#44 邪神戦争 下
いきなり後ろから、良いのをもらった。
つーか雷と氷と光る斬撃ってどんな組み合わせだよ!
雷はビリビリきたし、氷は砕くのに力いるし、斬撃は中々の威力で更に爆発までしやがった!
「ビックリしたじゃねぇか!どこのどいつだ!こんちくしょう!!」
振り替えるとエリーさんと召喚組、後帝国軍が2、3人いた。
「タツキ、ちょっと話があるから来なさい」
「何だよエリーさん達か、つーか話って無茶苦茶言うなよ、今は戦争中だぞ!」
「だからこそよ、ちょっと威圧してこっちに来なさい、周りはこの子達に守らせるから」
「分かったよ、オラッ!」
周囲の敵に向かって威圧をしてエリーさんと合流する。
「で?話って何よ、まさか飛空挺の事か(ビクビク)」
「その話は後で良いわ」
「後でされるんだ(汗)」
「当たり前でしょ!それよりも本陣にいる首謀者は出来れば捕縛して頂戴」
「分かったよ、つーかみんなも来たしちょっとのんびりやるさ」
「それで良いわよ、それよりも貴方本当に性別変える気無いの?」
「突然何言い出すんだよ!そんな気あるわけ無いだろ!」
「本当に勿体ないわね、これ以上無いほど似合ってるのに、さっきは私もちょっと見惚れちゃったもの」
「絶対イヤダ!息子とお別れなんてしたくない!息子がいなくなるなんて考えたくもない!!」
「あなたが女になってもテルなら愛してくれるわよ」
「絶対にイヤダッ!!!」
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そんなこんなでみんなで本陣を目指す事になった。
こうしてみると、帝国軍にも強い人がいるって、エリーさんの話は本当なんだと分かった。
彼らは邪神の眷族でも数人がかりで倒していく。
連携もかなりの練度だし、身のこなしも悪くない。
そして召喚組はとんでもなく成長している。
近接組は言うまでもなく、魔法ももう詠唱してない。
威力も上がってるし、連携も良いわ。
武器や防具もかなり良くなってるしな。
そして俺はぶっちゃけ楽してる(笑)
プカプカ空に浮かんで危ない所に盾を送ったり、魔銃や魔法で援護したり、弾をかなり使ったので創造魔法で弾を作ったりしてる。
完全に後衛だな(笑)
それとさっき魔法を撃って気付いたのだが、魔力が上がったようで中級魔法が使えた!
それと初級魔法なら2つまでまとめてで使えた!
そうして進軍していくと本陣が見えてきた。
「あれが本陣か、どうすんのエリーさん?」
「もちろん行くわよ、それよりも周りの敵が押し寄せて来たら困るのよね」
「じゃあそれは俺が何とかするよ」
「何とかって何するのよ」
「ノイエ・ルージュの結界で本陣を囲む、周りの敵で結界を壊しそうなのは機銃で倒す、問題ないだろ?」
「そうね・・・じゃあタツキに任せるわ」
「はいよ、・・・ヒスイ聞こえるか?」
【はい、何でしょうタツキ様?】
「俺らが本陣に入ったらノイエ・ルージュを本陣の真上に着けてくれ、そんで円筒状の結界を使って囲んでくれ、それと結界を壊しそうなのは機銃で対処してくれ」
【了解しました】
ヒスイが答えるとノイエ・ルージュが姿を表す。
「良し、行きますか!」
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本陣の中に入り、中に残った敵を倒していく。
そうしていると元奴隷の子供達がやって来た。
「「「「「「タツキ様お待たせしました」」」」」」
「うん、特に待ってないぞ(汗)つーか俺が渡した鎧は着ているみたいだけど・・・ロイとクリフの鎧そんなんだっけ?」
俺の鎧を参考にして女子4人の鎧は作った。
けど男の鎧はカッコ良く作ったんだけどな。
何故か女子とお揃いになってる・・・。
「2人だけ仲間外れだったら、私がデザインを変えました」
エルマが元気にそう答える。
「「僕らもこっちの方がいいです」」
「よし、もうそれはいいや、そういえばお前ら武器は前のままか?」
「はい、タツキ様に貰った物ですから」
ミネルバが答える。
「じゃあ新しい武器作っといたから、今後はこれ使えよ」
そう言って各々武器を渡していく。
ロイには双剣、ローザは弓と杖、ミネルバには鞭と短剣、エルマは大ハンマー、クリフは槍で、ファナには爪の付いたガントレットだ。
金属はブルー、木材は精霊樹、革製品は成竜だ。
「それでお前らこれからどうすんだ?」
「タツキ様の周りの敵を倒していきます!」
「・・・じゃあ結界に入り込んだ奴を頼むわ、無理はするなよ」
「「「「「「分かりました!」」」」」」
「絶対無理すんなよ!」
そうして6人は各々散っていく。
「あいつらももっと自由に生きれば良いのにな、俺なんか気にしないで」
「何言ってるのよ、あの子達は十分自由じゃない、あなたの事が好きなんでしょ、恩人としても憧れとしてもね、だからあなたの為に色々したいのよ」
「そうなのかな?」
「そうよ、あなたもそうじゃない、あの子達やテルやお屋敷の皆の為なら何でもしてあげる、それが嫌じゃ無いでしょ」
「そう言われるとそうなのか?まぁ良いわ」
「なぁ、あいつらの武器は剣じゃないのか?」
金髪ヤンキー(南雲)が聞いてきた。
「そうだぞ、あいつら何故か剣は使わないんだよ」
「そうなのか・・・」
何だろう?少し落ち込んでるのか?
そうして俺たちは一番豪華な天幕の元へとやって来た。
・・・・・・何だろう暇だ。
エリーさん、将軍さん、それと敵の首謀者が何か色々話してるな。
・・・・・・長いな、何で戦場でこんなに話すんだ?
「なぁ結衣、あの人たち何を話してんの?」
「確か首謀者は皇帝の兄らしくて、皇帝と仲が良かったらしいんです、でも反乱が起きたので何故そうなったのかとか、そう言う話しだと思いますよ」
「・・・でもここには皇帝いないじゃん、当事者居ないと話にならなくない?」
「そうなんですけど」
「もう気絶させて拐えば良くないかなぁ?後で皇帝と話しさせればいいじゃん」
「それはどうなんでしょう?」
「ねぇエリーさん、もう良くない?何の話だか良く分からんけど後で皇帝と話しさせようよ」
「・・・・・そうね」
「そのような申し出を受けはしないぞ!!この戦いは必要なのだ!最後の一兵まで戦いワシも死ぬまで戦う」
「・・・あんたは正気なのか?それとも邪神に操られてるのか?」
「失礼なワシは正気だ!邪神は精神を支配したりはしない、彼らは元々歪んでいただけだ!」
「・・・・・何か色々抱えてそうだな、まぁ後で皇帝と話ししてくれ」
「それ以上近づけばワシは自ら死を選ぶ!」
う~ん、どうしよう、めんどいな・・・。
取り敢えず威圧かな。
「ふん!」
「な、何をした、体が動かん、き、貴様何を?」
普通に近づいて木刀で殴る!
『ゴンッ!ドサッ』
「ほいおしまい、後は皇帝さんにお届けするだけだね」
「あなたは本当に無茶苦茶ね(笑)さぁ後は邪神の一部があるか確認「エドワード様!」」
エリーさんと話していると神官風の太めのオッサンが騎士を引き連れてやって来た。
「貴様は副教皇のウドル!」
「久しぶりだな、ロラン、それよりもそこの女!エドワード様に何をした!」
へ~将軍はロランって言うのか。
で、こいつが邪神の一部の封印を解いたやつか。
つーか女って俺の事か。
「何って、気絶させて拐おうとしてるだけだよ、殺してはいないぞ」
「何が気絶させただけだ!我らの指導者に無礼を働きおって~!」
「何言ってんだよオッサン、今は戦争中だろうが、頭狙うのは当然だろ」
「き、貴様~しかも後ろに居るのは我らが召喚した勇者達ではないか!裏切り者がよくも顔を出せたものだな」
「うるせえよ、てめぇらのイカれた考え方に付いていけるかよ!俺らに出鱈目ばかり教えやがって、亜人も獣人も俺らと何も変わんねぇよ!」
金髪ヤンキーが良いこと言ったな。
つーかこいつが召喚の元凶かよ。
「女神の加護があるからと調子に乗りおって、しかし我が神殿騎士の精鋭も邪神の加護が付いておる、嫌、邪神ではない、古の闘神の加護がな!!」
「???加護があると良いのか?それより邪神の一部って居るのか?」
「いるぞ、邪神様は今も我らを見守っておられるわ」
「何だよそのふんわりした説明は?つまり居ないのか?」
「いると言っただろう!邪神様は私の中におられるわ」
「???ねぇエリーさん、将軍さん、こいつ何言ってんの?馬鹿なの?」
「さぁ?」
「前に会った時はここまでおかしく無かったぞ」
「貴様ら~!こうなれば邪神様に降臨して頂くしかない!加護を受けし神殿騎士は裏切り者の勇者に思い知らせてやれ!我が内に眠りし邪神よ、今こそそのお姿を現し下さい!」
そう言うとオッサンの体が赤黒く光だした!
魔力と風が吹き荒れ天幕が吹き飛ぶ。
「総員退避、一旦距離をとれ!」
将軍さんが叫ぶ!
全員一旦引いて様子を見る。
オッサンの体が膨らんでいき、本陣の中や周りから、黒い光が無数にオッサンに向かって行く。
「何だあの黒い光は?」
【タツキ様、報告があります】
ヒスイから通信が入る。
「どうしたヒスイ?」
【周りの眷族が黒い光になり本陣中央に集まっています】
「分かった、待機しててくれ」
【了解です】
「あの黒いのは邪神の眷族か」
「タツキ様何事ですか?」
後ろを見るとエルマ達6人が揃っている。
「首謀者を捕まえたら、何か神官のオッサンが黒くなった」
「なるほど、全く分かりません」
「大丈夫、俺もだ(笑)」
「私たちはどうしましょうか?」
「そうだなぁ、エリーさんどうする?」
「将軍と皇帝の兄を味方の本陣に連れていって欲しいわね、ちょっとここは危なくなりそうだから」
「いや、私はここに残る、他の者と首謀者だけ頼む」
「だそうだ、行けるか?」
「問題無いです、終わったらこちらに戻りましょうか?」
「う~ん、じゃあ飛空挺に戻れるか?確かローザはみんな連れて飛べるよな」
「はい、大丈夫です、それでは行ってきます」
「気を付けろよ、それと首謀者は厳重に拘束しとけよ、自殺するかも知れないからな」
「了解です」
そう言うとまた6人は帝国軍、そして首謀者を連れて行った。
そして入れ替わるようにテルがやって来た。
「タッチャンただいま?」
「おう、お帰り?」
「あっ、エリーちゃん、溶岩はちゃんと固めといたよ、それで今どんな感じなの?」
「さぁ?オッサンが黒くなった」
「多分彼が邪神をその身に宿しているのよ、邪神の一部とはいえ肉体があるわけではないの、封印されているのはその部位の力の結晶なのよ、だから封印を解くと近くの生命体の中に入り込むの」
「じゃああの黒いのは邪神の力か?」
「そうなんだけどちょっと多いわね、千年以上前に見た時はもっと規模が小さかったわ」
『ドガンッ!ドガン!』
魔銃で撃つが手応えがない。
黒い光に穴が開くが直ぐに閉じてしまう。
『ズドンッ!』
『どらぐのふ』を出して撃つも同じ結果になった。
「無理よ、状態が安定するまでは何も効かないわ」
「じゃあ待つしかないのか」
すると黒い光が収まり、全体が見えるようになった。
何と言えば良いのかな?
簡単に言えば筋肉ムキムキの黒い武人かなぁ。
身長は3m近い、服は貫頭衣、腕と脛に金色の金属製の保護具が見える。
後は胸当てと腰のベルトと簡素な感じだ。
しかし特徴的なのが背中の黒い羽だ。
鳥のような羽が左右に2対計4枚ある。
顔はオッサンとは全く違う。
威厳がありそうな渋い顔をしたイケメンオッサンだな。
[待たせたな、やっと肉体を得たぞ、貴様らが我の敵か?]
おぉう、話しかけてきた。
何か声にエコーがかかってるな。
「あんたは神官のオッサンとは違うのか?」
[我は闘争を司る神よ、神官は寄り代となり今は眠りについておる、貴様が我が敵だな]
「ちょっとエリーさんこれ邪神なの?何か話が通じそうだよ」
「そう思うでしょ、でも駄目なのよ」
[何を話しておる?]
「俺は、あんたが誰も傷つけないなら敵では無いよ」
[何を馬鹿な、我は闘争を司る神、永遠に戦い続けるのみよ、それにお前は寄り代の神官の敵だろう、それは我が敵と同義よ]
あれ?何かおかしいな?闘争を司るって自分が戦うの?
「闘争を司るってそう言うことじゃないだろ?あんたがひたすら戦うって言うのか?相手が嫌がってもか?」
[当たり前だ、それが闘争よ]
「ねっ、おかしいでしょ、数千年前のある時からこうなってしまったの」
「まぁいいよ、やるしか無いならやるだけさ、エリーさんは下がっててくれ、テルは準備よろしく」
「わかったわ」
「サー・イエッ・サー(笑)」
またヒスイの真似してる・・・。
俺は『桜』を抜いて、構える。
今回はコクアの時と同じように、本気で戦闘準備をする。
油断は出来そうにないからな。
[さぁ戦いの始まりだ!]
邪神はそう言って、手から大剣を出して構えた。




