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#22 ドレスとメイドとアクセサリー

「タツキ君ごめんなさい」

「それはハンスって酔っぱらいのおっさんに聞きました」


部屋に入るとマリアナさんがいきなり謝って来た。

事情は知りたくないが、聞くしかないか。


「何があったんですか?」

「そうね、まずタツキ君にもらった証拠をハロルド様に渡したの」

「まぁそうするでしょうね」

「そのあとハロルド様が各方面に連絡して、まず証拠に書かれていた貴族を即座に拘束、迅速に仲間の貴族達の名前を吐かせて、更に帝国軍も動かしてそちらも拘束したの、依頼書に書かれていた貴族は強硬派の勢力だったらしくて、穏健派の筆頭のハロルド様が邪魔だったらしいわ、ハロルド様は国王様と共に強硬派を何とかしようと時期を見てたみたいなのよ、そんな時にあの書類が手に入って証拠も証言も取れたから一気に攻めたらしいわ」


(ポカーン)


「現在は神官と逃げ延びた仲間の貴族が、聖地ガレム山に立て込もって、帝国軍とにらみあってる所よ」


(ポカーン)


「ちなみに地球人も反乱軍と共にいるわ」

「・・・・・・・・・・」

「まぁ兵力は帝国軍が圧倒してるし、鎮圧は問題ないわ、あとは地球人がどう出るかね」

「何でそんな大事に!」

「それだけあなたの証拠が効いたのよ、襲撃されてから証拠を掴むまで数時間だったでしょ、しかも黒幕の貴族が察知する前に、マフィアのボスまで捕らえた上にそのボスが積極的に証言してくれてるらしいわよ」

「つーかハロルドさん仕事早いな」

「ハロルド様は王族の覚えもいいし、そもそも有能よ」

「毒殺されかけてたのに?」

「・・・それは言っちゃ駄目よ」

「ダリス帝国も変なのは一部だけだったのか?」

「そうね、王族も大半の貴族も立派な人達よ」

「ん、じゃあ何で謝ってんだ?あとは地球人たちの問題ぐらいでしょ?」

「それが情報の出所がバレちゃたのよ、なのであなたに会いたいって言われてるの」

「何でだ、俺すぐ消えたぞ!コッソリしてたぞ!」

「衛兵に証拠の写し渡したでしょ、そこからよ」

「あれか!」

「なので謁見して欲しいの」

「やだ!」

「・・・・そうよね、じゃあ1回だけ夜会に出てくれない?」

「ヤカイ?それはどんな感じのもの?」

「そうね、パーティーみたいなものよ」

「かしこまったり、言葉遣い気にしなくていいの?」

「謁見ほど気にしなくて良いわよ」

「・・・俺は呪いで女装しか出来ないぞ」

「多分みんな女の子だと思ってるわよ、あなたの性別言ってないもの」

「ハロルドさんとかも?」

「言ってないわ、知ってるのは私と受付の数人、あと葵と結納くらいね」

「じゃあ、女の振りして早めに済まそう、いつなんだ?」

「明日の夜よ!」

「早いよ!あと一日しかないじゃん、何処でやんのよ」

「今回はハロルド様のお屋敷よ」

「じゃあ移動はしないのか、ん?この服でいいのか?」

「そんな訳無いでしょ、ドレスを着てもらうわ」

「そんなの持ってない」


『バンッ!』


「「ドレス持ってきました!タツキ様お久し振りです!」」


振り向くと昔助けたミネルバとロイがいた。

ミネルバとロイは双子だ、二人ともメイド服を着ている。

あれ?

ロイは男だよな?

ミカさんの仕業か?

違う、そうだけど、今はそこじゃない!


「なんで二人がここにいるんだよ!」

「テルミーナ様がゴルディアスさんに話を聞いて、私たちに行くように言われました!」

「ドレスみんなで作りました!絶対似合いますよ、早く着ましょう」

「マリアナさん知ってましたね」

「ごめんね、黙っててって言われたの」

「つーかロイは男だろ!なんでメイド服なんだよ!」

「私の目標はタツキ様ですから」

「俺は好きでこの格好してる訳じゃねぇよ!」

「そんなことより早速着替えましょう」

「そんなこと!お前の弟の話だろ!お前も説得しろよ!」

「何故ですか?姉として誇らしいですよ」

「育て方間違えた~~~!」


俺の叫びがギルドに響いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「疲れたから帰るわ」

「え、えぇ、明日の昼頃来てちょうだい」


家に帰り二人に説明する。


「辰樹さんが助けた奴隷の子達ですか」

「通りで可愛い男の娘なのね」

「何が『通り』でだ!」

「タツキ様がお世話になっております、ミネルバと申します」

「私はロイと申します、二人ともタツキ様のメイドをしております」

「お前はメイドじゃねぇだろ、つーかなんでこうなった」

「そんなことより、ここはどなたのお屋敷ですか?」

「名義は私たち二人の家だけど、実質辰樹さんが買った屋敷だよ」

「では私たち二人でこの屋敷の管理をしますね」

「みんなも来たがるから交代制にしようか?」

「そうね、後で連絡しましょう」

「もう好きにしてくれ、二人もいいか?」

「全然いいよ!」

「ありがたいですが、良いんですか?」

「はい、むしろこちらからお願いします」

「そうです、タツキ様のお世話をしたいんです」

「お世話ってなんだよ?」

「着替えから始まり、食事、お風呂、掃除に洗濯何でもです」

「夜のお仕事も精一杯勤めます」

「勤めんな!つーかお前らまだ14才だろうが、ロイに至ってはお・と・こー!ミカさんか!あいつの仕業か!!つーか葵、結衣赤くなんな!」

「タツキ様、そんなことよりドレスの試着をしましょう、細かい調整も必要ですから」

「そんなことじゃね~よ!」

「辰樹さんドレス着るの?」

「あ~、何かヤカイとか言うパーティー出ろって言われたんだよ」

「ドレス着るの!見たい!」

「私も見たいです」

「恥ずかしいから嫌だ!」

「是非ご覧下さい」

「そうですね、参考意見は多い方が良いですね」

「誰も俺の話聞かない(涙)」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ドレスは薄いブルー。

光沢がある生地(多分魔シルク)を使い、胸元を隠すために首のチョーカーから膝上までで袖はなく、ピッタリのサイズだ。

そして何故か腰から下に後ろだけヒラヒラがあり、少し引きずる感じだ。

胸の辺りはヒラヒラがついていて、無乳を誤魔化してる。

更に背中が空いていてスースーする。

そしてショーツまで作っていた(怒)

絶対に嫌!

なのでいつものボクサーパンツと白のタイツを履いている。

つーかミカさんやりたい放題だな!


「動きづらいし、露出が多いな、これ肌着着ていいのか?」

「何言ってるんですか?このままで最高ですよ!」

『パシャッ、パシャ、パシャ』

「ロイ、何してる?」

「ミカさんに記録を撮るよう言われています」

「辰樹さん可愛い!」

「本当に良く似合ってます」

「ハイハイ、ありがとよ、で?調整すんのか?」

「はい、少し腰回りを詰めて、全体のバランスを合わせます」

「手伝おっか?」

「いえ、タツキ様はアクセサリーを購入してきて頂けますか?」

「あ~、どんなのがいいんだ?」

「ネックレスや指環、イヤリングや髪飾りあとは靴などですが」

「ぶっちゃけアクセサリーは良くわかんないな、宝石はあるから作るよ、デザイン誰か考えてくれ」

「宝石あるの?」

「あるよ、海底で掘ってきた」


ゴンゴンジャラジャラジャラジャラ


「何ですかこの大きな宝石は」

「だから東の海底で掘ってきたんだよ」

「どうやって?」

「結衣様、タツキ様ですから」

「そ、そうですね」

「つーかちょっと大きいよな、使いにくいし砕くか?」

「駄目です!デザイン考えますから、砕くとか無いです」

「お、おう、わかった(汗)」



結衣とワンルームにて


「さて何作るよ」

「あの大きなルビーは無難にネックレスにしましょう」

「それと?」

「このアメジスト2つはイヤリングに」

「それで終わり?」

「いえ、辰樹さんの赤い髪が映えるように髪止めも作りましょう、あとは靴ですね」

「素材はどうする?」

「宝石は小さいのを散りばめて、土台は銀色が良いですね、靴は艶のある素材で色は服に合わせてブルーにしましょう」

「銀色か?今あるのは・・・・・ミスリル銀でもいいか?」

「ミスリル銀があるんですか?」

「すぐに出来るよ、じゃあ全部土台はミスリル銀でいいか、俺は素材用意するから、結衣はデザイン書けるか?」

「はい、書いときます」

「靴は魔物の皮か、いっぱいあるドラゴン使うか?」

「えっ、ドラゴン?」

「おう、コイツ」


マジックバッグから成竜(黒)の頭部を出す。


「・・・・・しまって下さい」


結衣を見ると真っ青になり震えている。

急いでしまう。


「・・・辰樹さん、今のドラゴンもそうですが、ある程度成長した竜種は強大な威圧の効果があります」

「死んでるのにか?」

「効果は完全に解体しないと消えないらしいです」

「俺じゃなきゃやばかったのか、今後出すのは控えよう」

「そうですね、皮だけ出せますか?」

「あるよ、それで靴作ろう」


1時間後素材を用意して、デザインを見る。

派手さは無いが、落ち着いた美しさがあるな。

俺はデザインの才能無いから、頼んで正解だったな。


「すごいな、結衣はデザインの勉強してたのか?」

「私は将来ファッション系の仕事がしたいんです」

「そうなのか、じゃあ一緒に作っていくか」

「はい」


そんなこんなでアクセサリー製作。


「出来ましたね、辰樹さん本当に作るの得意なんですね」

「まぁ『職人』だしな、確かに全部出来たけど、俺的にはここからが本番だ!」

「えっ、もう充分ですよ」

「付与魔法付ける!結界張るか?気配消せるようにしようか?あとは盗難防止かな?」

「盗難防止はいいですけど、他のは無いです!美肌効果とか、髪がきれいになるとかありますか?」

「・・・・あるけど、そんなのいるか?気配消せるようにした方が便利じゃん」

「駄目です、さぁドンドンやりましょう」


出来上がったのでミネルバとロイに見せに行く。


「こんなもんでいいか?」

「・・・・充分ですよ、こっちはあと少しです」

「じゃあ俺夕飯作るよ、新しい調味料使ってみるから楽しみにしてな」

「「はい」」


今日の夕飯はラーメンだ!

仕込みは済んでるのですぐに出来る。


「「「「いただきます」」」」


その後四人は無心でラーメンをすすり続けた。

合間に「美味しい」とか「懐かしい」とか聞こえてくる。

ミネルバとロイがレシピを知りたがったので、渡しておいた。


食後に葵と話をしていた。


「辰樹さんは地球に帰りたく無いの?」

「難しいな、一度帰って家族に無事だと伝えたいけど、そのあとはどうするかな?」

「そうだね、私も最近わかんないの」

「結衣はどうなんだ?」


後ろから結衣が近づいて来た。


「私は・・・家族に事情を話したいですね、帰りたいかどうかは、今はわからないです」

「まぁ地球はこの世界より安全だよな、どっちがいいかは人それぞれか」

「そうですね」


そんなこんなで慌ただしい今日が終わった。

一応二人にはテルから地球への帰り方を聞けるかも知れないことは伝えておいた。


さぁ明日はヤカイだ。

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