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#20 水着と醤油と蟹三昧

あれから2日で海に着いた。


途中ワイバーンや、巨鳥に襲われたりしたが、あっさり着いた。

海を見ると白い砂浜がある。

もう夕方に近いが、遊んでる人達もチラホラいる。

そして水着!!!

男は地球で言う海パンだ!

俺の呪いは服に反応するが、下着には反応しない。

つまり海パンならいける!

女装しなくてすむ!


そう考えワンルームの工房ですぐに作った。

黒いトランクスタイプの海パンだ!

すぐに試着だ!


・・・・・ナゼ?ナンデダ?


履いてすぐに気分が悪くなった。

うまく立てない。


海パンを脱ぐ。

つまり全裸だ。

立てる、気持ち悪くない・・・・・。


・・・・・・水着作るか。


そんなこんなで女子用の水着だ。

くるぶしまでの黒いスパッツ、ヒラヒラした、白のスカート風パンツ。

そして白のラッシュガードだ。


着てみる・・・・・気持ち悪い、頭も痛い。


・・・・・まさかブラもいるのか(汗)


ブラは嫌だ!


そうだ、スパッツの素材で、肩からくるぶしまでの競泳用にしよう。


なんだか楽しくなってきたな。

作るのはやっぱり大好きだ。

それにしても、ハイ・ワイバーンの皮使えるな~。

狩っといて良かった!

色は黒にして~、スカートとラッシュガードはそのまま使って~、よし出来た!


・・・・・着れた、やっと海だ!


ワンルームから出ると一晩作っていたらしく、朝になっていた!


「海だ~!」


テンション高く、そのまま泳いで、遊んで、捕った魚焼いて食べて、そして遊んで、そして我に帰る。


やっぱり女装からは逃れられないのか(涙)


今、俺は白い砂浜で三角座りしてる。


波の音が心地好い。

頭の中が空っぽになる。


・・・もう認めよう。


女装も最近は抵抗無い。

可愛い服を作るのも楽しくなっている。

何度かナンパもされたがイチイチ説明するの面倒臭い。

普段は女の振りしようかな。

この格好なら勘違いするのも仕方ないし。


でも俺は女子が大好きだ!

そこだけは譲らないぞ!

『可愛い呪い』になんぞ負けんぞ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後は漁村に行った。

醤油のことを聞いたが、少し南の港町にあるらしい。


南にある港町は【ナナミ】


漁船や商船が集まり、商人が多く護衛に冒険者も集まる。

そのため色々な物が集まる所だ。

物が集まれば人も集まる、今までで一番大きい街だ。

外壁も今までで一番大きい。

これ作るの大変そうだな。


「身分証を出して下さい」

「はい」


ギルドカードを出す。


「・・・・確認しました、ようこそナナミへ」


さすがデカイ街だ、あっさり通れた。


広い大通りを抜け、海に向かうと、市場にたどり着いた。

魚介類が多い、そして商品の種類が豊富だ。

醤油を探してぶらぶらする。

すると瓶に入った黒い液体がある!


「すいません、それ何ですか?」

「あ~こいつは調味料だ、他の国で仕入れたショーユだ」

「味見出来ますか?」

「あ~ちょっと待ってろよ」


少しとってもらい舐める。

多少違和感があるが醤油だ!

良し、買い占めよう! 


「これ下さい!」

「おう、量はどうする?」

「ギルドカードで買えるだけ全部!」


ギルドカードを渡す。


「・・・・・本当に買うのか?醤油全部で50本以上あるぞ」

「全部です、あと味噌ありますか?」

「ミソ?・・・・・・これかな?」

「味見して良いですか?」

「おう、いいぞ」


見た目は完全に味噌だ、味は・・・・味噌だ!


「これも全部!」

「わかった、でもこいつはそんなに量は無いぞ、この5kgの樽だけだ」

「お願いします、それと後で仕入れた国教えてくれません?」

「いいぞ、じゃあ商品を用意する」


そうして買った商品を、マジックバッグに入れていくふりをする。


「随分良いもの持ってるな、その年でかなりの冒険者なのか」

「運が良かったんですよ、ありがとうございました」

「おう、またよろしくな」


その後も色々見て、昆布、ワカメ、魚介類、調味料など色々買った。

昼から市場に来ていたが、ぶらぶら回っているともう夕方だ。

あれ夕方?

太陽が赤くなってるのか。

あれも不思議な現象だよな?

・・・まぁいっか!


今日は疲れたので宿に泊まる。

普通に食事して、寝る。

明日は海の中を見てみよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日はナナミの街の中にある砂浜にやって来た。


水着に着替えてから、水中呼吸の魔法を使う。

これは水の中で息が出来る魔法だ。

頭の周りに魔力の幕を作り、空気だけ出し入れする。

海に入り、沖へ泳ぐと海の中は幻想的な風景だった。

珊瑚が広がり、海藻がゆらめいて、その中を魚達が群れをなして泳ぎ、それを追う人魚達・・・・人魚だ!

人魚いるんだな、話せるのか?


「こんにちは~」

「狩りの最中に話しかけるな(怒)」

「す、すいません」


スゲー怒られた。

なんだこの野性味溢れる人魚。

下半身は魚で、上半身は人間。

髪の毛は青が多いな、男もいてムキムキだ。

女の人魚もいるが、みんな血走った目で魚を追っている。


あれ~?


なんかイメージと違うな。

もっとこう、魚と戯れたり、優雅に泳いだり、ハープを弾いたりじゃないんだな。


そうだな、生きてんだから食べないとな!


ーーーーーーーーーーーーーーーー


人魚に怒られてから、さらに沖へ向かう。

この辺りまで来ると、海底はかなり深い。

海底を歩いたり、泳いだりして、途中でカニを乱獲しながら進む。

こんな体験、魔法が無いと出来ないよな。

地球に帰るか、この世界に留まるか聞かれたら迷うな。

そもそも地球で魔法は使えるのかな?

そんなことを考えていると、海底の大きな裂け目に突き当たった。

これは海溝か?ここを潜るのは怖いな。

そもそも底はどのくらいなんだろう?

海は地球と繋がってたりするのかな?

そうだ、スキャンしてみよう!


鉱石用のスキャンをする、この海溝は深さ200mほどだ。

それよりも今まで感じた鉱石とは違う反応がある。

ダンジョン付近も鉱石は豊富だったが、銅、鉄、魔鉄、ミスりル、少量のオリハルコンぐらいだった。


新しい鉱石か~、良し掘ろう!


海の中で土魔法を使い、どんどん掘る。

鉱脈に当たったがやはり見たこと無い。

少し青みがかった石だな。

たくさん採って、工房で精錬しよう。


気付くともう夕方だった。

あのあとまた違う反応が出たのでずっと掘ってた。

黄灰い鉱石、緑灰の鉱石、後は宝石類がゴロゴロあった。

そういえばこの世界で宝石って使うのかな?


・・・・武器用に研磨道具あるからやってみよう。


街に向かって泳いでいたのだか、人魚の泳ぎ方を真似して見た。

ある程度早くはなったが、あの泳ぎの再現は無理だ。

やつらの間接はおかしいからな。


辺りが暗くなってきた頃、やっと街に近づき異変に気付いた。

砂浜にかがり火がいくつもあり、人が騒がしくしている。


「祭りか?いや、違うかな」


海に入ったり、遠くを見たり、何か探してるのか?

砂浜に着いたので、話しかける。


「何かあったんですか?」

「今日の朝から女の子が海に入ったっきり帰って来ないんだよ、・・・あんた今どこから来た?」


やべぇ、俺のことだ(汗)

何でこんな大事になるんだ?

どうしよう(汗)


・・・・・・・正直に言うか。


「すいません、それ多分私です」

「みんな~!いたよ~!」

「いたのか!」

「どこに!」

「生きてたのか?」

「よかった~」


詳しく聞くと、砂浜の監視は冒険者ギルドの定期依頼になっているらしく、監視をしていた冒険者が『すごい美少女が海に入ったっきり帰って来ない』と言って、ギルドに駆け込んで来たらしい。

そして手の空いてる冒険者総出で探していた。

何でこんなに必死なのか聞くと、万が一死人が出ると、今後の依頼に支障をきたすらしい。


「ご迷惑をおかけしました」

「まぁ無事だったらよかった、次からは一言言ってくれ」

「はい、お詫びにかかった費用出します」

「金はいい、これも必要経費だ」


そうは言われてもねぇ、何か無いかな・・・そうだ!


「じゃあ採ってきたカニ皆さんで食べませんか?」

「カニ採ってきたのか?」

「はい、いっぱいあるから食べましょう」


そういってカニを出す。

足まで含めると2m近い、それをとりあえず20匹ほど出す。

大きな鍋と焼き網も出して、バーベキューの準備だ!


「ほら、お前らも手伝うぞ、酒も持ってこい」

「よっしゃ~」

「カニだ~」


「おい、お前魔法使いだろ!早く火出せ」

「わかってるわよ、あんたも早く薪持ってきなさい」


「馬鹿、カニは焼きなんだよ!」

「あほっ、茹でるのが一番だ!」

「どっちも作るのから手伝って」

「「任せとけ嬢ちゃん!」」


それからは食って飲んでの大騒ぎだった。

仕事終わりの人や冒険者、もともと10数人だったのが今は40から50人くらいいる。

カニの追加も出したが、浮游バイクで狩った鳥を唐揚げや焼き鳥にして出した。

今はワイバーンの牛丼もどきの仕込みをしてる。

醤油があると料理の幅が広がるな。

つーかみんなすげぇ食うな。

知らない料理もいつの間にか並んでる。


これ何の宴なんだろう?


4時間位たってやっと宴が終わった。

今は3人の冒険者が片付けを手伝ってくれてる。

女性二人と酔って赤くなったオッサン一人だ。


「いやぁ美味しかったわ」

「あそこまで美味しいと思いませんでした」

「そうね、また遭難して欲しいわ」

「ハハッ、もう勝手に行きませんよ」

「それは残念だな、そういえば君の名前は?」

「名乗ってなかったですね、タツキです、一応冒険者してます」

「なんだお前がタツキか、俺がナナミのギルドマスター、ハンスだ、マリアナから伝言があるぞ」

「マリアナさんから?何でここに居るって知ってるんだろう?」

「街の入り口でギルドカード出したろ、それでわかる」

「そんな機能まで、それで伝言は?」

「たしか「ごめんなさい、無理だったわ」だな」

「何で謝るの?何が無理なの?」

「知らんな」


そう言いながら、口の端が上がる。


「じゃあ何でにやけんだよ!知ってんだろ!」

「知らんよ、それより素が出てるぞ」

「それどころじゃねーよ、マジで何だろう?・・・・トリカールに行くのやめようかな」

「なおさら面倒になりそうだな」

「間違いなく知ってるよな!」

「知ってるが話せないな」

「何でだよ!」

「その方が面白そうだからだ(笑)」

「これだから酔っぱらいは駄目だ!」


片付けが終わり解散だ。


「じぁなタツキ、早めにトリカール戻れよ」

「あぁ、明日出るよ、じゃあなオッサン」


残念ながら明日はトリカールに出発だ。

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