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#3 魔物と迷宮とメイドさん

そんなこんなでダンジョンにやって来た。



ダンジョンの通路は幅10m程でなかなか広い。

高さも15mはある。


ミカさんと一緒に来たのだが二人揃って危険な場所に来る雰囲気ではない。

ミカさんはメイド服、俺はゴスロリ。

どう考えてもおかしいよな。


「この先出てくる魔物はそこまで強くないのでタツキさんが戦ってみて下さい」

「いきなりかよ、魔物って危ないんだろ?」

「大丈夫ですよ、テルミーナ様に聞いた限り問題無いです」

「???まぁわかった、やってみるよ」


しばらく進むと大きな角の生えた、ウサギの魔物を見つけた。

大型犬くらいの大きさだ。


こちらに気づくと後ろ足が膨らんでこっちに跳んできた。

急いで避けようとしたら、俺が壁にめり込んだ。


?????


その隙にウサギ(仮)がまた俺に突っ込んで来たが、あまり痛くなかった。


とっさに左腕を出したのだが、ウサギの角が腕に当たって止まっている。


その角を掴むとウサギは軽かった。

腕を見ると傷1つない。


取り敢えず掴んだまま右腕を振りかぶり、地面に叩きつけるとウサギは動かなくなった。


???????


「どうなってるんだ?」

「お疲れ様でした(笑)」

「何で笑ってんだよ!」

「だって避けようとして壁にめり込むんですよ(笑)、しかもビッグラビットの突進を片腕で受け止めて(笑)、キョトンとしたまま叩きつけるとか(笑)笑わない要素無いです」

「お前仮面剥げてきたな」

「いや(笑)今のは無理(笑)しかも無傷(笑)」

「この魔物弱いの?この世界の人間は頑丈なの?」

「この魔物は中位ですかね、私でも油断すれば普通に角は刺さります」

「やっぱり俺の体、変なのか?」

「変というか、頑丈です、ただ身体強化の魔法を使えばそのくらいにはなりますよ」

「じゃあそれ覚えれば何とか誤魔化せるって事か」

「はい、まず1週間程ここで身体能力に慣れましょう、魔法はテルミーナ様に教わりましょう」

「わかった、あれ?食事とかは?」

「魔物の肉は食べられますので料理します、解体の練習にもなります、それにダンジョンの魔物は、ある程度駆除しないと氾濫が起きますからいっぱい狩りましょう」

「わかった、よろしく」


初日のダンジョン探検は散々だった。


壁、天井、床あらゆる場所にめり込んだ。

体の動きが良すぎて上手く動けない。

つーか思い切りジャンプして天井にぶつかるとか意味わからん。

俺は治療されたって話だけど、これはもう改造じゃないのか?

痛みもあまり感じないし、何より怪我1つしない。


そしてミカさんはずっと笑ってた。


二日目は良く見て腕で防いでみた。

これは上手くいって調子良く魔物を叩きつけてた。

でも魔物によっては傷をおった。


ダンジョン5階の大扉を開けた先にいた魔物だ。


見た目は黒いサーベルタイガーのようだった。

大きさは3mくらい、黒く艶のある毛皮をしている。

ちょっとした動きもしなやかで、美しいとさえ思った。

瞳は紅く染まり、怪しく光っている。

爪も鋭そうで、10cmくらいありそうだ。

そして2本の牙が刃渡り50cmの小刀のようで、腕で受けたら斬られた。


骨までいっていないが、左手を動かすと超痛い。

良かった、痛み感じる。


とっさにソイツの頭を蹴りあげ距離をとる。

防ぐのは難しいので避けてみる。

幸いここは広いので試すにはちょうどいい。

一応距離がある方向に避け、少しずつギリギリにしていく。

時にジャンプして避けたり、蹴ったりして15分。

やっと体の動きに慣れてきた頃、左手に違和感を感じ、見ると斬られた痕がない、普通に動く。

色々混乱しているとまた突っ込んで来たので、左に避け、両腕を組んで頭を上から殴り、床に叩きつけ、さらに足で頭を踏み抜くと動かなくなった。


「お疲れ様でした(笑)」

「またかよ、何が可笑しいんだよ!」


ミカさんを見ると、また笑いをこらえていやがる。


「だって防いで血が出るだけだし(笑)、突然スゴい速さで避けだすし(笑)またキョトンとしたまま止め刺すし(笑)」

「だっていきなり治ってるんだよ、意味わかんないじゃん」

「私の出番かな?って思ったら出番無いし(笑)」

「つーか何で魔物はミカさんの所行かないの?」

「あっ、私は気配消してますから」

「何それスゴいじゃん!そっち教えてよ」

「まあこれから色々やっていきましょう、まずは解体です、この牙、武器にしますか?」

「そうだよ、武器無いじゃん、何でダンジョン入るのに手ぶらなんだよ!」

「聞かれませんでしたので、というかいつ言われるのかドキドキしてたら、タツキさん素直に戦いだすし(笑)」

「いやスッカリ忘れてたけどね」

「真面目な話、体の慣らしとしては、無手の方がいいと思ったんですよ、ですがもうかなり慣れてきたので、これからは武器有りでいきましょう」

「・・・急に真面目になるのどうにかなんない?」

「なりません、あと持ってきた武器よりこの牙の方が良さそうなので、ぱっぱと解体しちゃいましょう」

「りょーかい」


そうして俺は初めての武器を手に入れた。

小太刀(牙)の持ち手には革を巻いている。

このサーベルタイガー擬きはかなり強い部類の魔物らしい。

普通はこの階層には出てこない。

「相当運が悪いか、良いかどちらかです」とか言われた。

因みに解体した素材はミカさんの良く入る鞄に入れているが、要らないものはその場でポイッしてる。

しばらくするとダンジョンが吸収するらしい。


二日目はその後問題なく狩りを続けた。


ちなみに寝るのは安全地帯という部屋、魔物が湧かないらしい。

そこの入口にミカさんが結界の魔道具?を使ってるらしい。


そして休んでいると額に違和感があるので触ってみた。

何か硬いものがあるな。

試しに強めに握る、痛みはない。

今度は取ろうとしてみる


『ポキッ』


取れた!

赤い透明の長さ10cm程の円錐、角かな? 

額を触るが何も無い、痕も無い。

ふと隣を見るとミカさんがプルプル震えてた。


「角取った(笑)やっと気づいたと思ったら取った(笑)つーか取れる角って何(笑)」

「お前気付いてたな!言えや!」


もう俺はミカさんに遠慮はしなくなってきた。


「おそらくその角は魔石の一種だと思います」

「魔石・・・・あの解体した魔物から出てきてるやつか?」

「魔石は魔力の塊が物質化したものです、タツキさんの余った魔力が凝縮して出来たんだと思います」

「じゃあ比較的良くあることなんだ」

「いえ、見たことも聞いたこともありません」

「何なんだよ!俺の身体(涙)」


三日目から身体強化を試してみたがなかなか解らん、コツを聞くと明確なイメージ、体のすみずみまで魔力が行き渡り体を強くする感覚とか、つーか魔力を感じるって何?


後は小太刀(牙)よく切れる。

今の所斬れない魔物はいない。


そして偶然目の前で湧いた魔物がいたので狩ってみると、魔石と一部の素材を残して消えてしまった。


「ミカさん魔物が消えたぞ」

「ダンジョンの魔物は普通は一部を残して消えます、このダンジョンの魔物の大半は、湧いてかなりの時間が経過し、実体をもっているので丸ごと残るんです、なので湧いてすぐの魔物は消えますよ」

「ダンジョンの魔物って、不思議な生き物だな」


四日目は前日と同じく練習をした、刀の素振りもしてみた、難しい。

刃を立てて振り続けるのがこんなに難しいとは思わなかった。

そして気づいた、俺の身体まだ疲れてない。


・・・・・・いや、便利なのだが少し怖い、俺の身体どうなってるんだろう。


五日目はミカさんに戦ってもらって見学してみた。


ミカさんはスピードで翻弄して、急所にナイフを一撃して魔物を殺していく。

メイドって何だろう?

アサシンとかじゃないのか?

昨日ミカさんに教わったのだが、目に魔力を集めると魔力の流れが見えて、動きが分かりやすいらしい。


魔力を集めるとか意味分からないので、目に力を入れて見ると、うっすらモヤモヤしたものが見えた。

見えたのだがミカさんが顔を赤くしだしたので止めた。


もうあの人のスイッチが分からない(汗)


仕方無いので魔物を見て練習しよう。


六日目はビックリした。


何と魔物が魔法?を使って来た。

透明な羽が生えた、邪悪な妖精みたいなやつだ。

大きさは5才児くらいかな。

3匹くらい飛んできて、2匹と相手している内に、後ろの1匹が火の玉飛ばしてきた。

思わず武器を持ってない左手で叩き落としたが、ぶつかった途端弾けて熱風が来た。

叩き付けた手は黒くなっていて、ヒリヒリヒリヒリずっと痛い。

我慢して何とか片手で3匹を斬った。


「ミカさん手が熱い!水ちょーだい」


ミカさんは生活魔法が使えるので道中の飲み水など出してもらっていた。

返事が無いのでミカさんを見るとプルプル震えていた。


「ファイヤーボール手で叩き落とした(笑)つーか『熱い』ですんでるとか意味わかんない(笑)」

「ミカさん、何でまた笑ってんの?」

「だってこんなの無理(笑)あ~水ですね」


『じゃばばばばば』


黒くなった手を水で冷やすとヒリヒリは治まった、つーか火傷の痕がない。


・・・・そろそろ現実見よう、でもその前に確認。


「ミカさん聞きたいことがあります」

「はい、なんでしょう」

「このダンジョンって傷が早く治ったりするのか?」

「ダンジョンは魔力が多くあるので、多少はそんなこともあります」

「じゃあ俺のこれは何?」

「多分、自然回復力が凄く高いんだと思います」

「やっぱそうだよね、・・・・・・まあ便利だからいいか、つーか普通の人と比べられないから、イマイチ分からないんだよな」

「私は普通ですよ!心外です!」

「あなたも多分普通からはみ出してると思う、違う?」

「まあ多少は、一応アンデッドの分類ですし」

「・・・・通りで」

「何ですか『通りで』って」

「腐って(小声)いや、何でもないよ」

「な、腐ってません、死んですぐさまアンデッドになったから腐ってませんよ」

「りょーかい、先に進もう!」


そして運命の七日目


















特に何もなくダンジョン探検は終了した。


記録は20階層、全階層は50階層とのことだった。

つーか一番強かったのは5階層のサーベルタイガー擬きだった。

あと服は散々破れたので裁縫の腕はかなり上達した!

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