい!」

「もうごめんなさいは要らないよ、それよりも君は解放されて嫌だったの?」

「そんなことありません!ずっと解放されるのを夢見てました」

「じゃあ『ごめんなさい』じゃないだろ?」

「・・・ありがとう」

「はい、どういたしまして、じゃあこの話はお仕舞いです、それでテレサちゃん、ずっとビクビクしてるけど今までの記憶あるの?」

「はい、これまではずっと眠っていたり、夢を見ているようでしたが、少し前に顕現してからはハッキリ分かるようになりました、ですからさっきまでの戦いも見ました」

「テレサちゃんは俺らが連れてくつもりだけど嫌か?・・・俺が怖いか?」

「嫌じゃ無いです!それと怖いと言うか、畏れ多いと言うか、恥ずかしいと言うか・・・」

「はっは~ん(笑)タッチャン私が聞いとくよ、きっと女の子の悩みだから」

「女の子の悩みなら俺には分からんな、じゃあこれからよろしくなテレサ!」

「はい、よろしくお願いします」


『ピキッピキッピキッ』


するとアルナーガさんが入ってきた亀裂が徐々に大きくなりだした!


「何これ?なんか嫌な予感するよ(汗)」

「タッチャン早く帰ろう!アルナーガさんが顕現したからこの亜空間もう持たない」


急いで素材を回収して、神官を引きずり、テレサを肩に担いで本来の入り口に走り出す(汗)

テルも先に入り口に向かっている。


「神様なんだから何とかしてけよ、あの人は!」


『バンッ・・・パリン!ガッシャーン!』


「うおぉぉぉ!!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・何とか間に合ったね」

「テレサは大丈夫か?」

「だ、大丈夫です、そろそろ降ろして下さい」

「分かった、こいつも生きてるな、つーかこの神官しぶといな」

「危なかったね」

「本当にな(汗)・・・魔道具どうなった?」

「壊れてる、見事に真っ二つになってる」

「マジか!また作るか~、次はもっと頑丈にしてやる!・・・つーかここって本陣があった場所だよな、様子がおかしくない?」

「そうだね、何で布に囲まれてるの?確かみんな吹き飛んでたよね」


亜空間から出てきたのは本陣があった場所だ。

多分その筈なんだけど・・・。

何故か10m四方の正方形に布で囲まれてる。


「失礼ですがタツキ様とテルミーナ様でしょうか?」


すると突然、騎士風の人が中に入ってきて聞いてきた。


「はい、そうです」


「!!!少々お待ちください、すぐに皆様を呼んで来ます」

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