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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

好きか嫌いか

作者: きたさん

「日向、アイス食うか?」

僕が本を読んでいる時、きた君がおもむろに言ってきた

今日は午前授業だったので、色々寄り道しながらお菓子を買いつつ寮のきた君の部屋に遊びに来ていた

きた君は友達でも部屋に入れるのを極端に嫌がるので、部屋の配置はモデルルームのように綺麗だ

そんな快適な部屋で、僕は決まったソファーできた君が出してくれたオレンジジュースを片手に最近読み始めた小説を読んでいた所だった

僕達はいつも一緒なので家で一緒になる時はずっと喋ったりせず、それぞれ好きな事をして過ごすのがいつもの自宅デートだ

そんな中急にきた君がそんな事を言って来るから驚きながらも「?うん」と返した

「昨日買っといたんだ、ちょっと待ってろ」

きた君はいつものいちご牛乳のカップを机に置いて冷蔵庫に向かった

きた君=アイスというのも余りイメージに無いが、彼は意外と時々甘いものを買ってくる

理由は簡単だ、『僕が好きだから』

その気持ちは純粋に嬉しい為、僕は出来るだけ美味しそうに食べるようにしている

「ほら、いちごでいいか?」

いつの間にか冷蔵庫から帰って来たのか、きた君が目の前にアイスを持って立っていた

「うん!ありがとう、きた君」

「余ったやつは持って帰っていいから、ゆっくり食えよ?」

僕は心が凄く温かくなった

きた君はちょっと照れてるようでぶっきらぼうな言い方をしてるけど、僕の事をちゃんと考えてくれている

果実がごろごろ入っているアイスは、口に入れる前から美味しい事が分かった

食べるのがもったいない位だけど、溶ける方が嫌なのでゆっくり噛り付いた

「ッ!!美味しい!!きた君これすっごい美味しい!!」

いちごのプチプチした感触とミルクの柔らかい口当たりが最高に合っていて美味しい

「…そうか」

きた君はそんな僕の反応を見て嬉しそうに目を細めた

「気に入って良かった。他にも味あったから帰り持って帰るの忘れるなよ?」

反応見て気が済んだのか、食後のココアを入れにキッチンに行ってしまった

「うん!!みんなにも分けるね!!」

僕は余りの美味しさに感動していた

こんなに僕の好みを知ってくれている恋人が出来て僕は幸せだなぁ…とニヤニヤしながら残りのアイスに噛り付いた


僕は知らない

このアイスが一週間前にテレビを見ながら何気なく「美味しそう…」と呟いたのをきた君がちゃんとメモしていたのも

このアイスを買うために行列嫌いなきた君が女性に紛れて30分も列に並んだ事も

購入する時に店員さんからの「恋人への贈り物ですかぁ?」という問いに「…はい」と真っ赤になりながら答えていた事も知らないのだ

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