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#42 内山正義と初戦争

こんにちは、僕の名前は内山正義と言います。


異世界に召喚された勇者の一人です。

早いもので異世界に来てもう3年が経ちました。

因みに今はダリス帝国、帝国軍の先頭にいます。

色々あって今は邪神の尖兵と化した反乱軍と戦うことになりました。


本当は辰樹さんにリベンジをしてからの予定だったのですが、反乱軍が思いの外早くに動き出したのでこうなりました。


あっ、辰樹さんは僕らの召喚に巻き込まれてしまった人なんですが、色々あって女装してます。

見た目は完全に美少女ですね。

多分地球で見たアイドルよりも可愛いですね。

本当は24才のオジサンらしいのですが、この世界に来た時の怪我の治療と呪いの影響で若返って、更には女装しないと不味い体になったとか聞きました。

正直それを事前に聞かされてても、女の子にしか見えなかったです。


3週間程前にその辰樹さんと僕らで模擬戦をしたのですが、手加減された上に負かされました。

自慢ではありませんが僕らは召喚された影響でその辺の人より、かなり身体能力も魔力値も高いです。

それに僕は今までの歴史上でも数人しか居なかった『真の勇者』という職業で、戦いに秀でた補正やスキルがたくさんあります。

この3年間で負けたことは一度も無かったです。

それでも手も足も出なかったのです。

何よりも驚いたのは辰樹さんが生産職だったことです。

最初は信じられなかったのですが、辰樹さんが作ったと言う飛空挺を見て悟りました。

所々地球のアニメの影響があったので、これは辰樹さんが作ったのだと。


そして僕らを鍛えると言って、辰樹さんの過ごしたダンジョンのあるお屋敷に向かいました。


僕らは経験していましたが、そのダンジョンは段違いに魔物が強いんです。

付近の森の魔物もやたらと強くて大きくてビックリしていたのですが、案内してくれた獣人の2人は簡単に倒していくので更にビックリしました。


2日ほどそうして過ごしていると、今度は辰樹さん達が作った学校に案内されました。

この頃になるともうビックリし過ぎて半ば呆れていました。

始まった訓練は今までの常識とは全く違っいましたが、すぐに強くなっていく事が実感できました。

更に辰樹さんが万能霊薬ソーマと、最高級治療薬エリクシールが樽で用意してあったので、寝る間を惜しんで訓練に明け暮れました。

ダンジョンも魔物が強いだけあってレベルもビックリするくらい上がり、訓練は訓練でかなりキツイのですが(ザウスさんが鬼でした)実戦ですぐに強くなった事が実感出来たので、みんな真面目に取り組んでました。


エリザベートさん達が言うには、召喚された僕らは女神の加護の効果でかなり飲み込みが早いらしいです。

そうして訓練を続けて僕は新しい職業になりました。

『覚醒勇者』というクラスなのですが、『真の勇者』の上位職らしく、かなり強力なスキルや補正がありました。

もちろん他のみんなも上位職になりました。


これまで訓練で相手をしてくれた、辰樹さんの部下の子達(僕らは辰樹組と呼んでる6人の元奴隷達)にもかなり勝てるようになってきたので、みんなで辰樹さんに再戦を挑もうとしていました。(山本と真壁は除く)


しかしその当時辰樹さんはテルミーナさんと一緒にドワーフ王国への道に蔓延る竜達の退治に向かっていました。


そうして再戦の機会の無いまま反乱軍が攻めて来て、僕らはゲートの魔法で帝都ダリスにやって来ました。


ダリスに着いてから帝国軍の将軍に力を試したいと言われ、1人ずつ帝国軍の精鋭と戦ったのですが相手が余りに弱かったのでかなり手加減をして負かしました。

少しだけ僕らの相手をしていた時の辰樹さんの気持ちが分かった気がしました。


そうして今僕らは最前線に立っています。

因みに相手はこちらの10倍以上の戦力らしいです。

正直言うと何で僕たちが戦わなければって気持ちはあります。

でも、今ではこの世界も大好きだし、邪神を野放しにすると地球にも被害が及ぶので戦う事に迷いはないです。


この戦いでの僕らの役割は邪神の眷族の相手と、捕らわれている人の保護、そして可能であれば首謀者と思われる皇帝の兄の捕縛でした。

捕らわれているのは、邪神の眷族を召喚するための生け贄として、魔力の高い人たちがいるはずなのでその保護は最優先らしい。

そして首謀者の皇帝の兄は何か裏がありそうなので可能であれば確保して欲しいとの事だ。

何でも、皇帝と兄上は周りには不仲と思われていて、皇帝とは意見の衝突はあっても、普段は仲が良かったらしい。

玉座を狙われるような仲では無かったので、話を聞きたいとのことだ。


万が一、邪神の一部が出てきたときは、辰樹さんとテルミーナさんが相手をするらしいが、今は2人とも居ないので、僕らで相手をするかも知れないと言われた。

辰樹さんはかなり遠くに行っているらしく到着にまだ時間がかかるらしい。


そうして開戦を待っているとエリザベートさんが誰かと魔道具で話始めた。

そして話が終わると帝国軍の将軍から開戦の説明がされた。


・味方の赤い空飛ぶ船が両軍の間に現れる。

・空飛ぶ船から敵軍に総攻撃をする、それが終わってから進軍開始。

・捕らわれてた人たちは少し前に保護された。


それを聞いて真壁と山本が後ろで話し出した。


「赤い空飛ぶ船ってノイエ・ルージュだよね」

「まぁあの人なら2日の距離を1時間で来てもおかしく無いでしょ(笑)」


無茶苦茶言うなよ!

来たこと無いところにゲートは無理だし、2日を1時間なんてどんな速度だよ!


・・・まぁあの人ならあり得るって俺も思っちゃってるけどね。


「それと捕らわれてた人たち助けたのって辰樹組でしょ」

「多分そうだよね、何かこっそり動いてたし、エリザベートさんもそんなこと言ってたもんね」


多分そうだよな(笑)

あんな軍勢の中からこっそり助け出すなんて、彼ら以外に考えられない。

訓練でも突然背後に立ってたり、内緒話を知ってたりは日常茶飯事だったもんな(汗)


「それよりも総攻撃って不味くないかな?辰樹さんとテルミーナさんだよね・・・何するんだろう(汗)」

「多分辰樹さんは大きな魔銃だよね、テルミーナさんは魔法かな?」


確かに反乱軍はこっちの10倍近くいるから最初に数を減らすのは良いけど・・・今までに見たことがある大規模魔法でも半径10mくらいが最大だし、魔銃って大きくてもそこまで範囲は広くないよな?


・・・でもあの人達だとどうなるんだろう(汗)

あの人達に関わってからは、今までの常識はいつも吹き飛ばされてきたからな(汗)


色々考えているとエリザベートさんが僕らに声をかけてきました。


「そろそろ約束の時間よ、みんな念のため衝撃に備えてね」


エリザベートさんが言い終わると前方の空間からノイエ・ルージュが姿を現した。

深紅に染まった流線形のボディ、後部の魔方陣が輝く魔力の輝きは間違いなくノイエ・ルージュだ。

だがいつもの様子と違う。

機体の側面が一部開いて大砲?と機関銃?のようなものが複数見える。

そして一番おかしいのは機体の上に見える魔方陣だ。

何だあのサイズは?!

超巨大な魔方陣が2つ並んでいる・・・。


その時エリザベートさんの通信機から声が聞こえてきた。


『ノイエ・ルージュ全砲門一斉発射!!』

『極大魔法・神殺しの蒼炎!』


「あの子達は!!!!全員伏せなさい!」


エリザベートさんが突然叫ぶ。

僕らも疑問を感じながら前方を見つつしゃがむ。


そこから先は何が起きたかのか詳しくは分からない。

ノイエ・ルージュの後部の魔方陣が強く光ったと思ったら敵軍の方から閃光と轟音、そして熱風が襲ってきた!


「うぉ~」

「きゃぁぁぁ」

「ぐぁっ!」

「・・・・・」


周りから悲鳴が聞こえてきたが、僕も必死で伏せて耐える。

1分程経過してやっと光と音そして熱風が収まったので前を見ると、さっきまでの景色がガラッと変わっていた。


・・・地形が変わってる(汗)

中央部分は地面がえぐれ、魔物の死体が飛び散り、所々大穴が空いている(汗)

チラホラ生き残った魔物も見えるがどれも血まみれだ・・・。


両翼はもっとヒドイ・・・。

さっきまでは何もない荒野に魔物の軍勢がいたんだけど・・・溶岩地帯になってる(汗)

多分魔物は燃え尽きたんだろうな・・・。


・・・・・・奥にはまだ反乱軍が残っているが、多分こちら以上に動揺してるんだろう。

隊列がかなり乱れているし、今の攻撃で敵軍の8割以上が死んだだろう。


そして隣ではエリザベートさんが通信機越しに怒鳴っている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あんた達は何してるのよ!こんな状態でどうやって攻め込めばいいのよ!テルもいくら炎魔法が好きだからってあんな魔法使うんじゃ無いわよ!」


『だって久しぶりに極大魔法使えるから張り切っちゃった、すぐに魔力ポーション飲んで氷魔法で固めるよ』


「張り切っちゃったじゃないわよ!下手すればこっちも被害が出たわよ・・・それよりもタツキはどうしたのよ?何なのよあの兵器は!」


『結界張ってたから大丈夫だったでしょ?ちょっと漏れちゃったけど・・・』


「結界張ってあれだったの!?それよりもタツキはどうしたのよ?」


『タッチャンはもう居ないよ、完全武装で奥に飛んでっちゃったもん』


「あの子はまったくもう!じゃあテルは溶岩何とかしてよ、私達はゲートで加勢に行くわ」


『うん分かった』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「みんな大体聞いてたわね、召喚組と帝国軍の精鋭は先にゲートで戦場に向かうわよ!」


色々混乱したままだったが、そうして僕らの初戦争が始まった。

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